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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第4章  怒るアキレス  12

2007-09-26 08:21:06 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アガメムノンは、苦りきっていた。力と力の衝突で勝負するのとは違いトロイ側の、このような陰湿なやり方に嫌悪を抱いた。しかし、戦争である。対手を屈服させるのに戦略、戦術の善悪、正義、不正義を言ってはいられない。いっときも早く防衛手段を講じて、次の作戦行動に移らなければならない。
 会議は、止まっている。アガメムノンは、顔をそろえている側近や将たちがどのように考えているか。彼等は、腹に思っていて言わないことは何なのか。また、彼等の意見を聞いて、戦利の返還という不名誉、そして、自分の名誉と立場を如何に守りきるかを考えた。
 アキレスは、老将のネストルをはじめ、オデッセウスや取り巻きの将たちが神官の娘を返すことに賛意を持っていることを察していた。
 アガメムノンに向かって、アキレスは、ずばり言ってのけた。
 『アガメムノン統領!この際、神官の娘を解き放って、父のもとへ返されては、いかがなものであろうか。ここに列席の方々も考えられていると思うが。貴方のもとには、他に幾人も娘がいるではないか。そのようにしなければ、この混乱は、いつまでたっても収まらない。メネラオス。お前は、兄アガメムノンに何もいわないのか。』