本作は風の4枚目のアルバムとなり、前作「Windless Blue 」の翌年にリリースされている。
このアルバムはずばりタイトル曲である「海風」が強烈な印象を残す。イントロと途中に叩き込まれるアコースティックギターの低音3弦を使った強烈なフレーズ、間奏では当時流行った高中ばりのフュージョンっぽいエレキギターソロを敢えてミックスダウンでは奥に引っ込めるというかなり凝ったことをやっている。
ちなみに当時出演したミュージックフェアでは、伊勢正三が間奏のギターソロをガンガンに弾いていた記憶がある。
私の妄想だが、この曲を聴くと、海辺の小高い崖の上で吹き荒れる海風の中に佇む少年時代の伊勢が見えるような気がする。おっさんになった今でも、何度「海風」を聴いてもその風景は変わらないのだ。
風における伊勢正三の曲は海を舞台にしたものが何曲かあるが、この曲は伊勢正三の中にある心象風景をまんま曲にしたような感じがあり、そのストレートさ故、ロックっぽくもある、今でも鮮烈な曲だ。
この曲を聴いてしまうとセカンドアルバムまでの佳作である、「海岸通り」や「暦の上では」が無性に生ぬるく感じてしまう。(そのぬるさも好きな世界なんだけど)