Afternoon Avenue 25 (by hide_boo)

Perfumeと乃木坂46、IZ*ONEなどのアイドルやクルマやバイク、好きなものついて、だらだら綴ります。

間違いだらけのクルマ選び / 徳大寺有恒(島下泰久共著)

2014-11-09 09:31:57 | Weblog

「間違いだらけのクルマ選び」の著者 徳大寺有恒さんが亡くなられた。自分が読み始めたのは1978年版くらいからだが、国産車の欠点をズバズバ遠慮なく指摘していく内容に痛快さをおぼえて、クルマの購入参考資料ではなく、読み物として毎年の発刊を楽しみにしていた。

 

正直、当初はフォルクスワーゲンゴルフを基準とした厳しい評価や、外車名の読み方へのこだわり、古い欧州スポーツカーに対する嗜好、ワンボックスカー嫌い、が著作の中に明確に出ていたので、自動車好きの間でも徳大寺さんへの批判も今でも少なくない。しかし、私にとっては好きな「クルマ」を通じて、様々な価値観、視点、考え方があるのだということを教えてくれた先生だと思っている。

 

間違いだらけのクルマ選びだけではなく、クルマ雑誌「NAVI」でも活躍され、大川 悠さん、館内 端さんとのNAVITALKという連載は単行本まで購入したほど大好きだった。クルマを機械としてだけではなく、その個性を文化的な視点からも突っ込んだり、激賞したりと、読むたびにそういう捉え方もあるのか、と驚き、クルマがドライバーのライフスタイルや嗜好を表現する、ということを教えられた。だから、今でもどんなクルマが売れているのか、でなんとなく世相もわかるようになった。最近で言えば、一時期はワンボックスカーが大流行し、セダンがまったく売れなくなって、その次はプリウスに代表されるハイブリッドカー、コンパクトカーが売れて、さらに今は軽自動車が登録車(660CC超のクルマ)を追い越して売れている。レジャー中心⇒省エネルギー⇒ローコストハイパフォーマンスと移り変わってきて、いまやクルマに趣味性を求める層はマイノリティ化しつつある。

 

最近は走りの機能性と内外装の高品質化を打ち出したマツダデミオが発表され、日本カーオブザイヤーに輝いたことで、業界的には軽自動車に傾く自動車市場を高品質という面にもっていきたいとする意思が見える気がするのだが、こんな考え方をするようになったもの、徳大寺さんの影響だと思っている。

 

「間違いだらけのクルマ選び」には各車種の批評ページの前に、何本ものコラムが書かれている。初期はその厳しい内容にヒヤヒヤしたものだが、特に晩年は自動車メーカーへの提言もいくつも書かれており、決して「斬る」だけではなくちゃんとフォローも行っていた。

 

カーグラフィックの創始者、小林 彰一郎氏も亡くなり、骨のある評論家で存命しているのは三本和彦さんや熊倉重春さんくらいになってしまい、寂しい限りである。今、各誌で活躍されている評論家・ライターさんの中で、機能と文化両面から自動車を楽しく論じてくれるツワモノが登場してほしいものだ。

 


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