「小さい子のクラス」をお手伝いしてくださっている助産師の伊藤さんが、無事6月11日に男の子を出産されました
矢島助産院というお母さんを地域で応援する場所に、杉並区の産後ヘルパーでひだまりのサポートをしてくださる村上さんと行ってきました。
出産直後のお母さんってなんて素敵なんでしょう。
母親が寄り添われ支えられ続けたお産は素晴らしいなと思います。
やっぱり、自分らしいお産を目指すことは大事だなと思いました。
これは、医療者としては我慢できない発言だと感じる人がいることも承知の上で。
『「自分らしいお産」はバツ、「自分らしい子育て」はマルだけど』とネット上で知り合いの医療者に言われたことがあります。
医療者であっても、「自分の納得できるお産」「自分らしいお産」が、どれほど女性を大きく強くするか、を知る機会がないのではと思います。
医療教育の中に、正常を正常に保つための講義はあまりないからです。
異常を見つけること(診断)異常を正常にすること(治療)にはとても時間をかけますし、勉強の内容も多いけれど。
正常を正常に保つ(予防)のための教育は少ない。というか、ほとんどないかも。
これは、義務教育でもそうだと思います。
診断と治療のみが医療ではないと私は思っていて、今の仕事をしてます。
医療の不確実性(何かあった時)は確かにあります。
確実に安産をする。問題なく産む。ということはないです。
だからこその知恵や工夫も必要です。
進んだ医療技術に支えられてこその母親を幸せにするお産があると思います。
どんなお産も素晴らしいと自分のお産だと受け入れるためには、理想を目指す努力と同時に、医療の不確実性にも理解が必要ですけれど。
どんなお産でも、どんな出来事も、そのありのままを引き受ける準備ができているのがお産の準備だと思います。
子育ては決してお産だけでは決まりません。当たり前ですが。
お産を理想化して、それがかなわなかったときに、嘆いて苦しむお母さんが時々いますが、そんな必要はない。
苦しいお産を耐え抜いて命を生み出したことに変わりはなく、よく頑張ったのですから。
私が今目指していることは、お母さんがお母さんになっていくためにお母さんを支える、
そこにもっと迫れる場所作りです。
今のひだまりクリニックは、お母さんを支えたいという気持ちで作ってきました。
お母さんたちの実家みたいなほっとできる場所になりたい。
困ったときに思いだしてほしい。
何かできないか、一緒に考えていきたい。
信頼関係を築き、辛いのも不安なのも一人だけじゃないとわかってほしい。
そう思ってやっています。
不安なのも緊張するのも、子どもが大事だからこそ、なんです。
自信を持って子育てなんて、誰にでも簡単にできることではないのです。
産んだら母親だなんて、そんなことは普通はありえない。
それが簡単にできている人は、しっかり周りから支えられている人です。
なかなかできない人は、支えが足りない人です。
その自覚は、それぞれにないのですが。
つまり、支えられているとは思っていないし、支えられていないとも思っていない、そういう人は多いです。
支えられてて不安がない人は周りも自然に支えているので、だれもがその幸せに気付いてない、
当たり前に支えているし支えられている。
支えられていない人は、その自分の状況を支えてもらえてないんだと憂える前に、
支えられてないこともわからないまま自分がダメだからだって自分を責めてもっと辛くなっていく、
そういうことって結構多いと思います。
家族に支えられたらいいですが、その家族が支えてくれないこともあり、産院を退院した後の母親がこういう状況だと、
本当に医療的な支援も途切れてしまうわけですから、本当に本当に大変なんです。
できて当たり前、誰だってやっていることだと考えて、身体も心も大変な時期に寝不足で頑張る・・・
おかしくならない方がおかしいって、私は思います。
支えがないどころか、余計に母親を負いこんじゃう夫や家族もいますから・・・(それも自覚なくね)
もちろん、自然に支えている夫もいるんですけれど・・・残念ながら多くはないです・・・
この女性たちを支えるのは、大切な子育て支援であり、母親が戻る(産後うつにすすまない)ための予防でもある。
そう思います。
医療に可能な子育て支援です。
産後ケアの本質はここにある。
母親を大事にする、ケアする、その考え方は正しい。
いろいろな方法やアプローチがあるでしょうし、母親の選択もいろいろあったらいい。
一定の効果もあるでしょう。
母親の支えは多ければ多いほどいいと思うから。
でも、一番大事なのは最初、産んですぐ。途切れない支援。
母親が自信を付けるまでの支援。
一人で世話をし始めても、つらい時は助けを求める信頼できる場所がある、という安心感。
それが大事なんだと思います。
産んだ直後の母親にはいろいろな不安があり、その解決はちょっとしたコツでうまくいくこともあるし、
悩みながら自分で決断しなきゃならないこともある。
一緒にいて、考えて、やってみる、そこをする産後ケアをしたいと思っています。
地域で働く助産師さんと協働でやっていきたいと考えています。
自治体の訪問で出会う助産師さんは、いろんな制約があって(訪問は一回だけとか)
歯がゆい思いの人もいますので、なんとかならないかなと思います。
もちろん、助産師さんに頼りきりというのでなくて、セルフケアを覚えていくためにしたいですし、
セルフケアを知ることが自信にもなる、お母さんが元気になれるための場所になりたいと思います。
ひだまりでは、やっと小さい子のクラスが定着したところですが、
ここの大変で辛いことの多い時期のケアをもっと充実させたいと、クラスを始めて改めて思うようになりました。
どんな方法で?どのような形で?何ができるか?検討中です。
今年になって、少しずつ動いてもいます。
助産師さんたちと話し合ったり、保健所に行ったり、区役所に行ったり、都庁に行ったり・・・
国の産後ケアのガイドラインも出ていないので、区によって考え方も違います。
助成も区によって違います。
ガイドラインがないので、勝手な解釈もされやすい一方、保健所も指導に困っている様子が見えます。
担当部署の連携の悪さもあるし、よほどやる気がないとめげそうです。
でも、私は「よほどのやる気」を持っているので、なんとか少しずつでも前進したいと思います。
矢島助産院の助産師さんたちは、本当にいい仕事をされていると思います。
究極の予防を目指している。
究極の予防というのは、納得できるお産だと思います。
(お産がいいとすべてがよくなるなんて言ってるんじゃないですよ)
お産がいい(母親にとって)と、おっぱいも順調になりやすい、母親の気持ちも安定しやすい、心もつよくなりやすい、
逆もまた同じことがいえます。
つらいことが多かったら、いろんなことが悪い循環に陥りやすい。
だから、できたら、納得できるお産を目指してほしいと思います。
形でなく。
帝王切開であっても、幸せなお産はある。その準備ができているかどうかは大事です。
矢島助産院のお産のときの3か条を見せてもらいました。
①そばを離れない
②触っている
③否定しない
なるほど・・・すばらしい。
否定しないためには、どうしてこう考えるんだろうという柔軟な寄り添いが必要ですよね。
そこが大事だと思います。
自分の考えを押しつけるのでなく、コントロールするのでなく、一緒に歩調を合わせて傍にいる。
産む人、産んだ人を助けるのが助産師。
そういう意味では、産んで育てている人を助けたい私も助産師の一人?
小児科医ですが、助産師的な仕事を本気でしたいなと思います。
一人ではできないことなので、仲間作りや運営の工夫も必要になります。
少しずつ、妄想でなく現実に近づけていく。
近々、その内容を発表できるように・・・と頑張っていきます。
(やっぱり長くなってしまいました。お産のことはねぇ)
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