ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

ひだまりで父親学級を初めてしました。

2013-06-30 23:44:47 | クラス日記

6月29日に父親学級を初めてひだまりクラスでしました。

父親学級は妊娠中にときどき産院や自治体主催でされていますけれど、産後の父親学級はあまりないような気がします。

これも母親学級と同じで、産後の母親学級が必要なように、産後の父親学級も必要だと思います。

私は、父親達に産前産後の母親がどんな状態でどんな支えがほしいか、

どれほど父親の支えが母親の安定につながるか、そういうことをずっと伝えたいと思っていました。

常々、ことあるごとに、言ってますが、母親は母親の周りのすべてから支えられるべきだと思います。

それは、母親のためでなく、子どものために、です。

つまり、母親を支えることが子どもを支えることになるのです。

母親が幸せに子育てできていれば、育てられている子どもは幸せですから。

母親への支えは、身近な存在である父親(パートナー)からのものが一番重要であると思うし、

産前産後は、特に医療の現場からの支えも重要です。

さらに、実の父母(赤ちゃんからはおじいちゃんおばあちゃん)、友人知人も含めて地域から自治体から国から、

とりまくすべてから支えられているといいなと思います。

温かい支えがあるほど、そして、その支えが母親の必要に合っているほど、母親は安定します。

そして、母親らしくなると思うのです。

母性という種は誰にでもあると思うのです。

その種は発芽しやすいこともしにくいこともあります(それは個性という面と捉えられるかなと)

でも、芽を出しやすくする・花開きやすくするには、水や養分が大事ですよね?

その水や養分にあたるのが父親の支えではないかなぁと、そんな風に感じています。

さらに・・・支えというものの内容も考えて欲しいなといつも思っています。

つまり、支えているつもりがそうではないということが実はあったりするからです。

やってくれているつもりだし、少しでもやってくれるのだからと我慢する人がいます。

または、うまく伝えられないからとあきらめる・我慢する人もいます。

勇気を出して伝えたら、逆切れされたという人もいます。

また、喧嘩腰に言ってしまってかえって落ち込んだり疲れたりする人もいます。

そのように、感情的になってしまって、いつもよりもトゲトゲしたり、落ち込んだり、イライラしたり・・・というのは、

産後だからということだと思います。

女性の身体の中では、産後特有のホルモンの嵐の状態だから。

それがあるから産めるのかもしれないのですが。

そして、その状況は2~3か月は続くのが普通です。

 (赤ちゃんの肌がべとべとして脂っぽい思春期のような肌の間は2~3か月でしょう?・・・これもホルモンの影響なのです)

 

昨日は・・・最初に「私って求め過ぎてたのかもしれない・・・」とコメントを出してくださるママがいて・・・

もう、なんだかそこで終わりにしたいくらいな感じでしたけど、そこから話を始めました。

妊娠出産は、女性の心をとても繊細にする、動物的に感情的にする、それでこそ産めるのかもしれないという話をして、

男性の支えが女性の支えになっているかということ、常に女性に焦点あてることが特に2~3か月が必要という話をして・・・

(そのときの恨みはいつもよりもかなり増幅されて残りますし、感謝も増幅されて残ります)

でも、男性を責めようという気持ちはないのです。

ただわからないだけなんだと思うからです。

どれほどのことが女性に起こっているか、わからないだけなんでしょう。

男性と女性は出産では、身に起こることが全く違いますから、女性は自分の身を通して実際に痛みを引き受けなければならないから、

そして、育児も最初から母親がすることがほとんどなので、(特におっぱいに関しては・・・)

ギャップはますます広がるのですね。

さらに里帰り出産だとますますそのギャップにも気づきにくいのでしょうね。

昨日も里帰り出産が溝を深めたかもという話がありました。

産後クライシスというのは、そういう状況からどんどん深刻になっていくのだと思います。

じゃあどうするのか?

それは、それぞれで考えてそれぞれで努力していくしかないのかもしれません。

私ができるのは、女性がそういう特殊な状況であるということを二人に伝えることかなと思います。

そして、「自分はおかしいのではないか?どうしてこんなに怒ったりイライラしてしまうのだろう?」ということもある状況は、

むしろ当たり前なんだということ、ちゃんと落ち着いてくるものなのだということをまずお母さんたちに伝えたいと思います。

そして、男性には、女性がとても繊細で傷つきやすい感情的な状況になっているということ、

そういうときは理詰めはむしろ逆効果であるということ、まずは寄り添ってあげる・受け止めてあげるということが大事なんだと伝えたいと思います。

それぞれの家庭の形を作っていくには時間がかかるでしょう。

子どもが産まれたからわかった双方の価値観の違いに驚くこともあるかもしれません。

でも、夫婦は時間をかけて育つものだということなんですね。

母親自身、子どもが産まれたら、今できてないことに苦しむものです。

自分を責めてしまって、それが余計に悪循環になってしまうこともあります。

自分もゆっくり育てばいいのだと思えばいいのです。

子育ては最初からうまくいかないのは当たり前です。

同じように、夫婦もゆっくり育てていこうとすればいいのです。

ゆっくりでいい、その過程そのものが子育てというものなんだと思います。

それぞれでいい、自分たちらしい家族をゆっくりとじっくりと作っていけばいいのですね。

人間関係は二人で作るものだから、どちらかだけが正しいとか、間違っているとかはない。

と同時に、いつもどちらかだけが我慢してなんとかなってるというのもおかしいのです。

出産はある意味、夫婦のピンチかもしれません。

でも、チャンスにかえられるピンチなんですね。

夫婦が仲よしというのは、子どもが一番うれしいことですし、

子どもが初めて目にする自分以外の人間関係が両親ですから、そういう点では仲良しの夫婦は子どもに一番のプレゼントなのかもしれません。

いつも子どもへの初めてのプレゼントは「生活リズム」と言ってますけれど。

(喫煙家のパパは禁煙も、ですよ~)

「ピンチはチャンス」です。

そして、「あの産後があったから、夫婦関係がよりよくなった」という夫婦は実際います。

双方の努力で、無理しすぎずにそれぞれのよい夫婦の形、よい家族の形をさがしてみてくださいね。

 

 

 

 


7月の土曜日オープンの予定

2013-06-27 16:10:43 | クリニックからのお知らせ

4月から、ひだまりクリニックでは、ときどき土曜日もあけています。

これは、今まで接種に来てくださったお母さんが復職されてご希望が多いために始めました。

ですから、当面、月に一回または二回の予定です。

7月は13日と29日の予定です。

ご予約は、いつものように電話またはメールでお願いします。

 


7月4日、今年もワクチンパレードをします。風疹の臨時接種を求めてます。

2013-06-26 23:33:27 | イベント情報

今年もワクチンパレードをします。

開催趣旨は・・・

風しんの流行を止めて!
妊婦さんとお腹の赤ちゃんを守って!
~風しんの「臨時の予防接種」の実現を求めます~

2013年6月18日
「子ども支援ネットワーク」事務局
吉川恵子


    風疹が都市部を中心に全国で大流行しています。その勢いは衰える気配はなく、いつ終息するか予想できない状況です。今年の患者数は、9,408人(6月5日現在)と1万人を超えようとしています。患者の9割は成人です。そしてその多くが、風疹ワクチンの接種を受けていない20歳代から40歳代の男性です。この成人を中心とした流行で、去年の10月以降、11人の赤ちゃんが先天性風疹症候群(CRS)で生まれています。国レベルの有効な対策が早急に取られなければ、さらに多くの赤ちゃんに障害が出ると私たちは心配しています。

    今も妊婦への感染が相次いでおり、今後もCRSの赤ちゃんは生まれそうです。そして悲しいことですが、重度の障害を持つということで中絶を勧める病院も多いそうです。CRSで生まれた11人のほかにどれだけ中絶という選択をされた命があったでしょうか。なかったことにされた命は表に出ていません。過去の流行では、CRSの約60倍の中絶や自然流産があったと推計されています。未来の赤ちゃんの命が危険にさらされているのです。

    現在の流行は、2004年に風疹が流行した際、厚生労働省研究班によって、感受性者の蓄積とその危険性が指摘されていたにも関わらず、有効な対策が行われてこなかった結果です。このまま放置されれば、また今後も風疹の流行の可能性が残り、同じ過ちを繰り返すことにもなります。 今こそ、全国地域差なく、感受性者全員が無料で等しく接種できる環境の実現を求めます。

 

ということです。

風疹の臨時接種を求めて、というのが今年の一大テーマです。

趣旨をまとめたころから数字は増えています。

感染者は1万人も軽く超え、

先天性風疹症候群の赤ちゃんも12人になりました。

流行中は、どうしても先天性風疹症候群の赤ちゃんが産まれます。

先天性風疹症候群は、おなかの赤ちゃんの病気です。

流行を止めないと産まれてきます。

流行を止めるためには何をすべきか。

わかっています。

それは、免疫獲得率をあげる、それだけです。

そのためには、ワクチンの接種率をあげることです。

国にはワクチンの安定供給のためにできることを

4日・・・仕事を調整してなんとか参加したいと思います。

最初は恥ずかしくって声がでないのですけど・・・後半部分は声を張り上げてますね、毎回。

ご一緒しませんか?


佐々木靜子先生、ありがとうございました

2013-06-25 02:31:20 | 今までにであったさまざま

佐々木靜子先生と初めてお会いしてから、14年ほどになります。

私が常勤医を「今まで通りに当直できないなら辞めてもらうしかない」と言われて、

生後半年の次男の育児をしたいと退職した後に、ご縁があったまつしま病院の院長をされていた先生でした。

いつも楽しそうに元気にお仕事をされていました。

女性のための医療、本人のための医療というものを当時から一生懸命に考えていらして、

「納得できる医療」を目指す私には目標のような先生。

ただ、先生もお仕事でいつもお忙しい様子で、私も子育てと仕事に必死、

なかなかきちんとお話しする機会はありませんでした。

「知ろう小児医療の会」の説明も熱心に聞いてくださって応援していただきました。

開業するときも、兼業になることを提出書類で許可をいただかないといけなかったとき、

快く書いてくださって、頑張ってねとおっしゃってくださいました。

個人的なことで悩んでいるときは、先生ご自身の体験談をしてくださって、温かく励ましてくださいました。

富士見産婦人科病院事件の原告の医療的な証拠を積み上げ勝訴を勝ち取られたこと・・・

女性への暴力に強い決意で向かわれていたこと・・・

大きな牽引力で強いリーダーシップをとられていたこと・・・

でも、多くの仲間と対等に頑張ってこられたことは支援センターの受付を普通に楽しくされてる姿からもわかりました。

女性の安全と健康のための支援教育センターを仲間と作られて大きな仕事をされてきました。

先生のパワーにはいつも驚きましたし、憧れていました。

生き生きと楽しくお仕事をされていました。

数年前からのご闘病・・・

覚悟されて、そして、最後のメッセージまでご自分で書かれたもので、本当に潔く行き切った人生だと思いました。

メッセージの最後は

「みなさん、お先に!待ってます!」でしたよ!

本当に・・・本当に残念です。

ご本人も、もっとお仕事されたかったでしょう。

でも、治療も自分で選択して、最後の場所も選択して・・・

とても多くの方に愛され、惜しまれて、一足先に旅立たれました。

お通夜の席には、先生の軌跡や今までのお仕事や多くの方々の寄せ書きや海外からのお悔やみのお手紙なども展示されてて。

先生の人生、そして大きなお仕事が偲ばれました。

参列者があまりに多くて、外にも長い列ができるほど・・・

先生のような行動力は私にはないけれど、先生に教えていただいたことを忘れません。

女性の支援ということで、勤め始めたときにすでにまつしま病院には院内保育室がありました。

子ども達三人ともお世話になり、安心して仕事ができました。

病気でも預かっていただけたし、当直にも対応という保育室。

特に末っ子は生後二か月から幼稚園に入ってからも・・・

本当に助けられました。

働く女性を助ける、当時は珍しい「院内保育室完備」と「ワークシェアリング」

そのおかげで、細々とでも仕事を続けられて、そして、まつしま病院の患者さんたちから多くのことを教えていただきました。

健診のほとんどはここでやってたとも言えるくらい。

得たものをよりよい形でよりよく還元できたら、それは佐々木先生へのご恩返しになりますか?

私にとって、とても学びの多い時期を過ごさせていただきました。

(今も週に一回行っていますが)

女性への支援ということを熱心にされてきた先生。

いつも自分のベストでお仕事をなさっていた先生。

母の一歳年下で、母の一年後に亡くなられて・・・同じ年でした。

先生から多くのことを教わりました。

でも、もっともっとお話ししたかったですけれど・・・

先生のアドバイスをいただきましたことを忘れないし、じっくり考えて進んでいこうと思います。

本当にありがとうございました。

 


知ろう!小児医療の会のメルマガ「いまさら聞けない風疹の話」

2013-06-20 18:38:25 | 医療情報

私のブログには何度も登場しますが、

知ろう!小児医療 守ろう子ども達の会という会があります。

私は、立ち上げの後、割と初期から参加しています。

会の趣旨は、お母さんが子どもの病気を自信を持って看ていられるように、知って安心できるように、ということだと思います。

コンビニ受診のことが言われていたころでしたが、会では、心配なときは行きましょうというスタンスでした。

そこがお母さんにとても優しいと思います。

心配なのは仕方ない、だって習ってきてないんだものね。

けれど、いつまでもそれではすませたくない、自分でも学びたい、知りたい、そういうお母さんのために小児医療講座をしてきました。

私はその会の協力医をしていて、その活動を始めて、何回か医療講座を担当して・・・

やりたかった仕事はこれだな、ニーズもあるんだなと思いました。

医療を納得して受けてもらいたい。

みんなに、今すぐできなくっても大丈夫だと伝えたい。

自分なりの医療の利用の仕方・付き合い方を見つければいい。

それぞれの子育て、それぞれの医療との付き合い方、それぞれでいい。

悩むことだって悪くないこと。

不安なままでなく、知って納得して、自分なりの判断をしよう。

病気を看るポイントを知っていると、何も知らないよりは不安でなくなるものだと思います。

(それでも、実際熱を出したら不安になっても当たり前ですけれどね、最初のうちは)

そういうことを伝えたいと思っていました。

そして、会の仲間達の応援もあって、ひだまりクリニックを立ち上げました。

自治体に向けて、医師に向けて、そして、父親母親に向けて、いろいろな活動が展開され、

どんどん賛同者も多くなり、熱い仲間も増え・・・いろいろな活動をしています。

その中で、全国にいる協力医が自分の得意分野などで、一般の保護者のみなさんにお送りしているメルマガがあります。

流行中の病気のこと、予防接種の最新情報、自己予防について、母親の健康のことなども・・

これは、とてもお勧めですよ!

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今月は「いまさら聞けない風疹の話」です。

世田谷区のかるがもクリニックの宮原篤先生が執筆してくださいました。