ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

今年の手足口病

2011-07-17 00:14:27 | 医療情報

夏風邪の季節ですね。

アデノウイルスによるプール熱やはやり目・ヘルパンギーナ・手足口病などが代表です。

ヘルパンギーナやプール熱に比べて手足口病は割と熱も低くて下がりやすく、のどの痛みもひどくはないことが多いのですが、

今年は例年の手足口病とはちょっと違った様子で流行しているそうです。

西日本にまずは流行があるようなのですが、最近は広がっているみたいで、小児科医のMLで話題になっています。

その例年との違いとは・・・

熱が比較的高い、そして、成人にも感染する例が多い。(成人では熱が発疹より先行し、入院例も出たとか)

口内炎はさほどひどくないけれど、口の周りにも発疹が出る。

例年と発疹の出る場所が少し違う。おなかや背中にも出やすい。(ふつうの手足口病は手のひら足の裏に多く腕や脚やお尻に出ることもある)

ということです。

幸い、何年か前にアジアで流行した脳炎を起こしやすいようなタイプではないようですが、例年とは大きく違う病態なので話題になっています。

手足口病に効く薬はないので、いかに状態よく過ごし、病気の時期をやり過ごすかということですね。

熱が高くてぐったりするなら解熱剤を使うこともありますが、元気なら必要ないです。

口内炎で食べにくくなり飲んだり食べたりできなくなることに注意というのがホームケアの一番のポイントです。

口当たりのいい、痛みが少ない、消化のよいものを上げて、おしっこがちゃんと出ているか気を付けてあげましょう。

成人が感染しやすいとのことなので、感染予防も大事ですね。

唾液や鼻水・便などから感染しますので、とにかく手洗い!です。

便から感染・手洗いをというとポリオウイルスを思い出しますが、同じ種類の(大きく分けて仲間というか)ウイルスです。

手足口病の原因になるウイルスも複数あるので、ひと夏に二回なったりすることもあります

熱はだいたい長くても3日くらいでさがってくるでしょう。

4日以上になるならかかりつけ医を受診した方がいいでしょう。

もう一つおススメ情報!

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「こどもの心のケア」講座~不安でいい・今できることに集中する

2011-07-13 22:18:49 | イベント情報

7月10日に、知ろう!小児医療の会の主催講座がありました。

何回も会の講座でお話ししてくださっているのですが、協力医の杉原桂先生のお話しを私は初めて講演会でうかがいました。

自分で話をする機会があると、ますます、いろいろな方の講演会を聞きたいと思います。

伝えたいことが一緒でも、それぞれの話し方、引き込み方、話の組み立て方があるんですよね。

勉強になります。

私は、まったく段取りとかなくって、伝えたいという気持ちだけでその場でなんとなくやってしまってますが

今回は久しぶりの会の主催講座。

さらに初の「子どもの心のケア」講座

杉原先生はNLP(コミュニケーションのための心理学)を深く勉強されていて、外来小児科学会でもワークショップを何年も継続されています。

だから、余計にお話しが楽しみでした。

今回はスタッフ参加でしたが、ほとんどお仕事はなくって、見守り託児もなく、お話しに集中できました。

最初に先生が時間一分で今不安に思っていることを書くようにと言われました。

私は「大丈夫だよって自信を持って言いたいのに言えないでいる不安。多様な価値観や考え方の中で揺らいでしまう不安。」と書きました。

お母さんに対して以下のようなお話しがありました。

今回の混乱した状況の中で不安になるのは当たり前。

不安があったとき、怖いとき、そこから逃げたからこそ、そういった選択をして助かったご先祖さまがいたから、子孫の私たちの今がある。

不安でいてもいいんです。

では、不安なときどうしたらいいか。

今に集中するといい。

できることをやっていけばいい。

理由を見つけるよりも、やることをやる。

理由はわからないままでもいい。

(子どもの不安そうな様子は、福島に震災前に里帰りしていたからか、私の対応のためか、他の影響か?心配だというお母さんへの答えとして。)

そういうことをゆったりとはっきりと伝えてくださいました。

私はあ~わかるなぁ…と思った。

感じていることを言葉にきちんとしてもらえたというような安心感がありました。

質疑の時間に最初の一分で書いた質問をしました。

「本当は不安でいいとは思ってないんですけど、不安としかいいようがないんです。支援者としてあるべき姿でないのでしょうが、不安でいていいんですよね?」

思わず聞いてしましました。

異なる価値観の中でどう伝えるか。それも自信のないまま。

先生は「伝えるべきと思った時は、勇気を出すことも。」と。

後で後悔したくないからとのこと。

これが予防接種の話なら自信を持って伝えることができるんだけどね~

他の質問に、周りのお母さんが鼻血や下痢のことで放射能を心配しているが・・・という質問が出ました

急性の放射線被爆の症状としての鼻血や下痢が関東圏の子どもにあるわけないじゃん~

子どもが鼻血だすのも下痢するのも日常茶飯事なのに・・・

これが、「原発事故の一番の被害は心理的なもの」ということなんだな・・・

不安な環境にさらされているから、何もかもがそこではないか、そこに原因があるのではないかと不安になってしまうのだろう。

そんな思いを持ちながら電車に乗っていたら、吊り広告に

「二週間に鼻血が三回も出た子ども!!」とある意味ビックリな内容が

こうやって市民の不安を掻き立てるのね

そうして売れる雑誌を作るのね

そうやって儲けて、真実を伝えるという自分の仕事を忘れる人が出てくるのね

予防接種についてのひどい情報を過去にセンセーショナルに書きたてた会社でした・・・。(今は予防接種については違う態度になってるけど)

一日に何でもなくて三回、いやいやもっと、鼻血を出す子もいるし、多くのそういった子はただのひっかき傷としての鼻血です。

鼻血を出しやすい鼻粘膜の中の場所というのがあります。

一度鼻血を出すと、治ったころにひっかいてまた鼻血、なんてよくよくあることなのです。

子どもの鼻血は止まらないときは注意!です。

座った状態でしっかり5分から10分押さえ続ける。

ほとんどこれで止まります。

何回出ても、すぐに止まる鼻血はよくあることで心配いりません。

これは、自信を持って言えました~

「こどもの心のケア」というのは、今回の震災に限っていえることではない、多くのケアの必要なそれぞれの状況に、同じようにいえること、普遍的なことなんだと、講座の数日前に杉原先生からスタッフにメッセージがあったそうです。

本当にそうですね。

私も「不安でいいよ。できることやれることからやっていこう。不安の先取りは損だよ。」と言っていきたいです。

うん、言えそうです。

いい講演会でした。

杉原先生、ありがとうございました。

 

 

 

 


同時接種と同日接種

2011-07-13 00:01:39 | 医療情報

7月3日10日と日曜日に続けて講演会に出席しました。

どちらのこちらでご案内していたものです。

3日の報告から・・・プライベートがごたごたありちょっと遅くなったのですが。

薗部先生と高畑さんの講演は同じでしたが、何回聞いても聞きごたえがあります。

この日の様子は8月10日のたまごクラブにも報告があるとのことです。

薗部先生・専門家の先生のお話しはとてもわかりやすくて、必要なものと納得してもらえているという安心感がありました。

さらに高畑さん・一人のお父さんとしての話も、気持ちがよく伝わったようでした。

すくすくと健康な元気な2歳の男の子が突然細菌性髄膜炎になるくだりは本当に引き込まれるようでした。

実は前回は、泣いたこの託児をしていて(知ろう!の会でいう「見守り保育」ですね)、じっくりと聞けてなかったのです。

大変有意義な講演の後の質問コーナー。

緊張もありましたが、質問は集約されてたので、3項目に。

同時接種の危険性。

ポリオ接種について…生か不活化か、が大きな話題でした。

同時接種の方は、危険はないとはっきりしっかりと断言されて、ほっとした方も多かったのではないかと思いました。

と、同時に細部先生がやはり不安に思われる方も増えたという話をされ(私も思っていたのですが)、不安なら同時でなくても大丈夫ですという話も。

その質問の流れで、医師の対応もまちまちで(同時接種を勧める医師も単独を勧める医師もいる)ある理由を私も聞きました。

薗部先生は、これまたはっきりと「勉強不足」とおっしゃられて、大変耳が痛いことでした。

そして、医学教育にワクチンはほんの少ししか取り上げられないための、教育からそもそも足りないことにも言及されました。

対して、生か不活化かで、事情を知るお母さんを悩ませるこの話題については、はっきりと結論を言われませんでした。

やはり、相談して納得できる結論を出した上でということですね。

質疑応答も無事、なんとか無事終了。

このあと、テーブル席に出向いて直接質問を受けます。

伝わっっていますように・・・。

安心してうけられるという方が増えますように。

本来、こういった説明や教育といったことは行政、いや、国が責任を持ってリーダーシップを発揮して進めることだと思うのだけれど。

予防接種を受けたことのリスク、受けないでいるためのリスク。

「予防接種を受けてないのに、病気にならないこと。」

「予防接種を受けてないのに、とても軽く病気がすんだこと。」

そういうことはたまたまであって、誰にでも、確率としては、予防接種を受けておこる副反応よりもずっと高いリスクが予防接種を受けていないとあること。

世界の子どもたちを守ってきたワクチンで日本の子どもたちも守らないと。

最後に、お母さんの声がとても大事だという話も何度も書いたことだけれど、薗部先生も強調されていたので、書いておきます。

お母さんの声を届けてください。

保健センターにでも、役所にでも、厚労省にでも。 

専門家の意見よりも、市民の声に敏感なんでそうです。政治家の先生方は。

「なぜ、日本のこどもたちは、医療レベルは高く保証されているのに、予防接種で守られる病気から守られていないのか?」

自然と医療の両立ということも書きたいのですが・・・

「自然自然というお母さんには困りものです」と薗部先生はおっしゃっていたけれど。

また日を改めて書いてみようと思います。

タイトルの「同時接種と同日接種」について・・・

会も終わって、反省会も含めた控室での話。

今のところ同日接種はやめておくという話です。

同日接種というのは、ポリオやBCGなどの集団接種の後に(というか、接種医が別であるというか)、個別接種をしてはいけない、ということになっています。

接種医は同じである同時接種は、医師がわかっててやるのだけれど、同日接種の場合は、最初に接種した医師はその後のことがわからないので、という理由。

ちなみに、定期接種と任意接種を同時接種した場合に補償されるべきことがおこった場合、定期接種での運用がされます。