ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

ヒブワクチンの追加接種の時期が変更になりました。

2012-12-25 21:06:29 | 医療情報

素敵なクリスマスをお過ごしでしたか?

今日は、サンタさんのプレゼントで大喜びの子どもたちが健診でも何人かいました。

幼稚園がお休みなので、赤ちゃんの付き添いなんですけど、

「これをもらったんだよ~」と可愛い笑顔でこちらも幸せになります。

クリスマス気分をもう少しと、明日のひだまりクラスにはまだクリスマス飾り残しておきます。

 

さて、ヒブワクチンの追加接種の時期のお話しです。

12月20日付で、厚労省から都道府県知事に通達がありました。

そして、今日、杉並保健所から医療機関に改正についての説明と保護者向けの説明文書が送られてきました。

これは朗報です。

なぜ、ヒブの追加接種と肺炎球菌の追加接種の時期はちがうんだろうと思われていた方もいらしたかもしれません。

実は、本当はヒブワクチンの追加接種が一年後というのは、追加接種前の抗体価の下がりが心配されていました。

特に保育園に入る頃ですので、せっかく3回接種をして乳児期守っていたのに、

追加接種が遅れて感染してしまっては・・・という心配です。

VPDの会日本小児科学会のスケジュールでは1歳からとなっていますので、困っていました。

自治体での対応も差があって、一歳ですぐに受けてもいいとする自治体とおおむね一年を守るようにとする自治体がありました。

杉並区は一年後を守るようにということだったので、この通達は大歓迎です。

これで、一歳になったら肺炎球菌と一緒にヒブワクチンも受けられます。

もちろん、MR(麻疹・風疹の混合ワクチン)の接種もとても大事です。

どちらを先に?でなく、同時接種できます。

今まで、ヒブの追加接種は三回目の一年後に、DPTの追加接種と同じです、と説明してきましたが、よりよい方法に変更です。

今月に入って、4月からの母子手帳の変更の後に交付してもらった赤ちゃんがワクチンデビューで見えるようになりました。

予防接種欄もとてもわかりやすく、うち漏れがないようになっています。

今までは、「かかった病気」のページだったところに、

「水痘」「おたふくかぜ」「B型肝炎」「子宮頸がんワクチン」などが回数分の枠が作られていて接種漏れ・忘れがないようになっています。

「かかった病気」の欄がなくなるというのは、これらの病気はかかるのが当たり前だというものでなく、予防するものなんだという決意の表れだと思います。

左のページには、「ロタウイルス」「ヒブワクチン」「肺炎球菌ワクチン」なども回数分・・・

そして、二種混合と日本脳炎の追加接種の欄もあります。

さらに、水痘やおたふくかぜも二回接種を勧めるということでしょう、枠が二列になっています。

ぜひ、助成も二回にしてほしいと思います。

または、インフルエンザのように子育て応援券が使える・・・とか?

応援券で医療の利用はだめ、と言われてしまうでしょうか?ね?

今まで予防接種の種類別にシールを貼って、見やすくして、接種漏れがないようにしていましたが、今後は不要になりそうです。

よかったよかった!

自治体によって、母子手帳の内容は変わっていますが、今回の変更は大歓迎です。

便色カードを使って、一か月健診の便の色も確認できます。

多くの人の意見と話し合いの結果、よりよい母子手帳に変わりました!


赤ちゃんの睡眠

2012-12-18 21:04:28 | 子育てあれこれ

ツイッターを最近こまめに見ていて、ちょっと思いついたこと、反応したいことにツイートするようになりました。

実は、アカウントは随分前につくってもらってたのですが(またしても人だのみ)、

あまりにひだまりクラスに人が集まらないのよ~と車座委員会でぼやいてたら、ツイッターに限るとアドバイスされまして・・・

呟いてみたところ、本当に知ってもらえるようになったのです。

みんなに報告したら「『ぼやくよりつぶやけ』なる標語ができたね」と言われました。

そんなツイッターで、調子にのっていろいろ呟いてたら、

自宅出産のことで、あちゃー地雷を踏んだりもしました。

今は、顔を知った人との交流と、医療・子育て情報を中心にツイートしてます。

あと、ひだまりクラスの情報なども。

で、今日、赤ちゃんの睡眠について書いてみたら、いろんな方から反応をいただき、

これは、ちょっと読みやすくまとめておこうかなとおもいまして・・・書いてみます。

 

赤ちゃんの睡眠は個人差が大きいものです。

でも、理想はありますし、リズムを作るのにコツがあるというのもわかってきました。

長年(15年近く)、週に2~4日ペースで健診を続けてきて、お母さんたちに赤ちゃんの睡眠の状況を聞いてきて、

いろんなケースを教えていただいた結果です。

産まれてすぐの睡眠はまだ昼と夜ははっきりしません。

が、一か月健診では赤ちゃんの昼と夜の違いがはっきりしてきています。

つまり、昼はぐずっている、夜は寝ている、です。

夜寝ているといっても、3時間がせいぜいですけど。

でも、夜は飲んだらすぐに寝る、という状態であるのが普通。

昼は飲んでもあまり寝ません。すぐに起きてしまうかぐずるかです。

昼に寝ないのは夜になるということなので、いいことなんですよ。

一日の中で、眠くて主に寝ている時間帯と、主にぐずっている時間帯があります。

昼間はおっぱい上げて寝ても、すぐに起きたり、ぐずったり。またはまたおっぱいほしがったり。

お母さんは非常にイライラするけど、それが赤ちゃんの昼なんだから仕方ないです。

特に1~2か月の赤ちゃんの昼はぐずるものです。

そして、昼にぐずるのは夜寝るということだから仕方ない。というか、むしろありがたいことです。

昼に機嫌よく起きている赤ちゃんのママはラッキーです。

夜、三時間でおなかがすいて目が覚めて飲んで、すぐに寝て・・・が二回あると9時間。

それが夜にあるのが大事で、昼に寝すぎていると夜ぐずります。

これは昼夜逆転。夜中1~2時から寝るとお昼前まで寝てたりして、これは遅寝遅起きというか夜が日中にずれ込んでるパターン。

あやすと笑ってこの世に慣れてくる2か月くらいまでは、昼間の機嫌の悪さは結構続きます。

抱っこしてあげたり、優しく揺らしてあげたりしたら泣き止むんですけどね。

 

2か月くらいになったら、5-6時間続けて寝る子が増えてきます。

3~4か月くらいになったら、もっと寝る子が増えます。

そして、結構この時期から夜中に起きるようになる5~7か月までが乳児期で一番続けて寝ることができる時期かもしれません。

この時期の健診では何時に寝て何時に起きるかということまでは聞かないのですが、(ちょっとプレッシャーかなと思い)

昼夜逆転がないことだけは確認してます。

中には10時間続けて寝るという赤ちゃんも・・・出てきます。

 

そして、あるとき、なんだか急に夜中に起きるようになった!という夜が5~7か月ころにやってきます・・・

「先週から急に夜中に何回か起きだしてしまって・・・おっぱい上げたらすぐに寝るんですけど」

これは、6~7か月健診の質問の定番。

何の前触れもなく、ある日突然なので、びっくりされますが、とりあえず授乳したらすぐに寝るし、

特におっぱいの人は添い乳すると楽だし・・・日中も変わった様子ないし・・・

とみなさんの訴え。

おなかがすいてるみたいな飲み方ではなく、安心感を得るためのような飲み方です。

中には寝られるように母乳のみの人がミルクを夜寝る前にあげてみたりという努力をしてみる方もいるけど、

それは何の役にもたたず、同じように起きる、同じように寝る、という報告が多いです。

ちょうど人見知りの時期、知的な発達が目覚ましい時期ですね。

感情が複雑になってきて、快不快で睡眠が決まってた(おなかがすかない限りは寝られてた)時期ではなくなったということなんでしょう。

この時期にはリズムがはっきりできているのが理想でそれはかならずしも難しいことではないと思うので、

何時に寝て何時に起きるか、何回夜中に目覚めてどのようにして寝かしつけるのか、すぐに寝ているか・・・

それを聞くようにしています。

その中でわかってきたことは

○赤ちゃんはだいたい10時間寝たら、機嫌よく起きられる。

○10時間寝るというのは起きずにという意味ではない。起きた回数は、すぐ寝ていればリズムに影響はない。

個人差はあるので、11時間で起きる子もいるし、9時間で機嫌よく起きる子もいるけど。

多くの子で10時間。

つまり、8時に寝たら6時、9時に寝たら7時、10時に寝たら8時に起きます。

10時までには寝られるようにするのが目標。8時がベスト、と思います。

放っておいて、自分のリズムで気にせずに生活していると、12時超える赤ちゃんも出てきます。

これは・・・やはり問題だよ、と伝えています。

12時に寝ても8時に起きるから、ちゃんと早起きできてるとおっしゃる方がいますが、これは勘違い。

8時に起きてるのは朝目覚めてすっきり起きてるのではないのです。

8時に寝て夜中の4時に起きてるみたいなもの。

夜中に目が覚めても、4時ならおっぱい飲んでそのまま寝ますよね?

明るくて、みんなが起きてうるさいから起きてしまっただけであり、頭はまだ目覚めていなくて、睡眠不足の状態(頭は夜中)。

なので、しばらくすると(すぐに寝る子もいる)長い時間の午前寝になります。たいてい2時間から3時間。

起きたときが朝すっきりという状態なのです。

夜のリズムは遅くずれこんでいるということなんですね。(遅寝遅起きです)

この6~7か月頃に生活リズムが整っているというのは、離乳食を始めるときにも大切です。

起きてから何時間くらいでよく食べるか・・・がわかってきやすいので。

離乳食のタイミング探しが初期では苦労するからです。

そういう点でも生活リズムを整えることは大事です。

そして、夜中に起きたらどうするか?

とにかく早く寝かす、につきます。

添い乳でもいい、おきておっぱいでもいい。ミルクでもいい。好きな子はおしゃぶりでもいい。

お母さんが一番楽に過ごせるというスタイルでいいので。

この時期、夜に起き始めたころ、おっぱいの子を、おっぱいなしに早く寝かすというのはたぶん無理だと思います。

努力してみてもいいとは思うけれど、結局あきらめることになることがほとんどです。

あげないで寝かそうと努力してみたけど激しく泣きだし、結局長い間おっぱい吸うことになってしまうので、

もうもぞもぞした段階であげることにしました、という人が多いです。

「いつまで、夜中の授乳が続くんですか?」と聞かれたら、がっかりされるけれど正直に答えるしかないです。

「起きる回数はかわるけれど、ぐっすり寝るようになるのはおっぱいがおわってからかもしれません」と。

暑い寒い病気のときは回数は多くなりますし、歯がはえる時期も起きるかもしれません。

発達してきて、つたい歩きなどして運動量が増えると起きる回数は減ってくることもあります。

でも、まったくぐっすり寝るようになる子はたぶん多くはないです。

夜寝はじめに何回も起きる子は、お母さんと一緒に寝たい~とぐずってる場合もあります。

やっと寝た、私の時間と、赤ちゃんを一人にしてリビングに移動すると、すぐに起きてママを呼ぶ子はこの時期とても多いです。

特に一人目。(なぜなら二人目ママは疲れ切ってて赤ちゃんと寝落ちすることが多いので)

 

9~10か月健診のころは

10時間寝ている、そして、何回起きてもすぐ寝ていたらリズムに影響ない。

ここは同じ。

違うのは、赤ちゃんが夜中に覚醒して遊びだしたりすることが増えるということ。

ママに相手をしてもらいたくて、乗っかったり、たたいたり、髪をひっぱったり、中には目をこじ開ける子も・・・

大事なことは、夜は暗く静かに、として、夜は寝る時間だよと教えてあげること。

元気だし、私も目が覚めたから相手してあげようと夜中に遊んであげたりするとリズムが崩れます。

布団に戻そうと追いかけて引き戻すというのも、鬼ごっこみたいになって子どもも喜んでしまい遊んであげてることになるので、

親は寝たふりをするのがお勧めだと思います。

子どもは布団から出ても、暗く静かに・・・そして、寝たふり

寝室を安全にしておいて、ひとしきり遊んで眠くなったらもどってきますので、そこからまた寝かしつけです。

添い乳でもミルクでも。

夜中に遊びだすのは一時期ですから、しばらくすると落ち着いてくると思います。

この時期には、夜中の授乳をやめて、おっぱい以外で寝かしつける努力をして成功することも出てきます。

トントンしてみたり、添い寝でスキンシップでということもあります。

でも、やってみても失敗したという方も多いです。

お母さんが夜に楽に過ごすこと、リズムを崩さないこと、ここを大事にしてみたらいいでしょう。

 

1歳まではお昼寝は2~3回で、一回のお昼寝は30分くらいから1時間程度。

睡眠は本当に個人差があります。よく寝る子とあまり寝ない子。

リズムが良くて、日中元気なら心配はないです。

1歳から1歳半までにお昼寝は一回に定まってくると思います。

理想的なリズムに近づけるためには、午前中にしっかりと身体を使って遊ぶこと、です。

楽しくいっぱい遊んだらおなかがすく、身体を使って疲れてて、おなかも満たされたら、眠くなる。

そして、午後の早い時間に二時間くらい寝て、お昼寝がその一回なら、また、よい時間に眠くなります。

その繰り返しがよいリズムを作っていきます。

 

よいリズムはなぜよいか、ですが・・・

よい習慣はその人の一生を支えます。といったらちょっと大げさでしょうか。

子どもの生活習慣を作ってあげることは、親だからできることです。

親にとっても利点がいっぱいあります。

○生活のメリハリがつくので、よい食生活になりやすい、よく食べることにつながる

○よい食生活ができるとよい排便習慣にもつながります。早寝早起き朝ごはん→朝うんちが理想。

(朝、余裕があると急がせないでうんちの時間もしっかりとれますね)

○午前中に機嫌のよい時間をもってこれる、これは大切なことです。特に集団生活を意識すると。

子どもの集団生活は午前中が大事なのです。保育園・幼稚園・学校・・・すべて、午前中に主な活動時間があります。

たっぷり寝て、しっかりごはんを食べた子は午前中に機嫌のいい時間が過ごせます。

寝不足で食べてない子は幼稚園でどうなるかというと・・・

「すぐ泣く」「元気がない」とお友達にも言われることになるでしょう。

本当なら、お友達と仲良く遊べる力のある子なのに、リズムが悪いために機嫌の悪い時間帯に集団生活が始まるのは、恐ろしいことです。

午前中に、一日の中で一番機嫌のよい時間が来るようにリズムを整えるのは、集団生活前にできる親の一番の子どもへのプレゼントだと思います。

○病気のサインに気づきやすいです。こんな時間にぐずることないのに、と思ってたら熱が出てきた・・・など。

時間で生活が決まってたら、次にどうすべきかわかるし、生活もしやすいのです。

結局、生活リズムをきちんと作るのは、親のためにもとても大切なことで、子育てを楽にしていくでしょう。

 

さて、では生活リズムをどう変えていくか・・・ですが。

小さい赤ちゃんでは、特に環境で整えます。

朝は明るい部屋で過ごす、朝日を浴びさせる。

昼間は明るくうるさく、夜は暗く静かに・・・

悪いリズムがしっかりついてしまっていたら・・・遅寝遅起きを直す場合には寝る時間でなく起きる時間に目を向けることです。

眠くない時間に一生懸命寝かす努力というのは、実に苦行ですよね!

本当に苦痛でイライラするものです。

寝る時間を早めるのでなく、起きる時間を早める、からやっていくことです。

それも、特に赤ちゃんの場合は、無理なく少しずつ、がいいと思います。

12時に寝て10時に起きる赤ちゃんの場合、

夜から治そうとすると・・・10時に寝かせても無理で格闘しても結局12時まで起きてると思います。

朝起きる時間を少しずつ早めていきましょう。

一気に8時に起こすという具合に早めてもだめです。また寝てしまうから。

少しずつでいいのです。

この時間まで寝てたらもう寝ないだろうというくらい少しずつ。

でも、進歩を続けたら、確実に早く起きるから、その時はお昼寝もそれだけ早くなって、寝る時間も早くなります。

一か月で一時間でもいいです。確実に進歩することが大事。

少しずつ、理想の生活リズムに近づけていけたらいいんです。

生活習慣ですから、本当は親のリズムも極端な乱れがないかは気を付けてみる必要はあると思います。

午前中の外遊びに付き合うことができないのは、遅い就寝時間ではないかな?という反省点はないでしょうか?

 

脅すわけではないですけれど、不登校の子ども達は一様に遅寝遅起きなんです。

そして、一番元気な時間帯が午後遅くから夜中にかけて、なんです。

不登校・ひきこもり・朝起きられなくて体調不良を訴える子には、入院して朝早くに強い光を当てて身体を起こすという治療もあります。

そうなってしまわないように・・・これも、予防予防

親が管理できるうちによい習慣をつけてしまうのが手っ取り早いのです。

 

 

 

 


わだっち文章講座から「子育てに疲れているお母さんの実家になりたい」

2012-12-11 16:47:47 | 母親への支援

二年前から参加しているわだっちの活動「親子で街デビュー@和田商店街」はとってもおもしろい活動です。

和田商店街は古くからある街の商店街で、ひだまりクリニックから徒歩数分。

そして、よくある商店街と同じように少しさびしい感じになっていました。

ところが!

この商店街に魔法がかかったようなことが起こりました。

今、区役所からも熱い視線が?注がれている?よう?

お母さんが取材して作った「わだっち」

そして、その延長で和田商店街のHPがこの秋にできました。

第一期の文章講座に参加させてもらたり、ワークショップや商店街ツアーに行ったり。

いろんな経験を通して、商店街の素敵なところ、人とのつながりがたっぷりある商店街は街の財産だっていうこと、

そんなことに気づきました。

文章講座はその取材を文章にするにあたって、ジャーナリストの先生に直接文章修業をしてもらえる貴重な経験ができました。

自分の文章は、説得力がなくて、わかってくれる人にだけ届けばいい、みたいな気持ちであるということを

先生にきちんと指摘していただいたことは大きな収穫でした。

自分の体験を客観的に示して、主観的な意見を伝えるのに、文章の力が発揮されると。

「自分に酔ってる」という意味の指摘をされ、書き直したものをここに書いておきます。

私のひだまりに対しての気持ちを表していて、ぐっとよくなったとお褒めをいただいたので・・・

「子育てに疲れているお母さんの実家になりたい」

 

私は、杉並区和田の住宅街で、「ひだまりクリニック」というちょっと変わった医院を開いている医師です。この医院を運営するきっかけは、私自身の出産の経験なのです。

 

孤独な出産での焦燥

 

私は、初めての妊娠で、思いがけずに切迫早産という診断で長期入院しました。病院の当直勤務もやっていて、退職後、知り合いもいない引っ越し先での突然のことでした。「点滴をやめたらすぐに早産になる」という理由で10週間も点滴と絶対安静を受け入れました。しかし、治療後動き回っても出産にはならず、治療に疑問が残りました。

2週間後、納得できないままの出産になりました。そこでも、十分なケアを受けられず、出産時の裂傷がひどく、再手術を受けました。納得できず混乱と焦燥の中にいた私を支えた人は誰もいませんでした。

実家の母は、三人の入院を抱え、私にまで手が回らなかったのです。「頑張ったのに、なぜこんなことに?つらい・・・」という私に、夫は「『良かれ』と思った処置がうまくいかないことなんて医療者なら誰だって知っているだろう?医療者失格だよ」と言いました。「医療者ではない、単なる傷ついた患者だったのに」と私の心は深く傷つきました。夫として「辛かったね」と言ってくれればそれでよかったのに。

 

その納得できない医療から私は多くのことを学びました。私が受けた医療は自分が医師として病院にいたときには普通にされる標準的なものでした。しかし、「受ける側はこんなに辛かったのだ」ということ。納得できない医療はどんなに人を不幸にするか、その傷ついたお産を抱えての子育てはどんなに大変で不安であるか、ということです。

夫はその後、子煩悩で優しい父親になりましたが、私にはとても厳しい目を持つ夫になりました。「なぜ、そんなに不安なのだ?」「なぜそんなに母親らしくないのだ?」とことあるごとに批判しました。納得できない医療の辛さと夫から支えられなかった私の辛さが今の仕事につながっています。

 

子育てに大事なのは「愛されている実感」

 

「こんな神経質な子どもに束縛されるなんてうんざりだ。子どもは一人でいい。早く仕事をしたい」と思い続け、数年後に小児科医として復帰して、患者の子ども達から教わったことは、子育てに大事なのは「愛されている実感だ」ということでした。そのとき、私は母としても小児科医としても中途半端だと知ったのです。そして、「もう一回、納得できる出産と子育てをしなければ」と思いました。

そこで出会ったのが、自分のお産に満足できずに、「自分が受けたかったケアをするお産をしたい」と産婦人科医になった人でした。自分でも準備の努力をして、その先生にお世話になって自宅で二度目の出産をしました。

「同じ人間が子どもを産む」という事実に変わりがないのに、ありとあらゆることが天と地ほどの違いでした。お産の満足もその後の幸せも子どもに対する感情も、それゆえできるケアも、そして、子どもと自分の身体の状態まで。

一人目の子が神経質だったのは、母親の辛さを子どもが感じていただけのことだろうとわかりました。二人目の子育てが幸せであるのに、一人目の子どもと自分がかわいそうでどんなに泣いたことでしょうか。

「母が支えられる」ということは、子育てで一番大事なことです。

夫から、家族から、地域で、社会で、よい世の中を作っていくためには今後の世の中を作っていく宝である子どもたちをよりよい環境で育てることが大切であり、そのためにも母親を支え、母親が幸せな気持ちで子育てをすることができるようにしなければなりません。

「『夫や家族から支えられていない』と感じる妊婦、母親にこそ、ひだまりクリニックはある」と思っています。「実家よりも自分の家の方がいいわ」という人はいます。そういう人は夫婦の信頼関係がきちんと築けているのでしょう。素晴らしいことと思います。

そういう人にだって、ほっとしたいときや疲れて落ち込むことがありますので、そんな時の場所でありたいです。

 

 母親が自信を持って子育てしてほしい

 

「子育て支援のために母親支援をしたい」と考えているひだまりクリニックは小児科ですが、普通の街のクリニックにはない特徴があります。それは予防診療を中心に考えているので、保険診療をしないことです。

子どもの病気は、母親が自信を持って看ることが一番大事なのです。「その力をつけてもらいたい」という気持ちで、偉そうな言葉でいえば患者教育になりますが、家庭看護のコツと見極めについての話をしています。

また、正解のない子育てで迷いや不安のある人にも、少しずつ自信を持ってもらえる場所でありたいと思っています。

一人の力ではできない、多くのお母さんが集う場であるからこそできることもあるし、一人一人の納得できる子育てを応援する場所作りが夢です。

自分の妊娠・出産・子育てに納得できなかった。育児不安や夫婦関係に悩んできた。多くの失敗を経験してきた。だからこそ、子育て支援を中心にしたクリニックになりたいのです。

 

「正常を正常に保つのが子育て」

 

私の恩師は、「正常を正常に保つのが子育て」「子どもを診れば診るほど正常の範囲は広がる」と言っていました。この言葉はとても深い。妊娠・出産・子育ては「異常をみつけだし正常にする」医療の目だけでなく、「正常を正常に保つために支える」予防医療も重要な分野です。

それを実現していくことこそが私の誇りの持てる大好きな仕事なのです。

以上が、知己先生に添削していただいた後の「私の夢」というお題の作文です。

先日、このわだっちの文章講座の修了式がひだまりでありました。

 

ひだまりクリニックを初めてから二度目の新年を迎えます。

この一年は、いろんなことがありました。

応援してくれていた母との別れも大きなことでした。

最初は小さな集まりでしたが、この一年、ひだまりクラスが多くの方に知っていただけて、多くの方に支えていただけるようになりました。

支えたいといいながら、私自身が支えられているのを感じます。

多くの方と知り合いになり、多くの方とお話しをして・・・

いろいろなところに参加させていただいていることも幸せだと思います。

もうすぐできるHPも、実は、支えてくださる方のおかげでできます。

本当にありがたいことです。

自分の思いのためにも、応援してくださる方のためにも、しっかり仕事をしなければと思います。

明日もひだまりクラス、楽しいひとときをすごしてもらえますように・・・。

 


今月のひだまりクラス

2012-12-05 08:50:07 | クリニックからのお知らせ

寒いですね~

いろんな感染症が流行しているみたいです。

私も手洗いの徹底!で自分の身を守らないと・・・

今月のひだまりクラスは、予定通り、第二第四水曜日、12月の12日26日です。

12日は申込みがありがたくも満席になりましたので、予約はお受けできません。

去年のことを思うと・・・本当にビックリです。

ひだまりに集まる方が少しずつ増えてきていて、本当にありがたいです。

多くの方にきちんと納得できる情報と安心感を差し上げられるように、まだまだ足りない自分だと思いますが、

頑張って行きたいと思います。

人知れず傷ついていたなんてことが起こらないように・・・

私だけでなく、参加される方通しもいい関係が作れるようにと初めての参加の方にもご案内をしてお願いすることを始めました。

でも、堅苦しいのはやめて、楽しく!を一番に心掛けたいのですけどね。

取りまとめの私が緊張してたり、楽しくないのはみなさんくつろげないですものね。

楽しく!そして、事故もなく!

すごく楽しいのだけど、終わったときに・・・大きな事故がなかった・・・よかった~と毎回ほ~っとします。

事故はどこにでも潜んでいるから。

今月のひだまりは、少しクリスマスです

26日はあわただしい日々の中ですが、ほっこりとくつろいで、エネルギーチャージしましょう~

私の方がいつも、可愛い子ども達と頑張てるお母さんたちにチャージしてもらっています