ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

赤ちゃんのお口で感じる安心感のこと

2012-04-29 06:22:27 | 子育てあれこれ

常にどの月例でも健診の質問にはあがるお口での安心感について書いてみます。

最近、ちょっと気の毒という質問を立て続けに受けたので。

区の3~4か月健診でのことです。

「指しゃぶりをやめさすためにはどうしたらいいんですか?」

は???

3歳児健診でなく、乳児健診ですよ~

伺ってみると、おもちゃ屋さんの店員さんに「指しゃぶりは歯並びが心配なので、やめた方がいい」と言われたとか。

歯並びって!当然歯ははえてないですよ。

真面目に、不安そうに聞かれるお母さんに、指しゃぶりは心配する時期ではないとお話ししました。

指しゃぶりすることで得る安心感が必要なんです。

そして、その口の安心感から、世界が広がっていくんだってお伝えしました。

口周りの脳での触覚の担当面積は身体の中でとび抜けて大きく、それゆえ、赤ちゃんは口で安心感を得られる。

その口の安心感こそが生命を維持するための反射と結びついているのです。

産まれてすぐにみられる吸啜反射という反射があります。

きゅうせつとも、きゅうてつとも、読めます。

この反射があるからこそ、赤ちゃんは安心して、この世とつながれる、そして、栄養を取り込んでそだっていくことができるのです。

口の周りに何かが触れるとそちらに口をあけて、ぱくっと加えて吸うという反射ですけれど、

赤ちゃんにとっては大事な、命を支える反射です。

反射で吸って安心感を得ることが、赤ちゃんの時期にはとても大事です。

ここがうまくいっていると、穏やかな赤ちゃんになる傾向(あくまでも)があると思います。

おっぱいの人はおっぱいでこの安心感を得られるので、おしゃぶりになることは少ないようです。

また、母乳育児をアドバイスする面からは、「おっぱいをうまく確率するまではおしゃぶりはやめましょう」ともいいます。

しばらくすると、指しゃぶりが自然にはじまります。

これは、指というかこぶしだったりするんですけれど、赤ちゃんの最初の身体の確認のように見えます。

そのうち、スポッと一番いい感じの指を口が覚えると指しゃぶりが始まっていくよう・・・。

これは、全然気にしないでいいのです。

いつまでもとはいいません。

が、少なくとも、おっぱいやミルクで育っている間は気にしないでいいと思います。

離乳が進むということは、赤ちゃんの世界がどんどん外へ広がるということ。

その時に、安心感だけでなく興味・好奇心を得て口の安心感を必要としなくなっていく時間が少しずつ増えていくのです。

9~10か月健診に、「赤ちゃんをなかさないために」と泣いたら、すぐにおしゃぶりを与えているお母さんがいらっしゃったときは、

さすがに私も、それがどうしてあまりよくないかということをお話ししました。

その時期は、赤ちゃんがお母さんにいろいろなサインを送ってくることが多いからです。

そのサインを知ろうとしないで、ハイハイとばかりにおしゃぶりを入れるのはどうかと思います。

それが特に眠くもない昼間に、つまらないよ~相手をしてよ~というサインだった時に、おしゃぶりでなだめられてばかりいたら・・・

「育てたように子は育つ」ということです。

(相田みつおさんの言葉)

きっと何かにつけておしゃぶりを要する子になっていくと思います。

乳児期後半の外への関心を持つ時期に、子どもの関心をキャッチして、

子どもと楽しくやりとりすることが少しずつ、上手に発達を促し、お口の安心感だけに頼らないことにつながります。

ただし、そのようなまさに発達の時期、夜や眠いときは安心感が必要だと思います。

しっかりと起きて生き生きと活動できる時間がある時期でも、眠いときや夜中はちょっと別、まだ、安心感は必要です。

そのようなゆっくりとした発達の時期を経て、子どもになり、ますます発達して、身体も使えるようになり、

睡眠がしっかりとれるようになって、おしゃぶりや指しゃぶりはなくなっていきます。

だから、私が健診をしていて注意している点は

9~10か月健診以降、常に、泣いたらおしゃぶりと思っている場合、常にしゃぶらせている場合、です。

一歳前後の歩きだす頃以降は、楽しく遊んでおしゃぶりや指しゃぶりやおっぱいを忘れて遊べるか、です。

そして、日中は意識的にそういった時間帯を(特に午前中に)作っているか、です。

言葉で伝えるのは不安です~

伝わるかな?

発達とともに、子どもの状態ともに、です。

3~4か月のおしゃぶりが心配、などという新米のママへの子育てアドバイスなんて!!

育児不安を作る中途半端なアドバイスはやめてほしい~~

日本小児歯科学会のアドバイスも参考にしてください。

小児歯科と小児科(小児保健)の専門家で作られたアドバイスです。

生活面を考えた上でのアドバイスになっています。

 おしゃぶりのことだけでなく、指しゃぶりのこと、母乳とむしばのこと、イオン飲料のこと、なども書かれています。

3~4か月からのおしゃぶりの心配など、一言もありません。

数年も前のことになりますが、母乳のことを「むしばの原因というわけでない」とはっきり文章で出されたとき、

画期的でしたね~

でも、歯磨きは必要!というアドバイス。このようにやりましょうという方法もいろいろあります。

このページは私にもとても勉強になります。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿