ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

大学の同窓会 「納得」の原点

2012-08-29 00:27:44 | 今までにであったさまざま

関西の大学を卒業して、当時は珍しかったのですが、研修指定病院で研修をしました。

大学も二次試験に理科がないという理由で決め、国際医療協力をやっているという理由で研修病院も決めた、

なんとなく人生ですけど、出会いには本当に恵まれてきたことを振り返ると感じます。

大学時代研修時代にお世話になった先生はたくさんいらっしゃいますし、年々懐かしく思い出しますけど、

山本宏先生は格別の恩師といえます。

哲学とドイツ語の教授で、今は名誉教授です。

89歳でも、とってもお元気で4年前に続いて今年も東京での関東支部の同窓会に来てくださいました。

2008年3月のことで「日々是好日」ブログで今読んでも新鮮!

よく、こんなに素敵にまとめてくれてて・・・ありがとう!あまちゃん!

多分話はいろいろ聞いているのですけど、エッセンスとして私の中に入り込んでいるというか・・・

私の根っこにあるというか・・・

おっぱいの話。

自然との共鳴の話。

看護の話。

納得の話。

正常と異常の話。

食べ物の話。

いろいろな話に引き込まれました。

当時一つだけ、脳死の話だけは反発を感じましたけど・・・

(脳死患者からの移植は反対というもの、当時は反発したけど、今は・・・わからない・・難しい・・・つまり考えは曖昧に変わった)

医学を学ぶ学生にする自然の話は繰り返し繰り返ししてくださった。

初代学長古武弥四朗先生の言葉をよく講義で取り上げられていらした。

 「本も読まねばばならぬ。

考えてもみねばならぬ。

けれど、凡人は働かねばならぬ。

働くとは、天然に親しむことである。

天然を見つめることである。

そうすれば、天然が見えてくる。」

だったとおもいますが・・・

「働くとは天然に親しむことである」というのが、突飛な感じがしてよくわからなかったものです。

天然を見つめること、見えてくること、それを医療を目指す若者にどう伝えるかが、大きなことだったのではないかと思います。

私は、先生が4年前に来てくださった時に切実に思ったことは、

医療は人を幸せにするものであってこそ、価値があるのだということです。

医療は自然のままなら死んだり苦しんだりすることを手を施すことでそれを避け、人を苦しさ・病気・死から救い出すということです。

自然と医療は対立するのでしょうか?

私はそうは思いません。

医療は自然の中に存在していると思うし、相反するものではないとも思います。

医療そのものが、自然発生的におこってきたものですし。

「目の前の苦しんでいる人を助けたい」という人間の自然な感情から進歩してきたものです。

もともと持っている自然の力(人間の免疫力)をうまく利用する医療が予防接種です。 

人間が自然をコントロールできることはないでしょうし、それは、どんな学問でも同じです。

人を幸せにできるからこそ、医療は許されています。

医療そのものが目的でなく、医療によって人を幸せにすることが目的です。

医療があるからこそ、幸せであるということは確実にあります。

身近な例では、医療があるからこそ、幸せな助産院出産ができるということもあると思っています。

もちろん、病院の出産だって幸せだと思います。

病院は、でも、「幸せにする」という目的が見えなくなりやすいかもしれません。

日々、数値・記録・確認・手順・・・に追われがちになりやすいような気がします。

医学は幸せのための一つの手立てなのではないかと思います。

現代だからこその医療の利点があり、役目があります。

現代ならではの利点である医療こそ、上手に使わなければもったいないです。

その付き合い方、立ち位置もそれぞれなのかもしれませんが。

検索していてでてきたのですが、

古武先生は

「川に沿ってあるくのでなく川を渡りなさい」と言われたとのこと。

この言葉は知らなかった。

(ある年の大学の入試で小論文のテーマとして紹介されてました・・・私たちの年のテーマは「正常と異常」・・・今なら書けるかな)

人の決めた数値で判断するのではなく、人のいうことを鵜呑みにして考えることをやめるのでなく、

自分で天然と向き合って、それが正しいか自分なりの検証をせよ、

ということ なのでしょうか。

私の今の仕事は

「医療を納得して受けてほしい」という思いでしています。

自分のお産での挫折体験、納得できない医療がどんなに辛いか経験したことが原点です。

私の「納得」の言葉、そもそも山本先生からのつながりなのだと思います。

納得するためには、悩むこともまた必要かと思います。

悩むから納得にとどりつけるともいえると思います。

山本宏先生は私の本当に大事な恩師です。

迷った時に、語りかける恩師です。

まだまだ、お話しを聞きたい。

和歌山に行こうかな・・・

 


不活化ポリオの定期接種が9月1日からはじまります。

2012-08-23 00:24:33 | クリニックからのお知らせ

やっと、という感じです。

が、現場はたぶん混乱しそうです。

同時接種に組み込んでいくのが当然のワクチンですが、同時接種はどのくらいの率でどの程度の種類されているのか・・・

3回までの分を一人分と大目に予約するクリニックや病院が多いと円滑な流通に支障がでるかもしれない、

それは始まってみないとわからない・・・と、聞いています。

ひだまりクリニックに見合った予約のある数だけ、予約をすませました。

生後半年までの方は同時接種が基本です。

でないと、受けきれません。

ひだまりクリニックでは、日本小児科学会、VPDの会の予防接種スケジュールに準じて、

積極的に同時接種を行っています。

説明を受けて納得していただき、接種します。

どうしても抵抗があるという方もなかにはいらっしゃいますが、最近では1割もいらっしゃらないです。

不活化ポリオは今まで、個人輸入をしてまではできなかったのですが(接種数の問題で)、

9月からはできますので、最高6種類の同時接種をすることになります。

ロタウイルス・ヒブ・肺炎球菌・DPT・不活化ポリオ・B型肝炎の6種類です。

ロタウイルスをご希望の方は、同時接種しないと、BCGもありますし、期限内に終わりません。

定期接種・杉並区での助成はすべて契約しています。

予防接種のご予約は

電話03-3315-0217

もしくは、メールhidamarisalon☆ybb.ne.jp(☆を@に変えてください)

でお願いします。

今日も、1か月のお子さん二人がひだまりクラスに見えました 

予防接種のスケジュールも作りました。

杉並区のようにBCGが集団接種のところでは、BCGの接種日から逆に4週あけてスケジュールを作るとやりやすいです。

ひだまりクラスでの予防接種のご相談、どんなことでもお気軽にしてくださいね。

B型肝炎もおすすめしています。

同時接種の場合、また、ご兄弟やお友達とという場合は3000円にします。

(単独で一人の接種では4000円ですが)

B型肝炎に関しては、詳しくまとめましたので、過去の記事も参考にしてください。

 

 

 

 

 


8月25日(土)市民公開講座「新生児マススクリーニングをもっと知ろう」

2012-08-19 10:41:03 | イベント情報

新生児マススクリーニングのこと、ご存じでしょうか?

ほぼすべての新生児が受けて、そのほとんどで異常がないと結果が検査した病院や助産院に返され、

一か月健診で結果が報告されます。

勤務している産科病院でもそうで、母子手帳にとめてあり、

その結果報告をお伝えしています。

何気なく終わっているマススクリーニングですが、子どもの命と健康を当たり前のように守っています。

どんな病気をスクリーニングするの?

異常とでたらどうするの?どうなるの?

いろんな疑問が出てくると思います。

8月25日に市民公開講座「新生児マススクリーニングをもっと知ろう」があります。

日本マススクリーニング学会学術集会主催です。

お母さんの団体二つが登壇、市民目線の講演会です。

「肝ったママ's」と「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」の二つです。

お母さんたちの寸劇??私もよくわからないのですが?なんだか楽しそうな試みもあるみたいです。

目からウロコ、の講演会のようですよ。

まず、知ることから!

こういった会に参加することから、医療との距離を狭める、医療との付き合い方を模索するという方法もありですね。

何気ない医療の中にどんな裏?事情があるのか、どんな方の活躍があるのか、などから、

実際に学術的なことまで、学べると思います。

もちろん、市民公開講座ですから、わかりやすいと思います。

千代田区で、午後にあります。

私も、外来小児科学会と掛け持ちで参加します!


「どんな感情も悪くない」・・・レジリエンスで聞いたこと、そして、福島で考えたこと

2012-08-15 22:04:16 | 母親への支援

福島に行きたかったので・・・福島を応援したくて・・・

以前も行ったことのある裏磐梯に行ってきました。

自然がとても美しい、大自然の不思議を感じられる、以前行った時もとてもいい場所でした。

お天気にも恵まれて(予報に反して)、リフレッシュできました。

けれど・・・気になったのは、観光客の少なさ。

以前もこの一番のシーズンだったけど、駐車場はいっぱいだったし、どの場所も人でいっぱいだったのに・・・

田んぼは鮮やかな緑がずっと続いて美しく、収穫するまでに稲穂を実らせている途中なのに。

「いわゆる風評被害なんですよ。

もちろん、できることはやっているけれど、消費者のみなさんが大丈夫だねと思ってくれるのを待つしかない。」

「大丈夫と思った人からの口コミしかない」と出会った方に聞きました。

東北の食事は美味しかったですよ!

私は大丈夫と思うので、ここでそう言い切りたいと思います。

私が私の意見を素直に言うことが、また誰かを傷つけてしまうかもという葛藤。

「産地を気にして買い物をしている」という人を非難したいわけでは決してはないのに、

そうとられてしまうのも知っている。

非難されてると感じる人もいるかもしれない、それが自責の念に変わる人もいるかもしれない。

そして、苦しめてしまうかもしれない。

決してそんな気はないのに。

ただただ、このような葛藤を市民に与えた原発の事故はひどいという気持ち。

原発はいらない、という気持ち。

ないなりの暮らしをしていくためにはどうしたらいいのかということが示されないことの悲しさ。

自分にはわからないもどかしさ。

そういう感情が渦巻いています。

そして、先日レジリエンスの講座で聞いた「どんな感情も悪くない」という言葉を思いだしました。

自分の感情を否定してはいけない。

自分の感情は自分のものである。

感情には良いも悪いもない。

ただ感情が、きもちがあるだけ。

  「こんなに大変で子どもがかわいく思えない。」

  「育てる自信がない」

そんな風に思うこともありますよね。

当たり前なことですよ。

そう思って、自分は母親失格だと罪悪感を持たないでほしい。

こんな大変な状況でも、投げ出さないで頑張ってる自分をえらいえらいと褒めてあげてほしいです。

誰に向かうかもいろいろ、その認めたくない感情がどんな思いかもいろいろ・・・

どんな感情を持っても、そのこと自体は悪くない。

なんでもあり、なんです。

だから、「産地が気になる」ならその気持ちを大切にしたらいいのです。

どんなこともそれぞれ、そして、納得のしかたもそれぞれ。

だんだん気にならなくなったらそれでいい。

「いつか来ると思います。その時を待ちます」とその方は穏やかに言ってました。

一人ずつ・・・少しずつ…大丈夫かもって思ってもらえたら・・・と。

会津出身でないとのことですが、会津の人よりも会津人らしいかも。

都会出身で、ここが好きで、数年前に引っ越しをしてしまったとか。

爆発のときも、次爆発したら逃げようと用意してたけど、とどまりました、と。

「待ってます」との言葉に、こちらが励まされる気持ちがしました。

いつか、必ず戻れるよね。

何事もなかったように、ではないでしょうけれど、元気に、生き生きとした福島に。

多くの人が集まる福島に。

言葉足らずで、伝わりにくそう・・・ですけど。

応援したいと思います。

私は産地を気にしません。これは私の感情から出た結論。

この気持ちの中には、産地を気にする方への非難のきもちは微塵もありません。

感じ方はそれぞれであり、だからこその人間。

そして、どの感情も悪くないのです。

それぞれの思いがそれぞれに尊重されるのが大事なんです。

だけど、だんだん大丈夫かな?と思えるようになってくれたら、嬉しい・・・

ゆっくりでいい、ず~っと時間がかかってもいい。誰と比較することもない。

これは、いつも子育ての事を話すときと同じことなんだなって今思います。

どの母親の思いも、子どもを思うからこそのものだとわかっているので。

だから、余計に非難はできない・・・

(こりゃまた、予防接種拒否派のお母さんに対しての思いにも通じることだったりもする・・・)

どのお母さんも本当に頑張っている。

我が子の命を守ろうとしてるだけなんですよね。

 よくわかっています。

 

 

 


不活化ポリオとロタウイルスのワクチンについて

2012-08-15 21:20:24 | クリニックからのお知らせ

不活化ポリオがやっと定期接種できるようになりました。

といっても、、まだ現物はなくて、8月ギリギリに予約本数を伝え、本当にギリギリに届けてくれるとのこと。

また、一人三本分の確保など絶対にしないでください、と営業の方にくぎを刺されました。

きちんと出回るから。先の予約を入れると混乱のもとになるからと。

ひだまりクリニックでは、個人輸入のときは入れてませんでしたが、やっとできます。

(接種数も少ないクリニックですから、何百という単位はとても無理でした)

承認された予防接種の種類は、どんどん世界標準に近づいてきて好ましい一方、

同時接種の本数の多さに・・・

早く、混合ワクチンも世界標準になって、スマートなスケジュールになってほしいものです。

あとどのくらいかかるかな~子ども達のためにはやく!

そして!1一番は定期接種化!国の責任で格差なく地域差なくどこでも融通利かせて接種できたら!

子どもの命を守り育てることは、日本の将来を豊かにすることに他ならないのですから。

杉並区との契約もすみ、予診票も届きました。

後は、予定通り、入荷を待つだけ!

11月からは4種混合ワクチン(三種混合+不活化ポリオ)に切り替わっていく予定ですが、

それを待ちたいと三種混合を控えないでください!

百日咳(三種混合で予防できる)は、赤ちゃんには命取りになることもある怖い病気です。

 

ロタウイルスのワクチンも先月、もう一つ出回るようになりました。

乳児に重い下痢による脱水を起こすことで有名な感染力のつよい胃腸炎のウイルスです。

保育園幼稚園、さらには病棟内でも流行します。保護者にも感染します。

今まではロタリックスという二回接種のものだけでした。

先月ロタテックという三回接種のものも出ました。

そもそも、違った方法で作られたワクチンとのことで、どちらかを選んでするものです。

ロタリックスならロタリックスを二回で終了。

ロタテックならロタテックで三回で終了。

どちらも重症のロタウイルス感染症を90%、中等症のロタウイルス感染症を80%ほど予防できます。

2回ですむのが楽と言えば楽。

けれど、価格は3回の方が少し安いのです。

ヒブや肺炎球菌ワクチン、三種混合も3回接種ですし、同時接種が基本ですから、負担感もそれほどではないと思います。

ひだまりクリニックではロタリックスは一回12000円、ロタテックでは一回7500円です。

いづれも経口の生ワクチンですので、4週間は他の予防接種をしてはいけません。

さらにロタリックスは二回目24週までに、ロタテックは三回目を32週までにすませなくてはなりません。

つまり、同時接種をしなくては、大事なヒブワクチン+肺炎球菌ワクチンという細菌性髄膜炎の予防接種がこの時期にうけられなくなってしまいます。

命を脅かすという点で、優先度からいうと、ヒブ+肺炎球菌の方が優先。

なので、ロタワクチンを受けたい方は同時接種でやるようにしてください。

不安な方のためには、同時接種の説明は接種時に特に丁寧にします。

当面、ひだまりクリニックでは、ロタリックスとロタテック、どちらもできる体制で行く予定です。

(もちろん、どちらか一つを選んでいただきます。)

 日本小児科学会の予防接種スケジュールも不活化ポリオバージョン(9月1日以降)が公表されています。