妊娠出産につまづいて傷ついて、子育てに心底悩んだ自分だからこそできる仕事をしたいと思っています。
でも、それを仕事にしようと思えるまでには、本当に長い年月がかかりました。
実に6年半。
実際にクリニックを立ち上げたのは、最初に思ってから13年。
長男の出産で、切迫早産・病院なのに助産師不在・会陰裂傷・再手術・・・さらに、その状況でも助産師からケアされず・・・
とても苦しくて寂しいお産だったと思います。
次男で、納得できるお産をと思いました。
そのお産で出会ったのが戸井口さんでした。
静かなたたずまいで熱い気持ちを持つ人。
多くを語らないけれど、深い思いやりを持つ人でした。
「人を支える」ということができる人に、私は初めてそのとき出会いました。
どんな思いもすべて吐き出させてくれた、何も否定せずに何も肯定すらせずに、言葉のまま思いのまま受け止めてくれました。
彼女を信頼して、彼女は私を受け止めてくれて、大事にされて、初めて私は母親になれたのだと思います。
10年ほど前にオーストラリアに移住。
何度となく助産師という彼女の天職に戻ってとお願いしたのだけれど、戻ってくれることはなかったです。
その後は、時々帰国のときに会う程度でした。
ほんとは、一緒に働くのも夢でした。
1年半ほど前に、悪性の病気の名前を告げられ、何度となくやり取りを重ね、行かなきゃって思ったけれど、少し遅かったです。
お休みをいただいたのは、きちんとお別れをするためでした。
会って感謝の気持ちを伝えたかったけれどかないませんでした。
優しい穏やかなあの笑顔を見たい、声を聴きたい。
でも、もうこの世では会えません。
何も、お礼らしいことはできなかったけれど、
何かできるとしたら、大好きな彼女に導いてもらった仕事を頑張ることです。
傷ついて悩んだ私だからこそできる仕事です。
「無理しちゃだめよ~」って声が聞こえてきそう。
よくそう言われたものです。
自分が病気なのに、忙しい私を気遣っての言葉はとても多かったです。
「ケアする人のケア」という言葉も彼女から教わりました。7
彼女と出会えたのは、とても幸運なことでした。
人との出会いは奇跡なのかもしれません。
私の人生のキーパーソンです。
苦しくてもがいていた私を真に支えて引き上げてくれた人です。
そういう奇跡的な出会いが誰の人生にもあるのかもしれません。
ただただ感謝をするのみです。
この旅は、ご家族や彼女の人生のさまざまな時期の友人たちがあつまり、彼女の人生を追体験するような旅でもありました。
「私は幸せだ」と人生の最終章で言い切った彼女は、本当にすごい人だと思います。
感謝の気持ちを、精一杯仕事をすることでお返ししたいと思います。
戸井口さん、本当にありがとうございました。
これは、戸井口さんと私の3人目の赤ちゃんが2か月の頃(2002年)
古い汚れた写真を撮影したものですが、とても彼女らしい写真だなと思ったので・・・
スカートでなく写真が汚れてて・・・ごめんなさい。
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