ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

ゆっくりでいいという話

2010-12-31 22:26:51 | 今までにであったさまざま

ひだまりサロンみたいな場所をもちたいという妄想・・・

実は、自宅出産した直後からなんです。

だから、12年になります。

小児科医になったもののキャリアとしてはまだまだで、妊娠出産。

その後、放射線科を経て再び小児科医として復帰。

二人目の出産でやっと自分らしい子育てに出会えました。

子育てに悩んだ私だからできる子育て支援があるはずだって。

その時からです。

小児科医として目指す方向がはっきりしたのは。

子育て支援の仕事をしたいと授乳しながらどんなことができるか考えたものです。

そのころ、縁あってベビーコムというサイトで「ひだまりクリニック」というコーナーを書かせてもらったりしました。(まだありました)

「ひだまり」って決めてたんです。私が作る場所は。

いつも一生懸命頑張って力いっぱい子どもの命を守っているお母さんがひととき休める場所ってイメージで。

ところが、三人目も産まれ、幼稚園の生活が楽しくて、まだ子どもが小さいからと言い訳して積極的には動かなかった。

勇気がなかったし、自信もなかった。

子育て支援ったって、何をどうしたら?開業?でも、そこまでのエネルギーはないなぁと。

そうこうするうちにどんどん年だけはとるから・・・いわゆる定年となる年齢の方が働き出してからよりも近くなったことに愕然とし、あきらめも混じり・・・

そのころ、「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会の代表のAMAさんと出会い、会の活動を多くの会員の方とする中で、自信を持たせてもらい勇気ももらっての今です。

私が伝えたいことって、みんなも知りたいことだったんだと。

みんなに応援してもらって、ひだまりサロンができました。

焦ったり悩んだりもしたけど、ゆっくりでいいんだなと思います。

無理をしなかったから、今に至ったのだなと感じます。

私らしい子育てを見つけるまでに最初の子どもを産んで6年かかった。

その時に小児科医としての仕事の方向性をやっと見つけて実現までに12年。

なんともゆっくりですよね。

でも、その一日一日やっぱり無駄ではなかったと思います。

妊娠出産は挫折体験でした。

医療は納得できてないと本当に苦しいこともよくわかった。

最初の子どもを育ててたころの私は、本当に恥ずかしい思いこみや失敗ばかりで、子どもにも申し訳なかったです。

でも、だからこその今がある。

挫折や失敗があったから、今の仕事につながっている。

ゆっくりでいいのよ。

悩むことだって悪いことではないよ。

悩むからこそ納得できる自分らしい子育てを見つけられるんだから。

そういうことがいいたいのです。

この一年、私にとっては大きな進歩のあった一年でした。

長年の妄想が現実になりました。

応援してくださるみなさんに感謝

家族にも感謝です。

応援してくれる家族鍛えてくれる家族

来年は、もっと稼働できるように頑張ります。

ここにきてよかった、安心した~といってもらえるように。

ひだまりサロンもゆっくりでいいから、そんな場所として育てていけたら、と願っています。

いろんな企画もできたらいいなと考えています。

新しい年もどうぞよろしくお願いします。

もうすぐ年越し。

気持ちを新たにして、一歩一歩進んで行きたいです。

 

 

 

 


年末年始の予定

2010-12-25 22:07:40 | 次回のクラスは・・・

クリスマスが終わると部屋が気になります。

きちんとできもしないのに焦る・・・毎年です。

今年、大きなチャレンジを始めました

妄想10年以上のひだまりサロン。

いろんな人たちからの応援がありがたいです。

私にできることを頑張ってみる、それだけです。

次の水曜日は29日。

ひだまりサロンもお休みです。

新年は12日からの営業?です。

新年からは杉並区での告知を頑張ります。

杉並子育て応援券使えるんですものね。

告知といえば・・・NHKの夕方の特集「挑戦2011」というコーナーでひだまりサロンを取り上げていただく予定です。

1月5日とのことです。

あ~宣伝みたいで気が引けます~

どんな顔でうつっているやら

勤務病院のまつしま病院とひだまりサロンでの取材だったのですが、メイクで顔が変わってしまったようで?吹き出されてしまいました。

どんなビフォーアフターやら

さてさて・・・

年賀状もまだ!

頑張らないと~

ちゃんとできたら、あと一回くらい「一年を振り返る」的なこと、書きたいな・・・

 

 

 

 


アドボカシーは市民の中に

2010-12-22 16:15:55 | 医療情報

今日、半年ぶりくらいの予防接種の講座をしました。

「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会のひだまりサロンでの二回目の講座です。

予防接種はお母さんたちにとっては、考えてしまうことの一つだと思います。

そんなに病気のリアルなこわさをしらないまま、そんなにたくさん?そんなに早くから?

受けなければいいものなら受けたくないな・・・。

定期と任意って・・・なに?

情報は画一的なお上からの感じのものが多いし。

「予防接種は毒である」なんて極端な話もまた聞こえたり。

ちまたに出回るお母さんたちが触れる情報は必ずしも正しいことばかりではないです。

ネットの情報は怪しいものも多い。

なぜ、予防接種を受けるのか?なぜ必要なのか?

不安なままでは困る、しっかりわかった上で納得できる判断をしましょう、というこの講座。

今回も結構緊張しました。

予防接種の話題はここのところ、本当に活発です。小児科医のMLでも、お母さんたちの間でも。

遠くからも参加くださった方も多くて、杉並の子育て応援券を使っての参加はほとんどなし

告知を頑張らないと

この講座はお配りする自前の資料だけで19ページで、いつも説明を丁寧にするとそれだけで2時間かかってしまう。

今回は私の予防接種の講座では初の試み、なるべく簡単に予防接種の説明を心がけました。

そして、しっかりやりたかった質疑の時間。

全員に発言していただいて、疑問を解消したかったのです。

やはり、質疑はみんなに発言していただいてよかったです。

結局知りたいことは共通なことだったりします。

そして、私が一番いいたかったこと。

「自然にと考えて接種を受けない人も周りにいて迷ってしまう」という質問もやはり出ました。

そうなんですよね

ここが一番言いたいところでした。

自然にかかるのがいいのか?

予防するのがいいのか?

それは、やはり、それぞれの病気の重さや自然感染によるデメリット、予防接種の特徴とそれによるデメリットを知ることからでしか判断できません。

小児科医が勧めるのは理由があってのことです。

ある小児科医の研修会で、予防接種の話題を薬害エイズ裁判の原告の方を招いてしていた時、主催者が「この中で麻疹のお子さんを看取った方は手を挙げてください。」という質問をしました。

100人前後の小児科医の中で20~30人くらいでしょうか、手を挙げてました。決して少なくないのです。死亡率は1000人に一人なんですから。

死んでしまう病気だから。

死んでしまった子どもを前に号泣するお母さんを切ない気持ちで見たことがあるから。

そういうことは現実にありうることなんだとよく知っているから。

だから小児科医は予防接種を勧めるのです。

たった数千円の予防接種を一本受けるだけでいのちは守られるのに。(麻疹は定期接種なので無料で受けられるのですが)

予防接種を子どもに受けさせない人もいますが、これは医療の中での子どもの人権に関わる問題なんです。

自分の身体の治療を自分の選択でどうしようとそれは自分の問題だから責任を自分で取らされることになります。

けれど、子どもの健康を守るためにと、命を落とすようなことがあってもいいのか?

子どもが医療を受ける権利をうばっていいのか?

そこをしっかり考えてほしいのです。

私はこの問題、ここ数年、本当に一生懸命考えました。

子どもの健康を守ってほしい小児科医からすると、誰もが見逃せない問題です。

でも、ほとんどの小児科医は半分あきらめているかもしれません。

消耗するから。

無駄だから。

そんな気分に私も時折なります。

そういうところでエネルギーを使わないで、受ける気があるのに受け忘れている人をしっかり見つけて声をかけていく方が接種率が上がるだろうし。

予防接種の大切さを伝えると、非難されることもあるのです。

「小児科医はそうやって親を脅している。」

「国が出したデータなんて信じない。」

「小児科医やワクチンの会社が儲けるためにやっきになってるだけ。」

そういう言葉を受けました。

さらに、「うちの子は、麻疹になっても重くならないように育てている。」と。

これは、とても傲慢な意見だと思います。

麻疹にならないのは、周りの子どもがデメリットもある予防接種を受けて予防接種率を上げてくれているからなのですから。

それは納得できないという・・・反論がありました。

小児科医もいけない部分があるのかもしれません。

説明が足りないのかも。

頭ごなしに怒る先生もいるって話も聞きます。

でも、依怙地な心に一生懸命に説明しても届かないということもあります。

依怙地になる原因が医療不信ということもありますね。

そういう方の背景にはそうなるだけの理由があるのかもしれません。

けれど、予防接種での不利益を被る声を出せない子どもに代わって訴えられるのは小児科医しかいません。

一人でも、「納得できた」「よくわかった」「来てよかった」といってくださる方がいらっしゃるなら、この講座、緊張するけど続けます。

最近、どんどん変わる予防接種。

新しく出てくるワクチンのこと。

頑張って勉強して、わかりやすい言葉で伝わるように注意してお話しします。

お母さんの不安を受け止めながら。

 

アドボカシーというのは、声を出せない人のために、代わりに訴える、代弁者になる、ということです。

小児科医は子どもの代弁者になりたいのです。

でも、お母さんの気持ちを無視しての行動ではいけないとも思います。

子どものためのことだと親が納得できるように伝える、伝わる言葉で話す、そういうことが大事だと考えています。

 

外来小児科学会のワークショップで、このアドボカシーのワークショップがあります。

予防接種のこと、事故予防のこと、そして、今年は子育て支援が話題でした。

実は、このひだまりサロンも、今年のワークショップで宣言した「子育て支援をしたいです!」という気持ちが形になったものなんです

参加者の皆さんが温かく応援してくださった言葉を忘れません。

 

熱すぎる?うっとうしい?長文。

お付き合いくださいまして、ありがとうございました。

反論のコメントもうかがいます。

一生懸命、お答えします。

今日、ご参加くださった方は、もしもコメントいただけたら、とっても嬉しいですが・・・。

 

 

 


子育てがキャリアになる社会になれば

2010-12-18 23:56:13 | 子育てあれこれ

三人子どもに恵まれました。

男男女で、18歳12歳8歳のうちの子どもたち。

一人目はとても育児不安が強くて、可愛くても振り回されてどこかきりきりしてて精神的にはきつかったな。

手を抜くことが上手になってきて、一人目のようには神経が行き届かないような...それがいいのか悪いのか?

大きな病気もせずに育ち、元気に学校に行ってくれてます。

それだけでいい!と心から思えたらどんなに楽でしょう。

当たり前に思ってることは決して当たり前じゃない、命も健康もそれだけで奇跡的でありがたいことなのに・・・。

医者なんだからよく知っているのに・・・。

我が子だからこそ、こうだといい、これはよくない、と自分の価値観を押し付けがち。

今は特に次男が心配で過干渉だという自覚もあります。

はい、よくないことはよ~くわかっております。が、なかなかうまくはいかない。つい口出ししてしまう。

落ち込むと自分にいいきかせてます。

「生きてりゃいい」

「明日になったら、今日は過去」

子育ては修行・・・だと思います。あきらめないで自分の成長を信じての修行。

私は子育てが下手だから、こういう子育て支援の仕事がしたいのかもしれません。

なんか矛盾して聞こえるでしょうね。

次男が生後半年で復帰したときに産前のようには働けなくてフルタイムの職を辞しました。

そのとき、子育てをキャリアにしたい、そうできるようにしっかり子育てしよう、と思いました。

子育てがキャリアにならない社会だから少子化なんだと思う。

 

お母さんになってから小児科医に復帰したとき、患者さんに言えなくなった言葉があります。

「どうしてこんなになるまでおうちで見てたの?」

「こんなことでこなくてもいいのよ」

そういう言葉。

若かりし頃、深夜に便秘の腹痛とか湿疹などで救急外来の患者さんには相当いや~な医者だったと自分でも思う。

悪いことしたなぁとか、恥ずかしいと思う。

でも、こういう余裕あること言っているのは、今は救急外来を見なくてすむ状況だからなんです。

日々、救急の現場で頑張ってくれているお医者さんたちには、本当に身を削りながらという表現がぴったりな生活の人も少なくないと知っているので。

そんな余裕のない中で優しい言葉をかけられる人は少ないんじゃないかなとも思います。

人をケアする人こそ、自分の充実や余裕が大事なんですよね。

 

私が出会うお母さんには、学校や幼稚園の先生も保育士さんも看護師さんも助産師さんもお医者さんも介護士さんもいます。

「子どもを産んだ今、以前とは違う働き方ができると思う」という方がいらっしゃいます。

「自分がお母さんになったら、こんな風になれると思ってたのに、思い通りには全くいかない・・・」とか。

保育士さんや幼稚園の先生でも、ですよ。

そうなんですよね。

我が子を育てるというのは初めて、から始まるのだから。

子育ての経験は絶対活きると思うのです。

特に教育とか医療福祉の現場では。

どんな職業にもキャリアになると思う。

子育てほど忍耐を必要とする仕事は他にはないから。

でも、働くか働かないか、100か0しか選べない社会というのが現実ってことがまだまだ多い。

10年前よりは意識はましかな。でも現実はまだまだ厳しい。

そういう社会は、子育てする女性の生き方を限定する社会。

そして、女性の能力を無駄使いするもったいない社会だと思う。

子ども手当をもらっても、根本的な解決にはならない。

お金もらえるなら子ども産む?そんなことないなぁ~

もっと社会で子育てを応援する、そんな日本にならないと。

子育てすることが楽しくて、大変なことがあっても喜びが勝る、そんな日本にならないと。

結婚するしない、出産するしない、仕事をするしない、さらに自分の働きたいだけ働ける、100か0でなく自分が働きたいだけの30とか60とか、そういう選択肢を納得して選んで、どんな選択も尊重されて守られる。

そんな社会だといいな。

うちの子どもたちが働くころにそんな社会になっていればいいな。

お母さんの視点が仕事に活きている、周りにもいっぱい素晴らしい例があります。

たとえば、マスコミで頑張っている方々にも多いと思う。

前回の記事の読売新聞の医療ルネサンスの記者さんもお母さん。

フジテレビの「トクだね」のワクチンの特集を一生懸命作ったのもお母さん。

私も、子育てしたからこそ、多くの悩みや失敗をしたからこそ、今のように仕事ができるようになったと思います。

そして、可愛い子ども達にいっぱい出会える、この仕事が本当に大好きで幸せです。

お母さんの心が軽くなるなら私の恥ずかしい失敗談なんていくらでもしてあげる!

失敗したけど、取り返しがつかない、ほどではない、かな?

きっとそうだと思います。そう思わないとやってられないもの。

子ども達は、そんなお母さんのことも許してくれてるんだなぁと思うことも多いです。

 

 

 

 

 


読売新聞医療ルネサンスで取り上げられました

2010-12-14 12:14:56 | クリニックからのお知らせ
ひだまりサロンでのはじめての[知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会の講座「ママ小児科医からママたちへ」に、取材にきていただきました。
その時のことを読売新聞の医療ルネサンス「子どもの急病」のシリーズで取り上げていただきました。
取材はママ記者さんがしてくださり、輪の少し外から、ずっと熱心に聞いてくださっていました。
私たちが、どういう思いで活動しているか、丁寧に聞いてくださり、わかりやすい記事にしてくださっています。
「子どもの急病」は、5回シリーズですが、どの記事も、熱心な取材から書かれたもので、お母さんたちにとても勉強になると思います。
 
子どもの急病の経験がない人にとって、知ることで安心することの大事さ。
知ることで不安になるのでなく。
そこを目指しています。
 
子どもの急病は、経験が一つ一つ学びになる。
今はとても無理という人もきっと大丈夫!
そういう方にこそ、聞いていただきたい講座です。
 
後日、その記者さんに「小児救急の現場ではないけれど、こういう活動も小児救急の支えになると思う」というご感想をいただき、とてもうれしかったです。
いつも、救急の現場に立っていない私がこのような活動をするというのはどうなんだろう?
自分の生活が大変で一ぬけた!とさっさとやめてしまったのにと、現場で頑張っていらっしゃる多くのお医者さまのことを思うと、
申し訳ない気がするからです。
 
でも、今自分のできることがそういう意味で役に立っていたらとてもうれしい。
できることをやっていきたいと思います。