テレビニュースでも連日のように報道されてますので、ご存じとは思いますが、風疹の流行が爆発的に起こっていて、
久しぶりの流行と騒がれていた去年の比ではないことが感染研の報告でわかります。
関東、特に東京で流行していること。
18歳以上、特に30歳代で、男性が女性よりずっと多いこと。
発症者のほとんどがワクチンを未接種、または接種歴不明です。
風疹自体は、それほど重い病気ではないです。
(それでも、こういう病気は大人でなると、普通はかなり辛いものですけれど。)
でも、大騒ぎされているのは、妊娠中、特に初期のお母さんが感染すると、胎内で赤ちゃんも感染して、先天性風疹症候群になってしまうからです。
風疹ワクチンは、予防接種の中では、社会で病気を減らす、社会で弱者を守る、そういうことが特に大事なワクチンです。
免疫を持っている率が高いほど流行は起こりにくくなります。
そのために、免疫獲得率を上げなければならないのです。
日本の風疹の歴史をみれば、どうして30歳代の男性(20歳以降)に多いかがわかります。
以下、ワクチンの歴史は「予防接種ノート」(診断と治療社)参照です。
1977年から、それまでの流行をなくそうと中学生の女子に定期接種を開始しました。
(この直前の流行で沖縄で多くの先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれました)
その時中学生以上だった人、つまり、1965年以前生まれの世代では、男女とも定期接種されていないのです。
それでも、先天性風疹症候群をなくすためには社会から流行をなくすことが大事だということで、
(中学生の女子だけの接種では流行はなくならなかったし、先天性風疹症候群の赤ちゃんも産まれたということ)
1995年から、1歳から(12か月から90か月)全ての幼児が対象になった(男児も、ということ)。
そして、そのままでは2歳~13歳までが接種漏れになるので、6歳と14歳で移行措置の接種が開始されました。
ところが、この接種時期を変更したことによって、一回も受けなかった人が出てきました。
(自治体によっては10~20%とも)
2006年のMRの二回接種開始後、3期(中学1年生)や4期(高校3年生)の移行措置を5年間してきたのと同じですね。
(今年度は移行措置の最終年度で、5年目です)
だから、22~3歳くらい以上の男性は移行処置のときに受けていないと未接種です。
つまり、男女ともに一歳で一回目の接種してるのが22~3歳までの世代ということですね。
2006年からMR(麻疹風疹の混合ワクチン)の二回接種になりました。
MRの移行措置(3期4期の接種)のおかげで、今の22歳くらいまでの人は、きちんと受けていれば2回目の接種ということですが、
この3期4期も接種率は常に低かったことがずっと心配されていました。
移行期の3・4期で受けていないと一回です。
それ以上の世代は女性では一回接種する機会が中学生であったけれど、
男性で、1歳での接種をしていないための移行処置の接種をしていないと未接種になってしまいます。
男の子だからいいだろうと、それまで女の子にしかしてなかったのにと考える人も少なくなかったのかもしれません。
1989年から、MMRというワクチンが導入されたけれど、
当初から副反応が話題になってたので、接種率は高くなかったのでしょう。
今までなぜ、今回のような爆発的な流行がなかったのでしょう・・・?
こうして、歴史を振り返ると、もっと早くこういう流行がある可能性だってあったのだと思います。
おこるべくしておこったもののようにも思えてきます。
今からできることは・・・
子どもは、就学前までにMRワクチンを2回接種をきちんと受けさせること。
特に妊娠を意識する人は、ワクチンを。それも、麻疹ワクチン風疹ワクチンが1回なら、MRワクチンがお勧めです。そして、二か月避妊。
1回接種では不安なので、未接種の人・不明は人だけでなく一回接種の人も。
1回接種で不安というのは、生ワクチンといえど、免疫が弱まってくるからです。
その場合、抗体価を調べないまま接種しても大丈夫です。
検査費用はワクチン費用に回した方がいいと思います。
不妊治療を希望する人は、ワクチンをして二か月避妊して、治療開始。
妊娠時の検査で、風疹抗体価が低いといわれたことがある人は、出産後体調のいい時に早めにワクチンを。
22歳以上、子ども時代に未接種、一回接種の人、接種歴のわからない人は男女ともにMRワクチンを。
周りに妊婦さんになりそうな人がいる方はお勧めです。(奥さん・姉妹とか・・・)
感染したかどうか不明の人も接種しても問題ありません。
妊娠中の人は・・・むやみに人ごみは避ける、特に流行地では・・・
妊娠初期から中期くらいまでは一番感受性の高い時期です。
奥さんが妊娠中の男性はすぐに!ワクチンを受けましょう~!
自分の子どもを守ることに繋がります。社会の免疫獲得率を上げることにもなります。
どの方にも風疹ワクチン単独でなくMRワクチンをお勧めするのは、麻疹だって二回接種が望ましいからです。
供給も安定していますし。
子ども達は二回接種が定期接種でできるのですから。
(2001年以降の出生の子どもは、就学までに定期接種でMRを二回接種しています。)
ひだまりクリニックでも、ご希望があれば、MRワクチン受けられます。
もちろん、麻疹になったことが確実だという方は、Rワクチン(風疹単独ワクチン)も受けられます。
ひだまりクリニックでは、MRワクチンを任意接種で受けるときは7000円、風疹単独では5000円です。
そう思うと、3月31日すぎると高校三年生の子は無料で受けられた4期の接種ができなくなってお金が結構かかるでしょう?
周りに中学1年生・高校3年生の方はいませんか?
まだMRの二回目を受けていない方は、急いで接種しましょうね。