ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

8月30日 わだっちイベント紹介(9月でなく!)

2014-08-27 09:11:57 | イベント情報

地元ネタかな?

先日わだっちコラボのひだまりクラスを初めてしました。

何回か紹介してますが、わだっちは私も数年前はどっぷり参加してた地元の活動です。

商店街活性化!とママが元気に!の両方を狙う活動です。

8月30日にも大きな楽しそうなイベントがあります。

(最初9月とかきました!  は~大丈夫か、私・・・)

体験講座作りワークショップです。

店主さんと一緒に作り上げていく講座みたい。

興味あるお店に出入りできた店主さんと仲良しになって、

商店街マイスターを目指してみます?

私も参加したい~

でも、残念!

30日~31日は、「夏休みの宿題」を発表する外来小児科学会です。

久々の学会発表。ひだまりクラスのことを発表します。

「知ろう小児医療 守ろう子どもたちの会」のみなさんと大阪に行きます。

また、何かを得てきたいと思います。

ひだまりに来てくださる皆さんに役立つものを持ち帰りたいと思います。

この学会はとっても刺激的で楽しいんですよ。

多くの子どもたちのために何ができるかと一生懸命で熱い小児科医が全国から集まるんです。

今回も楽しみ!


8/17 舌小帯短縮症の公開シンポジウムで

2014-08-17 23:49:19 | 医療情報

去年の3月に「意を決して」と書いた舌小帯のことは、いまだにコメントがつくほどの記事なのですが。

私も、堂々巡りになるのをやめたいと同じ内容の批判は今は削除しています。

そして、やはりこの問題の根深さを感じながら、実は杉並の問題の助産院の対応がやや変わったと保健師さんの報告も受け、

最近このことで、泣いているお母さんは確かに減ったな・・・とよかったなと思っていたのですが。

この春、舌小帯の切除で母乳育児中のお母さんの乳頭の痛みが減る、哺乳障害の改善もある、外国での論文もある、

積極的にしてはどうかという報告が小児外科医の先生から

小児科学会の雑誌にあり、びっくりしました。

もちろん、学会で科学的に検証されるのは大歓迎です。

そして、エビデンスのある治療なら受け入れられることでしょう。

大切なのは、患者も医者も納得できる治療であることだと思います。

シンポジウムでは、歯科・耳鼻科・小児科・小児外科・言語聴覚士の立場での発表がありました。

哺乳障害での安易な舌小帯切除を懸念していたのですが・・・

小児外科医の先生は、そこにこそ切除の意味があるので、早めの切除をという話でした。

でも、いくつかの疑問をクリアにしないと受け入れられないということを感じました。

まずは、哺乳障害があり舌小帯短縮があったら手術というけれど、切除しても改善がない場合も多いのではないかということ。

実際、今のところ、すごく良かったという人がいる一方、まったく変わらないと泣いている人はそれより多い印象をもっているから。

哺乳障害が舌小帯が原因だろうと思う症例はとても少ないと思えるから。

同じような舌小帯でも、上手に飲む子とそうでない子がいるので。もっとほかの要因が多いだろうと思うからです。

(手術の評価は母親へのアンケートであるけれど、客観的な評価でないように思えたのです。もちろん、ほかの体重増加などの指標もあったけど)

次に、早めに・・・という処置は、自然経過でほとんどの舌小帯短縮症が軽快するのだから、しないでもいい処置を受けることが多いのではないかということ。

歯科では構音障害を理由に現在普通に舌小帯短縮症の診断がされていて、その割合は約9~12%という数字でした。

(さらに、手術をする程度のものは、その1/3とのこと。年齢は哺乳障害の時期とは異なり、3歳くらいからです)

その小児歯科の先生のあと発表された小児耳鼻科医の先生は、

歯科で安易に手術されて(親は何をされたか理解すらしてなかった)感染し(口腔底の蜂窩織炎)、

呼吸困難になり(気道のすぐそばなので)緊急の気道確保が必要だった症例の報告もしてくださいました。

 

昔の小児科医(禁じられているけれど、昔は助産師も)は、出産直後の膜状の舌小帯をハサミでちょんときってたそうですが、

私が研修医をしてた頃はすでに禁止されてました。

研修でも、必要ない処置といわれ、経験はないです。

膜状のものの処置は、経験をしている医師にとっては本当に簡単なものだそうで、

されているご年配の小児科医の先生は「予防接種なみ」という話もありました。

歯科と耳鼻科の先生はきちんと縫合もされる方法でしたが。

(これは年齢が高いからだと思います)

(時間がたつと自然によくなる場合もある一方、血管が入り込んで処置が大変になる例もあるよう?だからやるなら早く?)

小児科医ではその処置は伝承はされていないという問題もあります。

実際にその処置が本当に必要なのかということは、まだまだ検証されないといけないと思います。

それほど必要性を感じないのですが・・・。

たまたま、そういう情報を伝える助産師さんに出会ってしまって、不安になりという症例の場合に、

必要ないということもできず(信頼関係のある助産師さんの紹介なので)お母さんを納得させるために、

切除をしないで切除したふりをしていることもシンポジストのご年配の小児科医の先生はあるそうですが、

そのあと、「おかげさまでよく飲めるようになりました」という報告があったり・・・

(つまり、切除が必要というわけでないが、不安が取り除かれる効果があったということ)

現在のところは、

「舌小帯の切除は哺乳障害ということで乳児期にする必要は基本的にない。

構音障害が起こる3~4歳以降に考えればいい。

まだまだ発達途上にあることを考えたら、5歳以降で専門医紹介でもいい。」

という基本方針でいいでしょう。

(ただし、発音のトレーニングができる小児を専門にみられる言語聴覚士は非常に少なく充分なケアがされていないことも問題)

歯科の先生の発表でもそういう話でした。

フロアからの母乳育児支援をされている歯科の先生のお話しでは、数はとても少ないが、

やはり舌小帯切除の有効な哺乳障害の赤ちゃんはいて、

その診断が大事という話は興味深かった。

指を吸わせて特徴的な舌の動きをとらえるフィンガーテストを紹介されてました。

いろんな立場の先生のお話しを聞けて勉強になりよかったですが、

では、診断は?適応は?本当に効果的なの?ということをもっと確実に検証しないと、だと思います。

 

さて、私がこんなひどいこと、と言ってた一部の助産師による

「舌小帯の問題です。この耳鼻科医に相談に行って。小児科の先生には相談に行かないで。」という話と、

その耳鼻科で筋肉までレーザーで切除する保険診療でない方法で12~13万円もかかるという話。

まったく話題にもなってませんでした。

私がフロアからその話をしたら驚きと苦笑で受け止められていました。

ですから、今回のシンポジウムでも保険診療でできる処置が大前提です。

やはり、受ける受けないは、どちらにしても、よく説明を受け、納得してからにしましょう。

今のところの私の結論は、今までと基本的には変わりません。

このことは、学会でもっと取り上げてもらい、検証が進めばいいなと思います。

その結果が科学的で納得できたら、舌小帯切除も受け入れられるだろうと思いますが、

まだ、今のところは不十分だと思います。

ガイドラインもできるのは、まだ先ではないでしょうか?

小児科医は、なかなか必要性を感じないと思います。

臨床をしているとそう思います。

舌小帯だけで、哺乳障害は説明できないのがわかるから。

つまり、同じ程度の舌小帯の状態でも、上手に飲める子とそうでない子がいて、ほとんどのお子さんは飲めているから。

舌小帯以外にいろんな要素があるからです。

力のない助産師ほど、そこの診断ができずに、またいろいろな工夫(抱き方、乳頭の含ませ方、授乳のタイミングとか)・技術や親への心理支援もしないままにすぐに子どもの舌小帯のせいにしている印象がある。

もっとしっかりと支援できる助産師さんがいっぱいいることを私は知っています。

切除が必要な子は8割から9割だなんて、とんでもないことです。

 

一つ。

大事なこと。

桶谷式の乳房管理を長年されている助産師さんのシンポジストの報告では、

「桶谷式で、呼吸障害と舌小帯を関連づけるのはやめるように」と数年前からなっているということでした。

 

もう一つ。

当たり前ですが、髪が立つ・呼吸が乱れる・甲高いなき声・よく泣く・そりがつよい・股関節が固い・自閉症とも関係・思春期が大変よ・・・

などなど、それらが舌小帯のために起こるということを言って、問題の助産師は脅したりするのですが、

そんなキーワードは全くでてきませんでした。4時間近くの討論の間、誰からも一言も。

当たり前ですね。科学的に検証しようという場なのですから。

いかにおかしなグループが存在しているか。

そして、勝手に「学会」と称する団体を作っているか。

ニセ科学に騙されないようにするにはどうしたらいいかも考えていかないと・・・

不安な人につけこむ商売はあとからあとから出てきますから・・・

 

 

 

 

  


子どもがあっけなく亡くなってしまってたちょっと昔(2世代くらい前のこと)

2014-08-17 00:41:22 | 子育てあれこれ

ごきげんよう~

とくれば、「花子とアン」

テレビもないネットの接続も悪い田舎で今週すごしてたので、録りためた「花子とアン」を見ながら泣きました。

こんなにもあっけなく子どもって亡くなるの?と思われた人も多かったでしょうか?

でも、抗生物質もない、点滴もない、けいれん止める薬もない・・・

そんな時代に子ども時代を過ごしたのが私たちの祖父母・父母の世代だと思います。

(もはや戦後ではない、といわれるようになった頃まで・・・でしょうか)

私の母は、小学校1年生のときに満州で終戦を迎えました。

引き揚げ船にやっと乗れたのが戦後1年。

(通貨の単位がどんどん変わる世相での経済面とロシアの侵攻のための治安で苦労した日々だったそう)

日本の港は目の前なのに、赤痢を入れないために全員の検査結果が出るまでと船上で一か月足止めされたそうです。

栄養状態の悪い不衛生な環境で満足な医療もない国に感染症が持ち込まれ流行したら、ばたばたと子どもが死んでしまうでしょうから。

満州でも、多くの子どもが引き揚げの過酷な生活でなくなったこと、家族全員無事で帰れたところはめったになかったこと、

無理して連れ帰って途中で死なすくらいなら・自分たちだって無事かわからないくらいなのだからと、

現地の人に子どもを託して泣く泣く帰国した人もいたこと(中国残留孤児です)・・・

私の祖母は、そのことを手記にまとめる活動をして「凍土からの声」という本を仲間と出版しました。

よくその話を母からも聞きながら育ちました。

 

医療はあたりまえにあって、子どもはめったなことでは亡くならない。

今の日本ではそうなっていますけれど、それは、たぶんここ30~40年の話です。

この時代ってそんな一日とか二日で子どもが亡くなったの?と何人かに聞かれたけれど、そうだったろうと思います。

私が研修医になった時代の大先輩は、

「今は白血病が生きられる時代になってきたね~」とおっしゃっていた。

「20年前は半年以内にほぼ全員死んでたものだ」と。

「戦後は、結核性髄膜炎がいつも何人も入院してて、ベッドに並んで待つ子どもたちを何人も周って次々と髄注したものだ」とも。

(髄注というのは、背中からの髄腔への薬の注射です)

私が研修医の頃、白血病や小児がんの子どもたちは助からない子も多かったです。

数年前、その研修病院でずっと頑張ってこられた当時の同僚の先生から、

「ここ数年、悪性疾患の子どもたちは一人も亡くなってない」と聞いて、本当に涙が出ました。

医療の進歩は素晴らしい。

多くの人々の工夫と努力の積み重ねからその進歩はある。

簡単に「昔はよかった」などといえるはずない。

医療にいやな思いのある人に、そういうことをおっしゃる人がときどきいるけれど・・・

花子のような辛い思いをする人が少なくなるように・・・という気持ちが医学の歩みを支えて来たのだから。

当たり前の医療が、人の幸せにつながるように・・・と願う。

医療は、人が幸せになって初めて成功なんだと思う。

もちろん、すべての人は死ぬわけだから、医療は幸せな死につながっていくものであってほしい、とも思う。

死というだけで医療が敗北なわけではない。

幸せとまではいかないまでも、納得できるものであってほしい。

自分の人生を考えたら、そういう死を目指したい。

死は、老いを感じる年になり、身近な問題になりつつあり。

納得できる死のためには、やっぱり納得できる生き方も考えないと。

今週、終戦記念日を含む旅行はのんびりして、村岡花子さんのエッセイ集や「アンのゆりかご」などを読んでみました。

戦前に書かれたエッセイでも、全然古い感じでなく、とてもおもしろかったです。

アンに夢中だったころ、村岡花子さんの写真にえ?とがっかりしたものですが

なんとも・・・浅い感想なことだと今さらながらに恥ずかしい思いがします・・・

お子さんを亡くされるという経験をして、それでもわが子に向ける愛情を昇華した形で、

世の中に多くの本を届けるという素晴らしい仕事をされてきたのだとよくわかりました。

世の中を美しくする仕事、ですね。

次の世代を考えるという今の私にも大事なテーマです。

 

 

 

 


来月のひだまりクラスの予定です(8月16日更新しました)

2014-08-10 11:50:00 | 次回のクラスは・・・

9月のひだまりクラスの予定です。

スペシャルイベントの予定を新たに更新しました(8月16日)

初めての試みを9月1日にしようと思います。

小さい赤ちゃんのクラスです。

ワクチンをしてない方も大丈夫というものです。

4か月くらいまでの定員5~6名くらいのクラスにします。

もともと、妊娠期や出産直後に小児科医はもっと何かできないかということを考えていました。

一番不安な時期、ちょっとしたアドバイスがとても安心につながる時期です。

また、おっぱいのことは、こうしておいたらよかったのにね、ということもありうる時期ですので。

1か月健診もありますが、それまででも不安なことはいっぱいあることでしょう。

ですので、今回は、退院直後からでもどうぞというクラスです。

もちろん、妊娠中の方も大丈夫です。

小児科で聞ける赤ちゃんのこと、実際に生まれたばかりの赤ちゃんはどんな感じ?という方にもいいかなと思います。

子育て応援券使用できます。500円です。

計測しますので、その上で、おっぱいやミルクのことを考えられます。

他にも、抱っこのこと、泣いて困ること、おへそのこと、洗い方、湿疹、吐くこと・・・

ワクチンの不安やスケジュールなどの質問にもお答えします。

いろんな不安がある時期です。

何でも聞いてくださいね。

17日・24日は、いつものひだまりクラスをします。

29日には、以前もお願いした歯科医の岡田弥生先生にお願いしています。

歯磨きが苦手なお子さんこそどうぞ!

実際に使っている歯ブラシを持ってきてくださったら、実際の歯磨き指導をしていただけます。

寝ころばせてどこにどのような角度であてるか、どのくらいの力か、どうやって身体を抑えたらいいか。

百聞は一見にしかず、です。

岡田先生は長年杉並区で乳幼児歯科健診を担当されてきた先生です。

5月14日の前回の様子はこちらでご覧になれます。

予約はお電話かメールで。

03-3315-0217

hidamarisalon☆ ybb.ne.jp( ☆→ @)

10時開始12時まで。

お昼お持ちくださったら、みんなと食べてその後もおしゃべり続けてどうぞ。というシステムです。

 

 

 

 

 


ご意見募集中です!

2014-08-06 06:41:13 | クリニックからのお知らせ

このブログ、読んでくださってありがとうございます。

たぶん、ひだまりクリニックにかかってくださっている方が多いかなと思っていましたが、

FBで知り合った、まったく面識もない方が読んでくださっていることがわかり、ありがたく思っています。

クリニック開業して3年目。

保険診療をしない、予防に目を向けた風変りな開業をして、思い描いてきたクリニックに育って来てるのは、

ここに来てくださっていろんなお話しをしてくれるみなさん、いろいろな面で支えてくださる多くの方々のおかげです。

「予防」と言っても、いろいろなことがあります。

予防接種も予防です。

でも、日々の生活はまさに健康を築く大きな土台になります。

食生活、身体を使うこと、遊び、そして生活リズムなど。

この点では、日々の生活を作り上げる保護者にこそ、予防の大きな面を担っているということもしっかり伝えたいと思っています。

病気になったときは、子どもの日々を知っているからこそ、「いつもと違う」に敏感になれるのです。

そういったことを伝える場として、ひだまりクラスを始めて3年以上たちました。

母親が楽しく集える場所、正しい医療の知識を得られる場所、悩んでいるのは自分だけではなく他の母親の育児を見て安心したり、元気をもらえる場所を作っていきたいと思っています。

やりがいも感じますし、自分の学びにもなります。

このような場所が各地にあるといいなと思い、してきたひだまりクラスの取り組みを学会発表することにしました。

もし、参加したことのある人はもちろん、そうでない方も産後の母親学級には、こういうものがほしいとか、

こんな場であってほしいというご意見がありましたら、ぜひ教えていただきたいのです。

参加された方は、こういうことが改善されたらいいのにということを教えてください。

年齢を分けてほしいとか、人数がどのくらいが適当か、とか、辛口なご意見も大歓迎です。

一人で満足してないで、多くの人に来てよかったと満足していただける場所にもっと成長させたいので、

ぜひご協力をお願いします。

クラスに参加されたことのない方のご意見でも結構です。

年齢と参加の経験のみで結構です(お名前は書かれなくてもいいです)

コメント欄でのお返事でも・・・

近くの方はポストに入れてくださっても。

お手紙でも、(杉並区和田3-4-12 佐山圭子あて)お電話でも、メールでも・・・

 

さらに、まだ手掛けることができてなくて私がしたいと思っていることは、一番不安な産後すぐのお母さんへの支援です。

その点については、ひだまりクリニックでこんな支援があるといいのにというようなことを教えてください。

「いつでも健診」←産後すぐでも、という意味で、してますが、ほとんどお申込みがありません。

一番不安な時期だろうと思うのですが。

帰宅直後でもひだまりクラスというのを人数と月例限定でしてみるというのもいいのかな?とか考えていますが・・・

 

お忙しいと思いますが、もしお気持ちがあれば、どうぞご協力をお願いいたします。