ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

今年最後のひだまりクラスでした

2011-12-29 00:44:47 | クラス日記

年末になってしまってどうかと思ったのですが、何人かのお申込みもあったし、忘年会的にやろう!とおもっていたのですが。

なんとなんと、体調の悪い方続出!で、結局お一人でした。

一対一のひだまりクラスって、こわい?かな?

初めての人だと緊張するだろうな・・・とも想像できます。

今日の方は数回いらした方だったので、双方リラックスしてお話できました。

お子さんもおもちゃでめいっぱいあそんでました。とりあいっこもなく。

私自身の悩みごともきいていただいたりして、きっと何年妻や母親やっていても悩みは尽きない人もいるんだとおもわれたことでしょう。

私がどんなに失敗ばっかりかということは私の話を長く聞く人ならみんな知ることになるんですよ。

本当に失敗ばっかり。

健診では、いくらでも失敗談でてきますよ~

恥ずかしいけれど、私の失敗談で「小児科の先生だってそうなんだ~」っておもってもらえれば、それで十分!

その時々で、「一生懸命」には自信あるので、仕方ないなとも思うのです。

こんな私が子どもの相談受けていいの?と自問自答しては苦しい・・・のですが。

「大丈夫だよ、悩んでいる人だからこそ、相談する気になれる人もいるんだから」とか、

「そういう仕事をしながら、自分自身が育ててもらえるよ!」とか。

励ましてくれる友人が背中をおしてくれて、今にいたっております・・・

ありがたいことです。

そして、

悩みを乗り越え、パワーにしていきたい。

そのパワーをよいものを作り出すことに使いたい。

それは何?ってことは妄想の閾をでないけれど。

「よりよいもの」でおもいだした!

いい話!

同年代の最近お付き合いのあるすてきな女性に聞いた話。

熱い心で、大きなプロジェクトを夢見てる、いや、現実なんだけど、なんとかよい形にしていきたいと取り組んでいる。

今までのいろいろな経験と心をフルにつぎ込んで。

お金にならなくっても、理解されにくくても・・・

そんな彼女がいうには、

蚕は桑の葉っぱを食べて、食べてどんどんフンをだすんだって、みどりのフン

消化管を通って、消化したものを出す、あたりまえのこと。

でも、やがて、充分取り込んで、充分大きくなったら、今度は口から白い絹をはく。

単なる消化でない、どんな反応なんだか、タンパク質なんだそう。 

単純にいわれたことやる、そして単純に成果を出すだけでは飽き足らないんだってことなんだと思う。

自分にとりこんできたもので、自分が培ってきた力で、自分の中での反応で、この世に何か形になる納得できるよいものを残したい。

「みどりのフンじゃなくって、きれいな白い絹がいいんだよ~」という彼女はかっこよかった!

私も同じ。

言われたことだけでない、世の中のあたり前のことだけでない、なにか。

傷ついて悩んできた自分だからこそできるなにか、があるかもしれない。

そう思い続けて、いきついたのが、この小さな小さなクリニックです。

来年は1月11日・25日がひだまりクラスです。

元気なときに楽しんで参加するのが大事なので、体調悪くてキャンセルしてもまったく気にしないでいいですからね。

当日キャンセルでも大丈夫。

雨だからキャンセルでも、もちろん大丈夫。だって赤ちゃん連れだもの。

予約したから悪いからと、無理して参加、なんてしないでくださいね。

 

 


今後予防接種相談クラスをしてみようかとおもいます

2011-12-22 21:08:00 | 次回のクラスは・・・

参加している外来小児科学会のMLで、予防接種をどうくみたてればいいかの相談を外来でするにはとても大変という話題がでました。

予防接種は決まり事と、それから個々の事情、同時接種するかどうか、そういうことでもともとスケジュール立てるのは大変でした。

さらに、11月からロタワクチンが始められ、ますます大変に。

もうロタワクチンと同時接種せずにはスケジュールが組めません。

今日行った保健センターの3~4か月健診でも、ロタなどを受けるスケジュールのためにBCGは延期しますという方が何人もいらっしゃいました。

BCGは6か月を過ぎると任意接種になり有料になってしまうのですが、それでもそうする、ということなのです。

BCGが個別接種の自治体は、BCGと同時接種ができてまだスケジュールの工夫ができるのですが、集団で健診のあとでするという自治体ではそれができません。

一か月健診でスケジュールを丁寧に教えてもらえればいいのですが、産院によって対応が違うし、里帰り分娩では自治体が変わり事情が違うこともあります。

さきほどのMLでも、役所の窓口ではきめ細かさや責任が・・・という意見、外来で予防接種の相談が長くなるのは困るという意見、などさまざまでした。

その中で、お!まねしたい!と思った取り組みがありました。

岡空小児科での試みです。

予防接種無料相談をされています。

岡空先生は直接存じ上げないのですが、いつもMLでのご意見は素敵な先生~と勝手に思っています。

私も、同じようなことをしてみようかなと思います。

ひだまりにはひだまりクラスもあるし・・・。

予防接種のことを中心に基礎的なことを伝え、スケジュールを考えるお手伝いができます。

ニーズが多ければ予防接種の相談のクラスを設けますが、とりあえずは、ひだまりクラスでやります。

12月は28日に今年最後のひだまりクラスをします。

1月は、11日・25日にやります。

3315-0217

またはhidamarisalon☆ybb.ne.jpまで(☆を@に変えてください)、予約をお願いします。

 

予防接種が多くなり、情報が溢れる中で、ちょっと?なぜそんなことを?というような判断をされる方もいらっしゃいます。

先日ロタワクチンを受けて他は何も受けていらっしゃらない方が区の4か月健診に見えました。

「夫が胃腸が弱く、子どもの胃腸炎が怖くて・・・」ということでした。

同時接種もいやなので、細菌性髄膜炎のワクチンはあきらめるとのこと。

これは、どうかなぁと思います。

ロタワクチンよりも細菌性髄膜炎のワクチンの方が優先度は高いのではないかな~と。

罹患する(病気にかかる)人数は圧倒的に違いますが、死亡数や後遺症数は圧倒的に細菌性髄膜炎の方が多いのだから、ヒブや肺炎球菌のワクチンは受けた方がいいです。

(ロタウイルスは5歳までにはほぼ全員かかります。保育園にいれば、早まりますし。)

ロタウイルスの感染では、合併症(脳炎やけいれん)や重症で入院を要する人もかなりいます。

下痢も長引くことが多いですしね。

親の負担や経済損失を含めると、ロタワクチンの費用対効果は細菌性髄膜炎に勝ると聞きました。

でも、やはり、いのちを脅かす怖さはずっと細菌性髄膜炎の方が大きいと思います。

きちんと受けておくと、夜の発熱も余裕を持ってみていられます。(救急外来の医者もです)

ぜひ受けてほしいなぁと思い、健診ではいつも予防接種欄をチェックチェック!

やっとこさ、ヒブワクチン肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンの助成は来年度も続くこと決定したようです

補正予算に事業延長の予算が計上されたそうです。

本当は定期化が望まれるワクチンですから、まずは後退にならなかったのはよしとしつつ、今後も前進を希望を持って見守りたいです。

ロタワクチンだって定期化されればいいのに・・・と思いますが、でも!まずはヒブ+肺炎球菌ワクチン!です!

 

 

 

 


第3回NECワーキングサミット 2012・1・23

2011-12-21 20:40:38 | イベント情報

前回の記事に今までの仕事の遍歴?(出産後の)をちょっと書きました。

二人目の育休開けは数か月後に退職することを決めて、区切りの何度末まで働くというものでした。

とても無理をして、子どもにも家族にも支えてくれる実家にもとても負担をかけて成立する仕事。

疲れはてて子どもに優しくできない、仕事でもよい対応ができない、それはわかりすぎていました。

働きたい、けれど、出産前、妊娠前と同じようには絶対働けない

それまで、精一杯働いていた人なら誰だってそうだと思います。

100%働けないけれど、50%ならば働ける。

そういって認められない職場でしたから結局退職しました。

小児科医不足や産科医不足は大きくマスコミには取り上げられないころでした。

ワークシェアリングという言葉はそのあと、よく目にするようになりました。

女性の生き方が多様であるように、女性の働き方の多様性もそれぞれに認められたらいいのに、と思います。

子育てを充分やりたい人、産休明けで働きたい人、もとのように働く人、仕事を何割か減らして働きたい人、、、

そういう多様な働き方が選べたらいいなと思います。

そして、そのだれにとっても育児そのものが豊かな経験になり、働き方にもよい影響があるようになったらいいですよね。

私が考える「子育てがキャリアになる」というのはそういうことです。

理想論かもしれませんけれど。

どんな仕事よりも子育てはすごい仕事だと思います

責任も忍耐も体力も知力も心も精一杯フル活用、しかも365日24時間休みなしです。(サポートがない場合)

子育てした人が仕事をしたいと思ったら、依然の仕事が活かせる職場にスムーズに戻られれば、少子化は収まるのでは?

または、子育てが活かせる職につけたら、それも素敵なことですね。

母親が仕事をすることで生き生きできれば、子育てにもいい影響があると思います

納得して仕事と子育てするのもよし、どっぷり子育てにつかるのもまたよし、です。

母親が納得しているのが一番大事なことだと思います

NPO法人マドレボニータ主催のNECワーキングサミットが1月23日にあります。

多分、多くの生き生きしたママ達が参加されると思います。

復職を控え不安な方にもとてもいい刺激になり、いろんな勇気をもらえそうですね。

復職!といえば

毎年恒例の「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会の復職講座も来年やります。

久しぶりのひだまりでの主催講座を予定しています。

こちらでまたお知らせしますので、ご興味ある方はゼヒ

保育園で多い病気とホームケア、予防できる病気、用意しとくと便利なもの、など盛りだくさんの内容です

 

 

 


久しぶりに幼稚園時代のお友達と・・・

2011-12-20 20:43:23 | 今までにであったさまざま

三人の子育て、保育園も幼稚園も経験してきました。

二人目までは保育園と実家の支えでなんとか頑張ってフルタイムをしたのですが。

二人目を出産して産後6か月に「復帰するときは月に4回は当直してもらう」と当時の小児科部長に言われて、辞めることにしました。

育休前には月に二回と言われていたのに・・・

でも、実際私のいない部分を周りでカバーするとみんなもやっていけないからと言われたらその通りだと思ったので、辞めました。

そういう病院なんだ、職種なんだと思いました。

でも、結局、医師の補充がなくおこったのが上司の中原先生の過労死自殺でした。

この事件は何年もの裁判ののちに、労災が認められ(行政裁判では勝利)ました。

病院の責任を問う民事裁判はその後も何年もかかり最高裁で和解となりました。

上記のHP(応援メッセージのコーナー)で私も意見を書いてましたので、転記してみます。

「 中原先生と一緒に働いていたものとして、病院の責任を感じます。女医が辞めていくから、医療、特に産科や小児科は厳しいという話がよくありますが、辞めていきたいのではない、辞めざるを得ないのだということはしっかりわかっていただきたいと思います。少子化といい子育て支援といい、ところが実情は、出産して赤ちゃんが産まれても、産休明けにはすぐに戻れ、そして、同じだけ働け、そういうメッセージを女医は受け続けます。周囲や家族の協力でやることも、自分を鼓舞し続けて頑張るのも限界があります。なにより、自分の医療の質が低下し、そして、自分の子を大事にしないでする小児医療に自分自身が傷つき、そういうことが結局はやはり、自分をも傷つけ、疲れ果てて退職することも多いのです。(東京都・小児科勤務医 佐山 圭子)」

なんだか投げやりな感じで、不満いっぱいで辞めたのを覚えています。

そのころ、「じっくり育児しない人しか働き続けられない職場だから、そんな場所の育児相談に母親が傷つけられるんだ」とある人に言われました。

なるほど!そうだ!と激しく同意しました。

そして、育児を逆にキャリアにしてやる!と思いなおしました。

辞めた後はフルタイムでなく週に何回かのパートで外来や健診を保育園でお世話になって続けました。

三人目を授かった時はさらに、じっくり育児にという覚悟をしました。

二人目の子にとっては、入れたかった幼稚園の入園のタイミングだったからです。

入園して母親の中に入ったら、今までとはまた違った視点で子育て・母親というものを見ることができました。

職場では患者さんの保護者、幼稚園では自分の子どもの仲間のお母さん。

医療者と保護者の溝は大きなものなんだとあらためて思いました。

その本音を知ること、お母さんたちとお付き合いすることそのものが私のキャリアになっていると思います。

ひだまりクリニックのような仕事をしたいと思ったのも、私自身が母親だったから、どうしようもなく不安で辛くて悩みも多い母親だったから、です。

「産んだ後の母親学級」って本当に必要だと思うし、必要な人ほど必要な支援が届いていないような気がします。

幼稚園時代の友人に久しぶりにあって、すごく居心地がよかったです。

彼女たちも一人目のときはそれなりに苦労しているのですが、今ではそれぞれ2~4人のママになっています。

今幼稚園に通っている子は、娘の同級生の弟妹たちですが、みんな赤ちゃん時代を知っている子達。

多くのお母さんが自分の子を含む多くの子ども達を見守るってとてもいいことだと思います。

親にとっても子どもにとっても。

近視眼的になりがちな育児では、ちょっと引いた目で見ると楽になることがいっぱいですよね。

子どもが大きくなるのは本当に早くって、びっくり!でも、その成長が嬉しいです。

みんなそれぞれに頑張って母親になっていったんだと思います。

子どもを見つめる横顔の優しさに、ほれぼれしました。

だから、今、気を張り詰めて一人目育児を頑張っているお母さんに伝えたい。

大丈夫だよって。

子どもがお母さんに育ててくれてる・鍛えてくれてる、ともいえるのかもしれませんね。

 

 


12月11日の小児医療講座

2011-12-13 21:28:57 | 医療情報

「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会主催の医療講座に行きました。

講師の山本先生のお話は二回目ですが、盛りだくさんでテンポの速い、そして舞台裏の本音トークが楽しいです。

本当にそうだなぁと思ったのは「よくならない、とまたかかってくれる信頼関係を作りたい」という話でした。

「良くならない」というのは医療の場合、クレームではない、情報である、ということ。

これは、特に小児の一般外来で言えることのように思えます。

小児科にかかる多くの方は自然に治る(つまり、薬を使わなくても)ウイルス性の感染症だからです。

むしろ、薬がきちんと効いて処方が必要ということの場合は少ないかもしれません。

使っても使わなくてもどちらでもいい、使うと楽に治る、程度であり、ビンゴ!ってかんじに効く薬はあまりないのです。

ピタッと治る咳止めなどもないですから。

以前、こんなことがありました。

一か月健診で「顔に湿疹がある」とおっしゃるお母さんがみえました。

すでに二回外来受診されていて、一回目はステロイドでない塗り薬、二回目はステロイドの塗り薬の処方の記録がありました。

よく聞くと、どちらの薬も使っていないということでした。

医者は「薬はなんだか怖くて使えない」という現実は知らないまま、「治らない」という訴えの受診かと考えステロイドの処方をしたのです。

これには、私もびっくりしました。

ここまで、何も訴えることなく受診できるものか、と。それほど、医師には本当のことがいいにくいのか、と。

そして、丁寧に使い方を聞くことは大事だと学びました。

薬を使いたくない気持ちであるというのも一つの情報。

こわくて使えないままで、でもよくならないで困っている、というのも情報。

その上で、なぜ必要かどう使えば副作用は避けられるか、他に大事なことはなにか、などを丁寧に説明するのが医師の仕事だと思います。

どんな名医も病気の最初でそれがどんな病気か、症状はどれほど続くか、いつ治るか、を言い当てる人はいないでしょう。

でも、どうなって治っていくことが多いか、 治らない場合はどうなったら心配か、は言うことができます。

だから単純に「早めに受診、早めに薬」がいいわけではないのです。

それを山本先生は野球の試合のたとえでお話しされます。

ときに腸重積が胃腸炎にひきつづいて起こる場合、痛がり方泣き方が変わるというのもポイントになることもあります。

観察して変化に気づくということも看病している親にしかできないことです。

「治らない」とともに「こう変化していて、いつもと違いおかしい」これは、本当に大事な情報です。

その情報があるから、医師も適切に判断できるのですから。

多くは自然に治る患者でも、中にはときには重症化して夜間に救急外来とか大きな病院→入院ということもあります。

そういうときは私だったら教えてもらえるとありがたいなと思います。

文句みたいに思われて抵抗あると思うかもしれませんが、そんなことはないです。

薬を飲んでいても飲んでいなくても、早めに受診していてもしていなくても、悪くなるときはなるからです。