矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

医学教育のグローバル化 シンポジウム便り

2015-09-04 00:32:20 | 医学教育
マストリヒト大学とトロント大学が共催で開催した医学教育のグローバル化に関するシンポジウム。
私の予想以上に多数の参加でびっくりするほどでした。

会場は、”披露宴形式”で、椅子がすべて”前向き”にセットされていたところはさすがでした。


ディスカッションも非常に活発でした。

グローバルヘルス教育を取り入れる医学部が増えている状況で、この分野はあまりリサーチされていないことから、世界各地から集まって会合が開催されました。

目的は、これまでの受け入れ・教育支援などの経験をシェアし、お互いに学びましょう、という趣旨でした。

リサーチの内容というよりは、経験のシェアと、その水面下にある(まだ表だっていない)課題や成功へのカギなどをディスカッション(brain storming)するというものでした。

マストリヒト大学は、サウジアラビアから学生を政府間提携レベルで受け入れており、最初の卒業生が今年母国でインターンとして働いているそうです。現地の卒業生に比し、コンピテンシー(パフォーマンス)の点で、際立って優れているそうです(学生からの報告による)。

そのほかイエメンや、アフリカ(モザンビークなど)へ教育プログラムを輸出して、支援している経験がシェアされました。

”カリキュラムの輸出・移植”や、先進国の学生がほかの国(アジア、アフリカなど)でelectiveをする、または、アジア、アフリカなどの学生が北米、欧州などでelectiveをする意義、などについて議論がされました。

そもそも、"Global health"で目指すコンピテンシーが何か、ということで議論にもなりました。

最終的な議論のまとめで、

”いろいろなコンテキストで、柔軟に適応・対応できる”

”いろいろな文化背景を持った患者に、柔軟に適応・対応できる”

ことが求められる、ということでまとまりました。

まるでカメレオンのように、古代ローマのことわざの"郷に入っては郷に従え”式に、医療者はflexibleに患者のニーズに対応できるようになる必要がある、というものです。

”医学教育のグローバル化”という表現や現象が、かつての植民地化を彷彿とさせるため、現在では、
Harmonization 調和という単語が使用されてきているそうです。

現地で上手くカリキュラムなどが運用できるカギは、
1. コミュニケーション
2. 個人的な信頼関係

とのコメントはなるほど、と納得しました。

ほか多数、パールがあるのですが、書ききれません。。