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Opened Zipper

五分後の世界

2006-12-04 00:51:18 | 読書

書名:五分後の世界
著者:村上龍
発行:1997年1月 幻冬舎(文庫)
ISBN:4877284443
価格:560円(税込)


この本を読んだのはかなり前で、もう半年くらい経ったかも。
確か5月頃に出張へ行ったときに、移動時間のヒマつぶし用として買ったんでした。

村上龍は大昔に「コインロッカーベイビーズ」を読んだことがあるだけで、ほとんどスルーしてました。
数年前に友人から「希望の国のエクソダス」を借りて読んで、こんなに面白い話書く人だっけ? とちょっと見直してから気になってました。
とはいえ、自分の好みのSFやミステリーのど真ん中には居ない作家なんで、それ以後も接点があまり無かったです。

しかしヒデとサッカーの絡みで「悪魔のパス 天使のゴール」を買って読んで、これがメチャメチャ面白かったんでした。
特にクライマックスの試合を描いたシーンが最高だったなぁ、読んでる自分までピッチのプレイヤーの疲労感を味わいつつ、必死になってしまった。

そんな経緯があって、村上龍をもっと読んでみようという気になります。
かなり自分の好みから外れきった風俗系の話も多くて、どれを読んだら良いのか迷いまくりましたが、文庫本のあらすじ説明をじっくり読んで選んだ「共生虫」がまたヒット。
勢いで「愛と幻想のファシズム」も読んでみますが、これもなかなか良かった。
しかしそれ以外では好みの本が見つけられなくて、以降はちょっと遠ざかってました。

出張用のヒマつぶしにと買った「五分後の世界」が久々の村上龍だったんですが、自分的には予想以上にヒットでした。

自分達のこの世界より5分ずれたパラレルワールドに迷い込んだ主人公を通して、「第二次世界大戦で日本が降伏しなかった場合の世界」を描いています。
物質的には悲惨な世界に思えますが、精神的には理想郷のようにも思える、奇妙な魅力のある世界。
主人公の小田切のキャラクターのアンバランスさも良かったかな、危険を察知する能力とその生業にそぐわないクラシックの好みとか。
この特殊な世界との対比で今の自分達の世界(日本)を見比べてみて、戦後アメリカにソフトに支配されてきた日本が結局何を失って何を得たのかと考えてしまうのが面白かったなぁ。

もう10年前の古い小説ではあるんですが、今でも十分新鮮なインパクトを与えてくれる小説でした。



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