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殺人方程式 切断された死体の問題 / 綾辻行人

2005-11-28 07:51:56 | 読書
綾辻行人の「殺人方程式 切断された死体の問題」を読んでみました。

今まで綾辻行人を読んだことがありません。
ほぼ「名前を聞いたことがある」程度のレベルだったし、どういうミステリーを書いてるという漠然とした情報はあったものの、全然興味が沸かなかったのでした。
読もうと思ったきっかけは「月館の殺人」です。

佐々木倫子のファンなのですが、綾辻行人原作で「月館の殺人(上)」というコミックを見つけて捕獲。
オープニングがシリアスっぽくて「しくじったか?」と不安になったのですが、すぐにいつもの佐々木倫子の世界に突入。
まだ上巻しか出ていないっぽいですが、楽しませてもらっています。

それで、原作の綾辻行人がどれほどのモノなのかを確かめるべく、作品を読む気になった訳です。


書名:殺人方程式 切断された死体の問題
著者:綾辻行人
発行:2005年2月 講談社(講談社文庫)
ISBN:4062749912
価格:661円



書店でいくつか作品が並んでいたんですが、一番興味を惹かれたコレに決定。
「切断された死体」ってところに反応してしまったのかも、B級スプラッター映画ファンだから。

マンションの屋上で、首と左腕を切断された全裸の男の死体が発見される。
そのマンションの2階の廊下で男の頭部が発見され、被害者はマンションの川向こうにある新興宗教団体の教主と判明。
事件当夜、そのマンションを出入りしたのは住人である教主の義理の息子だけだった。
その息子の車の中から、切断された左腕が発見され、息子は容疑者として逮捕。
元々、その宗教団体は息子の実母が教主だったが、数ヶ月前に死体で発見され、他殺の疑いが持たれていた。
息子は母親を殺したのは義父と確信しており、動機は十分にあったが、犯行を否認している。
あらゆる状況証拠は息子が犯人だと示しているが、教主の死体を切断した上で、わざわざ自分のマンションに運び込む理由が謎となっていた。

読んでみたんですが…何だか、軽いっちゅーか、薄いっちゅーか、幼稚っちゅーか。
死体のトリックが一番の肝のようなんですが、そのトリック自体が序盤というか事件発生前からバレバレなので、何の感動も感心もないまま読み終えてしまいました。
何だコレ?

犯人自体は分からないまま読んでましたが、判明したときも「あっそう、この人にしたの」という感じ。
驚きがなかったというか、もうやりたいようにやれば? という投げやりな気分になっていました。
どうもまず「あのトリックありき」で書いた話のようで、他のもの全てが後から付け足したように思えました。

登場人物達がコミカルな設定のキャラなんですが、その割りにあまり親しみを持ったり感情移入できないのは何故なんだろう。
双子の兄でいまだ学生(哲学者志望で変人)の響と、弟の刑事・叶が出てきますが、叶が主人公かと思ったら途中から響に主役の座を奪われてしまいます。
その響が名探偵役なんだけど、なんだかちょっといけすかない感じ。
変人だけど頭がキレるキャラ設定のせいで、非人間的になっちゃってるせいなのかなー。

そんな訳で、キャラに感情移入もできずストーリーも楽しめずに読み終えてしまいました。
残念、綾辻行人は自分には合わないのかも知れません。
軽くて読みやすそうだし、もうちょっと魅力的なストーリーやキャラクターだったら楽しめそうなんだけど。

しかしこの本を読んで一つだけ収穫がありました。
末尾に綾辻行人の作品リストがあったのですが、「○○館の殺人」というタイトルが並んでいました。
そういや書店で見たときにもいくつかあったような気が…
○○館というヤカタを舞台にした殺人事件のようですが、「月館の殺人」というタイトルはそのもじりだったのね。
月館の方はヤカタでなくツキダテという地名なんだけど、「綾辻行人ですよ」と。

タイトル自体が、「綾辻行人=○○館の殺人シリーズ」って知ってる人向けのネタでしたか。
ということに遅ればせながらようやく気付けたことが、この本を読んでの収穫でした。(そんだけか?)

綾辻行人の第一印象が悪かったですが、たまたまこの作品だけが自分に合わない話だったのかも知れません。
なのでもう1冊、今度は「○○館の殺人」シリーズのどれか1つに手を出してみようと思います。
もしそっちもダメだったら、もう見限るしかないんだけど。



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