OZ.

Opened Zipper

半落ち / 横山秀夫

2006-05-20 00:00:01 | 読書
また東京出張になったので、移動中の暇つぶし用本を漁りに書店へ。

文庫本を物色していると、横山秀夫の「半落ち」が文庫になってました。
そーか、ついに文庫化されたかー。

横山秀夫はよく読んでますが、「半落ち」は単行本のまま映画化されて人気だったので、なかなか文庫になりませんでした。
文庫しか買わない主義(=しみったれ)なので、文庫化待ちでした。
映画版「半落ち」はどうなんだろうと思っていたら、映画版を観た嫁さんの評価がかなり高かったので、自分も観てみました。
淡々とした描写や寺尾聰の抑えた演技も良く、終盤の樹木希林の演技でボロッボロに泣かされてしまい、完璧にしてやられました。
サイコーでした、映画版「半落ち」。

映画版でもうお腹いっぱいなので、いまさら文庫化されてもなーとは思ったものの、自分は基本的に原作至上主義者。
これまで色々な小説を読み、映画を観てきた経験から、「映画化されたものが原作の小説を越えることはない」と思ってます。
そう感じる理由はおそらく、映像化すると受け手の想像力を抑えてしまうからじゃなかと思ってます。
もちろん映像には映像の良さが沢山ありますが、時間の制約もフレームの制約もある中で表現する必要があるからでしょうか。
小説だと、書き手の文章を受け手が読んで脳内の中でその世界を再構築するので、制約があまりないのが大きいのかなと。
書き手と受け手の意識や想像力にギャップがあると悲惨ですが。

映画化されてヒドいことになってたので特に記憶に残っているのは「ロストワールド ジュラシックパーク2」ですね。
原作の小説の中のサラ・ハーディングのカッコ良さには惚れましたが、映画化されたらサラはただの○○になってて幻滅…なんじゃありゃ。

さてそんな思いも抱きつつ、原作の「半落ち」を読み始めます。


書名:半落ち
著者:横山秀夫
ISBN:4062751941
発行:2005年9月 講談社(講談社文庫)
価格:620円



映画版のデキがとても良かったので、そんなに原作から外れてないだろうなーと思って読み始めました。
やはり先に映画を観ていたせいで、脳内では登場人物の絵が俳優にマッピングされてしまいます。
刑事の志木は柴田恭平、梶は寺尾聰、検事の佐瀬は伊原剛志、弁護士の植村は國村隼、啓子の姉は樹木希林、裁判官の藤林は吉岡秀隆。
うーん、やっぱ映像の影響は大きいな。

読み進んでいくと、映画版では少しずつ設定を変えている箇所があるものの、ほぼ原作通りだったことが確認されます。
しかし映像では表現しきれなかったことが小説では描かれていて、そーか、そーだったかなどと思いつつ読んでました。
「既に知っている話」であるにもかかわらず、終盤やっぱり涙が止まらずに難儀しました。
空港行きバスの中でも、離陸後の旅客機の中でも、ハンカチで涙を拭いて鼻水拭いてを繰り返しつつ読んでました。
40歳前のオッサンが本読んで泣いてるなんて恥ずかしくてしょうがないんですが、羞恥心よりも小説の先が読みたい気持ちが勝ってしまい、そのまま涙と鼻水を拭き続けながら、読み終えました。

いやー良かった、あの各章の主人公達が「そっと繋いでいく」感じ、アレが良い。
やっぱ良いなぁ、横山秀夫。



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