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Opened Zipper

誘拐の果実 / 真保裕一

2006-01-13 00:43:32 | 読書
ちょっと前に書店で物色していたところ、真保裕一の「誘拐の果実」が文庫化されていたので購入しました。
買った直後に色々多忙になってしまったせいでなかなか読み進むことができず、先日ようやく読了。


書名:誘拐の果実
著者:真保裕一
発行:2005年11月 集英社(文庫)
ISBN:4087478793(上)/4087478807(下)
価格:上下巻各681円(税込)



株譲渡疑惑で追求を受けている企業バッカスの社長・永渕は、自分がスポンサーとなっている宝寿会総合病院に身を隠していた。
その病院長の17歳の孫娘が誘拐され、電話で犯人からの要求があった。
要求の内容は、「入院中の永渕を殺害すること」だった。
孫娘の命と引き換えにスポンサーでもある患者の命を求められ、苦悩した院長と娘の父親である副院長達は、警察に連絡する。
その頃、別の場所で19歳の男子大学生が誘拐される事件が発生していた。
要求された身代金は、7千万円分のバッカスの株券だった。

ちょっと変わった誘拐事件のようで面白そうだなーと思って読み始めました。
最初は読者には余分な情報が与えられているお陰で、警察や被害者達よりも先が見通せていました。
誰が犯人なのか、なぜ株券なのか、本当の目的は何か。
こんなの見え見えなのに、何で警察は気付かないのかねぇ? などと思いつつ。

ずっとそのつもりで読んでいたのですが、刑事達と同様、終盤になって犯人の真意が分からなくなってしまいました。
一体、犯人の本当の目的は何だったのか? また犯行に及んだ動機は?
これが目的だったのか、いや実はこれが目的? と何度も「分かった」と思う度に、それ自体が目的ではなかったことに気付かされていきます。

最後に明かされた目的や動機を読み、不覚にも泣かされてしまいました。
そのときは会社の休み時間に読んでいたんですが、涙が出ていることを周囲に悟られないようにするのに難儀しました。
「ちくしょー、こんなの反則だー」と思いつつも、こういう小説を読むことができてとても嬉しかったです。
なんつーんでしょうか、心が洗われたような感じ。
19年前の事件の扱いがイマイチかなとは思いましたが、そんなのどうでも良いかと思えるデキです。

やっぱり真保裕一は面白いなぁ、としみじみ感じたのでした。



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