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Opened Zipper

ハサミ男 / 殊能将之

2005-07-05 18:15:14 | 読書
この前の出張時に殊能将之の「ハサミ男」を読みました。
前回の出張は、夜は比較的早く仕事が終わったので、移動時だけでなくビジネスホテルに居る間もヒマしてました。
おかげでかなり読書が進みました。


書名:ハサミ男
著者:殊能将之
出版:2002年8月 講談社(講談社文庫)
ISBN:4062735229
価格:770(税込)


書店でこの本を見かけて、かなり気にはなっていました。
解説者も書いていたように、自分もやはりジョニー・デップの「エドワード・シザーハンズ」を連想しましたね。
しかし全然知らない作家なんで、ハズしてたら痛いな~と思って躊躇してました。
出張前の本漁りで勢いがついてたので、チャレンジするか~と思って買ってしまいました。

「ハサミ男」を読む前に「破線のマリス」を読んだのですが、残念ながら自分には合わない話で撃沈。
なんとかヘコんだ気持ちを挽回してくれと願いながらハサミ男に入りましたが、期待以上に盛り上げてくれたので大正解でした。

主人公は連続猟奇殺人鬼で、女子高生を2人殺害している。
殺害した遺体にハサミを突き立てるので、マスコミから「ハサミ男」と呼ばれていた。
次の犠牲者の女子高生を選んで接近していくが、ハサミ男が実行する前に別の何者かによってその女子高生が殺害されてしまう。
しかもハサミ男による殺害に見せかけるため、遺体にはハサミが突き立てられていた。
ハサミ男は不本意にもその遺体の第一発見者になってしまう。
自分の仕業に見せかけようとする行為に憤慨するハサミ男。
ハサミ男の別人格である「医師」にも煽られて、殺人鬼であるハサミ男自身が真犯人を突き止めるために行動を開始する。

という奇想天外な設定の巻き込まれ型素人探偵モノで、リアリティなんて全くありませんが、軽いノリでとても楽しいミステリーでした。
主人公兼探偵が連続猟奇殺人鬼というのもスゲー話なんですが、気がつくとこの殺人鬼に感情移入して応援してしまっているところが悔し楽しい。
破線のマリス」では主人公にこれっぽっちも感情移入できなかったもんなぁ…やっぱり登場人物に何らかの共感など感情移入ができないとツラいですね。

イカレたハサミ男の主観から展開する独特の世界と、捜査を行う刑事達がハサミ男に迫っていく視点が交錯し、ヒヤヒヤしながら読み進みます。
それにしても連続猟奇殺人鬼の色白で太った不気味な男が主人公なミステリーってどうなのよ?と思いつつ。
ハサミ男の設定もとても面白くて良かったです。
毎週土曜日に自殺を試みては毎回失敗するところとか、妙に博識な別人格「医師」が現れるとか、頭の良い女の子に執着して付け狙うところとか。

最後のどんでん返しには見事にしてやられましたが、まんまとノセられても気分爽快でした。
しかし「え? え? 何? 何それ?」と見当識を失う羽目に陥ったんで、もう一度最初から読み直さないといかんですね。

この「ハサミ男」がとても面白かったので、殊能将之の他の作品にも手を出そうと思ってます。
他にはどんなのがあるのかな?