高木晴光の 『田舎と都市との ・ 日々こうかい記』

「新田舎づくり」を個人ミッションとし、田舎と都市とを行き来する人生・仕事のこうかい(公開・後悔・航海)日記

自然遊びのススメ 森の生命力

2020-01-24 16:32:48 | コラム風味

[発行日]=2001年1月10日  道新コラム改訂版

[見出し] 森の生命力 困難乗り越え 高木晴光(自然遊びのすすめ)/北海道

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 遠くに見えた! 彼は、深い新雪の中にしっかりと立っているようだった。とりあえず、ほっとした。雪が降り積もり、笹(ささ)や潅木(かんぼく)が埋まる雪原にならないと、彼のそばには近づけないし、見ることもできないのだ。スノーシューを履いても、膝(ひざ)までもぐるフウァフウァな雪をけ散らし近づいて行った。「一年ぶりだなあ。元気にしてたねえ」と見上げる。すると、彼に今回も会えたことに「感謝する」気持ちが自然にわいてくる。ありがたいことだ…。

 「彼」とは、定山渓の山奥に住んでいる僕の友人、ハリギリの年寄りで、雪の上でも胸高直径が一メートル以上はある巨木だ。彼がすごいのは、頭上の大きな枝にある。人が胸に手のひらを置いた時の肘(ひじ)と同じように曲がっているのだ。若い時に、落雷か、隣の倒木のためか、とにかく大きな事故に遭い、枝が折れたらしい。それを自ら治癒した姿なのだ。

 初めて彼を紹介する人には、「よくがんばったね」と声をかけ、そっと触れながら一周してもらう。すると…、だれもが彼の本当のすごさに感嘆の声をあげる。実は…、彼には年輪がないのだ!? 中は大人が入れるほどの大きな祠(ほこら)、空洞になっているのだ。生命力のすごさを実感する瞬間だ。

 この森には、こんなすごい連中がたくさん住んでいる。コブが百目のようにあるハルニレのおじいさん、先端が三つもあるトドマツのおばあさん。さまざまな困難を乗り越え何百年も生きてきたのだ。だから、この森に入るとたくさんのエネルギーを分けてもらえる。彼らを大事にしたいと切に思う。そして、そんな大切な友達に支えられ、僕もだれかに元気を分けながら、今年も生きてゆきたい。

 (北海道自然体験学校NEOS 高木晴光)

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この感性を取り戻したいな・・ためには森にゆかねば!!

コメント
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