[発行日]=2000年12月13日 自然遊びのすすめ 再構成
雪合戦 真剣と加減、学ぶ 高木晴光(自然遊びのすすめ)/北海道
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「すいません。どおーか、もう一度お願いします!」。子どもたちが雪の上に正座をして大人たちに頭を下げた。山の中で子ども対大人の肉弾雪合戦。大人げないなんて言わせない。大人の実力を見せてやるのだ。作戦を立て、ダイナミックに格闘する。雪玉を作らせないように組み伏せてもかまわない。相手の陣地の旗を取れば勝ちだ。
一回戦は、あっという間に大人チームの大勝利。戦いは、「もうやめよう」と子どもたちが言えば、それでおしまい。「大人の力を知ったか! あんまりいい気になるなよ!」。そんな真剣勝負の雪合戦を子どもの冬体験活動でやっている。ところが、子どもたちはめげない。「土下座して頼め!」と、とんでもない大人の要求にも答えたのだ…。しかたがない、願いを聞き入れ二回戦目。
しかし…、初めてこの遊びに参加した大人が多いと、二回戦はやばい。妙な情けをかけて手を抜いてしまうんだな。それでも大人は勝つが、子どもたちは、「次は勝てる」と感じたのだろう、再戦のために、簡単に「も、一回お願いします!」すぐに土下座願い…。
大人たちは体力を消耗しているのに申し出を受けてしまったので、三回戦は大苦戦で、なんと敗戦…。小憎らしいほどに悪態をついて勝利を喜ぶ子どもたちを見て、今度は大人が土下座する番だ。「もう一度やってください!」。それが後の祭り。勝ち方を知った子どもたちに、第四回戦も無残な惨敗・・・。何を要求されるか不安になる大人たち…。
でも、肩で息をして雪の上に倒れている大人に、「いいよ、何もしなくて」と優しい言葉もあがる。よっぽど子どもの方が大人だ。遊びの加減を学んでいるのは子どもたちの方だった。
(北海道自然体験学校NEOS 高木晴光)