2015年3月19日は、中国のオルタナティブ教育のひと場面への視察。 大理市の猫猫幼稚園を訪問視察しました。朝、登園しての自由保育のあとに集合がかかります。子どもたちは園の一室の大きなホールに輪になって集まりました。先生から「昨日、おうちに帰ってから何をしましたか?」というような質問がされ、次々とみんな積極的に発言します。それを他の幼児たちもちゃんと聴いていました。
設定保育時間・カリキュラム時間はとても少ないそうで、子どもたちの自主性に任せた展開を行っています。この日は、風が強い日でした。ミーティング時間のあとに一斉に外に飛び出した子どもたちに、それとなく、ビニールテープを渡す先生。子どもたちは風にテープを流して飛び回り風と一緒に遊びました。その展開がしごく自然でした。
園庭は実に工夫されています。小さな農園、ウッドテラスやハウス、段差があったり、トランポリンが設置されています。子どもたちが遊び回りたくなるような子どもの目線での空間が広がっていました。 開園時に、約8ヶ月は子供たちを自由に過ごさせたそうです。そして、子どもたちや保護者があったらいいと思うものを取り入れていき、一日の日課も子どもたちの動きをみて決めていったそうです。 あくまでも子どもの行動や発達心理を考えての運営設計がなされてきたことが、ちょっとした説明で理解できました。
園長先生は40代の男性。実業家でもあるのか、園の隣ではゲストハウスを経営しています。ここも和洋折衷ならぬ、中洋折衷の素敵なデザインの作りで、カフェバーもあります。
幼稚園経営者との懇談会も実施。幼稚園の経営補完かと思いきや、幼稚園が先で経営も軌道に乗っているとのこと。むしろ、ゲストハウスの経営の方が難しいというような感じを受けましたが、この空間でも保護者のいろいろなコミュニティ活動が行われているとのことでした。 あくまでも、幼児教育を核にした経営をしているとのことでした。
驚いたのは先生の研修と選抜です。この組織は、大理のずっと山奥の集落の公教育を行政より受託した小学校(?だったかな)をマネージメントしているそうです。そこで、2年間勤めたスタッフから選抜するのだそうです。 経営者と教員希望者の面接カウンセイリングもかなり頻繁に行われているようでした。日本ではちょっと考えられないようなスタッフ人材育成をしていました。
もちろん、公教育の幼稚園もありますが、ここは私学。園児の親は、移民(移住者)が多いそうです。大理の住みやすさに北京や上海の大都会から移住うしてくる人々は、こういったオルタナティブな教育を望む自由な発想を持つ大人たちです。その大人たちによるコミュニティが新しい創造を生んでゆくのだと思います。
「これからの目標や次の展開はどうなりますか?」との質問には、
「明確な目標はない、わからない。Visionは集まるひとのコミュニティで生まれてくる」との回答。 ご立派!!
自由な発想ができるようになる、できる人が集まるコミュニティは整えてはいけない、その場に任せることだ、は一応、私の現在のNPO経営信条になっていますが、私の実際現場では、似たようにはなりつつあれど、複雑系経営はまだ形成されていません。
しかし、この「猫猫幼稚園とゲストハウス」の空間では、それが現実存在していると感じ取りました。
混沌社会の中国はすでに複雑系社会に突入しています。
すでに、ここには、複雑系の経営があり、複雑系の知を獲得している実践現場であると感じました。
獲得すべき複雑系の知恵とは・・、
全体性の知、創発の知、共鳴場の知、共鳴力の知、共進化の知、超進化の知、一回生の知 の7つです。