◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

要約と省略は違う。

2008-04-23 19:13:07 | 言葉についてあれこれ
                       緊張してる?
 要約とは、内容の主な点を短くまとめること。省略とは、一部分を省くこと。要約と省略は違うんだよなぁと考えていたら、非常に分かりやすい例が耳と目に飛び込んできました。話し手が「○○が中心になるべきだと思っています」と言っているのに「○○が中心になると思っている」と書いてあるテロップ、どう思いますか? 話し手は、○○が中心になるべきだとは思っているけれど、実際に○○が中心になるかどうかは分からないわけで、「なると思っている」と書いてしまうとうそになります。でも、こんな省略はしょっちゅう見ます。これは無残な省略であり、要約ではありません。内容をすっかり変えてしまっていますからね。ナレーションでも、「またしても大型トラックの脱落が招いた悲劇」とか、変な省略(間抜けなだけ?)がいっぱい。
 では、「○○が中心になるべきだと思っています」を要約するとどうなるかというと・・・「○○が中心になるべき」です。画面は、話し手がマイクに向かって語っているわけで、すでに提示されているテーマについて、その思うところを述べているというのは見ていて分かりますから、「○○が中心になるべきだと思っています」の「だと思っています」は省略が可能、ということは、「○○が中心になるべき」と書けば十分なのです。これは、なくてもいい部分を省いて要約したということで、話の趣旨は変えていません。放送の現場の人たちが、こんな簡単なことも分かっていないというのが現状です。え? 「大型トラックの脱落」って何だって? 「タイヤ脱落」です。肝心の「タイヤ」を言わなかったのですよ。ウ~ム( ̄‐ ̄)マヌケスギル
 ところで、3月26日に「犯人はどんなかたなんですか?」について書きましたが、今度は一般の人が「危険なかたもいるし、犯人のかたは」って・・・( ̄д ̄)アッチャァ。もちろん、「危険なかた」というのは「危険人物」、「犯人のかた」は「犯人」ですよ。これって、精いっぱいお上品にしゃべっているつもりなのでしょうね、テレビの取材だから。私も、ふだんなら「危ないやつ」とか言いますが、意識しちゃいますね、テレビだと。それでも、「危険なかたもいるし、犯人のかたは」なんて絶対に言いませんよ、絶対に! 犯人に「かた」は不適当ですから、「危険人物もいるし、犯人は」と言いますよ。だれに対しても敬語を使えばお上品なんて、それはとんでもない間違いですから。え? 罪を憎んで人を憎まずって? それでも「人」で十分です。

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