◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

王莽も酵母もこうむ。

2011-05-22 09:18:53 | ディクテーションについて
                                 なんか、すごい

 知人から頼まれたディクテーション(いわゆるテープ起こし、テープじゃないけど)を休日にずっとやっているのですが、も~~~いやっ、二度とやりたくない。まだまだ終わらないけれど、引き受けた分をやり終えたら次はもうやらないと言わねば(-_-;)。
 何がいやって、声がワンワン反響していて聞き取れないのです。そもそもライン入力の音源なんてめったにありませんけどね。これは会社の仕事ではなく、ただのアルバイトですから、静かな自宅でやっています。でも、聞こえない。例えば、「ていふおー」と聞こえる単語、「だいちばいじんぐ」と聞こえる単語、何度聞いても「ていふおー」「だいちばいじんぐ」です。そんな単語、知らないよ、っていうか、ないでしょ!
 何度も何度も聞きます。「ていふおー」「ていふぉー」「ていほー」、後に続くのは「のバラ」、薔薇です。「ていふおーのバラ」、これで分かった人はすごい! 分かる人がいるかもしれませんよ、ニュースになりましたからね。見たことない? 「レインボー」ですよ、「レインボーのバラ」。だいぶ前ですけど私はたまたまニュースで見ましたから、5回ぐらい聞いたところでハッと思い出し、「レインボー」だと分かりました。
 「だいちばいじんぐ」「まんいちばいじん」「まいにちだいじ」「ばいちだんじ」・・・10回ぐらい聞いて、最初の「だ」もしくは「ば」は「え~ま~」の「ま~」だとすると、そこを無視して「ちばいじん」か・・・「ちあいじん」「ちあいじ」・・・「ちあえんじ」・・・「ちあれんじ」かな・・・、お、「チャレンジ」なら意味が通じるぞ、「チャレンジ」だっ、とまぁ、こんな感じ~(-_-;)ヤレヤレ。
 しかも、内容が、天文学や生命科学、哲学など、専門用語が多く、非常に難しい。たとえクリアに聞こえていたって正確に聞き取るのは難しい、その言葉を知らないと聞き取れないものなのに、断片的にしか聞こえない。よくもまぁ、こんなものを寄越してくれたわねぇ・・・、録音する人って、みんなこんなもん( ̄_ ̄)。
 研究者って、論文を書いたり発表したりするから日本語が一般人よりちゃんとしていると思うでしょ? ところがどっこい、だめ、全然だめ! ちゃんとしゃべれる研究者なんてめったにいません。言葉が足りない、日本語の組み立てが全くなっていない、いいかげん、てきと~~~で、語尾も聞こえない、何を言っているのか分からない。
 資料があればそれを頼りに何とか言葉を追いかけ、日本語になるようにつなぎます。資料に出てこないものなら、先のほうまで聞いて何について話しているか内容を理解してから想像する、一つの言葉をいろいろな前後の関係の中で何度も聞いてから、さっきの**は○○と言っていたんだなぁというふうに判断します。
 「王莽も酵母もこうむ」というのは、「王莽(おうもう)」も「酵母(こうぼ)」も「こうむ」と聞こえるということです。録音状態が悪いので、音としてはどちらも「こうむ」と聞こえるのです。でも、その話の中で「こうむ」という言葉はありえないわけで、こうむ、こ~む、くぉ~む、そんなふうに聞こえる言葉を、その周辺に聞こえる言葉をヒントにして探さないといけないわけです。
 それで探し当てた言葉が「王莽(おうもう)」、おうもう、おうも、おうむ、こ~む、「酵母(こうぼ)」、こうぼ、こうも、こうむ、という具合です。ディクテーションには、浅くてもいいから、とにかく広い知識と想像力が必要です。ちょいと引っ掛かったところから調べて掘り下げていくわけで、否応なしに調べさせられますよ、結局自分で調べないと文章にはできないのですから。

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