◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「元気を与える」って?

2011-05-18 20:58:47 | 気になる言葉、具体例
                             みんなを元気付けてくれ

 北陸放送の夕方の番組で、金沢の市祭である百万石まつりの珠姫(たまひめ)役と利常(としつね)公役が決まったというニュースを見ました。「どんな珠姫になりたいですか」と質問された珠姫役の子(5歳)が「みんなに元気をあげられる珠姫です」と答えたのに、テロップは「みんなに元気を与えられる珠姫です」となっていました。え~っ、なぜわざわざ書き変えるの~っ? <(`^´)>
 「勇気をもらう」のような「元気をもらう」という言い方が「元気付けられる」「元気になる」よりも多く聞こえてきますが、「元気」と「勇気」は似て非なるものです。「勇気」は「ある」か「ない」かですが、「元気」は、「元気になる」「元気な子ども」「あの人はいつも元気だね」というように、「ある」「ない」だけではなく、いろいろ言い方があります。また、「勇気を出して敵に立ち向かう」とは言うけれど「元気に敵に立ち向かう」とは言わないように、重みも違います。
 「元気」はもっと身近な感じで、本来だれもが当たり前に持っているものではないでしょうか。たまになくなることもありますが、ご飯を食べたり、休息したり、だれかに励まされたり、ちょっとしたことで回復する・・・、そう、もともと持っているから減っても回復するものですよね。元気な人は周りに大勢いるでしょ? じゃぁ、勇者は? いる? 勇気のある人はたま~~~に見掛けますけどね。
 要するに、「元気」と「勇気」を全く同じに扱ってしまうのは誤りなのだと言いたいわけです。「勇気を与える」「勇気をもらう」はいいのですが、「元気を与える」「元気をもらう」はどうもいけません。絶対にだめだとは言いませんが、安直すぎやしませんか? 言いやすいから、というのは分からなくもないのですが、やはり「元気付ける」「元気になる」と言ってもらいたいものです。
 大体、「元気を与える」って何なんでしょうねぇ。「勇気」ほど特別なものでもないのに、まぁ~~~御大層な言い方ですね。「与える」は何にでも使われて、しまいには「混乱を与える」「貢献を与える」「攻撃を与える」「暴行を与える」なんてとんでもない言い方まで聞こえてくるのですからあきれます。H・Y氏に至っては、「ご迷惑をお与えする」なんて言いましたからねぇ~~~( ̄д ̄)!
 「元気を与える」「元気をもらう」と大人が言うのをさんざん聞かされ、子どもは子どもなりの言葉で「元気をあげられる」と言った、それをまた大人が「元気を与えられる」と書き変えた・・・、いいかげんにしてくれっ、テロップ入力作業者よ。o(`д´)o

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