◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

自由主義とギリシャ神話。

2011-05-25 20:55:19 | ディクテーションについて
                                 おいしいかい?

 ディクテーションはつらい! 聞き取りにくい音声は言うまでもありませんが、ちゃんと録音できていても、話し手の滑舌が悪いとそれはただの音になり、言葉としては聞こえません。言葉としてちゃんと捉えようとするとやはりとても苦労します。ただ聞いているだけなら、100のうち50しか聞こえなくても何となく分かる、分かった気になる、だからいいのですが、文章化するとなると100を聞かなければいけない、なのに50しか聞こえない、だから非常につらい作業になるのです。
 東京電力の武藤さんってば、何をしゃべっているのかよく分からないですよね。最近は意識しているのか、だいぶましになってきましたが、最初にテレビに登場してしゃべったとき、何語でしゃべってるの? 日本人でしょ、ということは・・・日本語? 日本語には聞こえないけど・・・と、本当に不思議でした。これで国民に向かって一体何を説明するというのでしょうかねぇ。
 やはりだれもちゃんと聞き取れなかったらしく、報道番組のキャスターが「何と言ったか正確には分からないのですが、○○ということのようで・・・」と言いました。しばらくして動画投稿サイトに東電副社長のフランス語会見という動画が登場し、なるほど、フランス語だったのかと妙に納得(~o~)。高性能のマイクでも、滑舌の悪さはどうにもならないのだ(ーー;)。
 素人が講演を録音、ライン入力ではないので反響してワンワンワンワン、何を言っているのかよく分からない。「アメリカの大人たちが自由主義を知っているかというと」と聞こえたので、とりあえずそう書く。でも、ちょっと変だと思うでしょ? アメリカ人が自由主義を知らない?
 それで、直前に子どもの話をしていたこと、ギリシャ神話を持ち出していたことを考え、「アメリカの子どもたちがギリシャ神話を知っているかというと」と書き直しました。こう書いてから聞くと、なんと、「アメリカの子どもたちがギリシャ神話を知っているかというと」と聞こえるのです。
 いいかげんな録音だと、最初に聞こえたとおりに書くとこのくらい違うのです。何回聞いても結果は同じ、やはり「アメリカの大人たちが自由主義を知っているかというと」と聞こえますから、疑問を感じたら、話の流れからいって多分こうではなかろうかと、違う言葉を想像して書いてみる、想像力が鍵です。
 言っときますけど、ここで「なんか不自然だな、ひょっとして違うんじゃないか?」と思わない作業者は「アメリカの大人たちが自由主義を知っているかというと」と書いて終わりですよ。スマートで上品な女性の話の中に脈絡なく「便所」という言葉が出てきて、そのせいで話がめちゃくちゃになっているのにそのまんま、それで納品という作業者だっているのです。
 アナウンサーがみんな正しい日本語を話していると思ったら大間違い、ディクテーションを職業としてやっている人がみんな正確に言葉を聞き取って正しい日本語で読みやすい文章に整えることができると思ったら大間違い、真面目な人、そうでもない人、いいかげんな人、いろいろですよぉ~~~(~_~;)。

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