◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

目と鼻の距離・・・。

2008-03-12 18:57:04 | 言葉についてあれこれ
                   ハムやんの極小トライアングル
 「これと目と鼻の距離にあるビル」というのが聞こえてきて、普通は「これと目と鼻の先の所にあるビル」だろうと思い、慣用句の本を見てみたのですが、「目と鼻の間」というのもあるのですね。例えば、「家と職場は目と鼻の間にある」と言えば、極めて近いという意味になります。それなら歩いて行けそうだからいいですよね、職住近接です。
 う~ん、だとすると、「目と鼻の距離」もありなのかなぁ・・・。検索してみたら、「AとBは目と鼻の先」「AからBへは目と鼻の先」「目と鼻の先にある」「目と鼻の先ほどの距離」「目と鼻の先の距離」などなど、いろいろ出てきて、「目と鼻の間」はあまり使われていませんが、「目と鼻の距離」はけっこう出てきました。
 「目睫の間(もくしょうのかん)」というのもあったのですが、「睫」はまつげ、「目睫の間に迫る」というのは目前に迫るという意味で、目とまつげですから、目と鼻より近いですよね。これだと、隣とか、向かいとか、建物の1階が店で2階が住居とかいう感じでしょうか。でも、そういうことを表現するのに「目睫の間」とは言いませんね。「もくしょうのかん」という響きにはちょっと緊迫感がありますし、時間的に迫っているという意味もあるようですから。
 それと、皆さんは、「数日」というと何日だと思いますか? 私は4~5日だと習ったように思うのですが、2~3日というのも「数日」に入るそうで、現代のせかせかした空気が反映されているのでしょうかね。もっとも、人や物の移動にかかる時間はどんどん短縮され、ハガキを出せば翌日着でも、電子メールなら一瞬、歩けば1時間かかるような距離でも車なら10分、目と鼻の先です。電車で1時間以上かけて通勤する都会の人たちから見れば、10分は職住近接ですね。
 距離が短い、近い、縮む、近づく、近くなる、長い、遠い、延びる、遠ざかる、遠くなる、表現のしかたはいろいろありますが、やはり、単語や話の内容に合った言い方というものがあります。「仕事の幅が増えた」や「利用範囲があまりない」という言い方についてどう思いますか? 幅や範囲は、広い、狭い、広がる、狭まる、であり、幅が増えるとは言いませんし、範囲がないとは言いませんね。「数日」が短くなるのは「変化」ですが、変化しないはずの言葉まで、イメージがあやふやになってきているような気がします( ̄‐ ̄)ウーム。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする