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身近になりつつある「ジビエ」

2019-11-26 20:18:36 | トレンド

今日、所用があり繁華街まで出かけてきた。
途中、ロッテリアの前を通った時「え!」と思う新発売のメニューがあった。
「鹿肉バーガー」だ。
ロッテリアプレスリリース:農林水産省制定「国産ジビエ認証」制度基準をクリアした施設で適切に処理した鹿肉バーガー「ジビエ鹿肉バーガー(ラグーソース)」

プレスリリースを読むと、ロッテリアが「鹿肉バーガー」を発売するのは、今回が初めてではないようだ。
北海道の「エゾジカ」を使った「鹿肉バーガー」や、大分・鹿児島の鹿肉を使った「鹿肉バーガー」など、過去の実績から今回の「ジビエ鹿肉バーガー」へと繋がったようだ。

ご存じの方も多いと思うのだが、猪をはじめ鹿などが人の生活圏に出没するようになり、「獣害」と呼ばれる害が増えている。
しかし日本では「野生の肉=ジビエ」を食べる習慣がないこともあり、獣害の駆除がさほど進んでいない、という状態が続いている。
他にも、ロッテリアのプレスリリースのタイトルにある「国産ジビエ認証制度」という制度基準をクリアできる産地も多くはなかった、という記憶がある。
それがロッテリアという、全国規模のファーストフード店で取り扱うという。
ジビエの取扱制度そのものが、全国規模で整っていない(ように思われる)「ジビエ」を全国規模で展開をするということに、驚いたのだった。
と同時に「ジビエ(野生肉)」そのものが、遠い存在ではなくなってきた、と実感もした。

2カ月ほど前、北海道の知人を通して「エゾジカ肉のキーマカレー(レトルト)」を、頂いた。
ジビエ料理が好きな友人と一緒に、試食会を開いたのだが(友人宅で友人夫妻と私の3人という超小規模試食会だった)、「エゾジカ肉」と言われなければ、脂身の無いとても食べやすい牛肉と豚肉の中間のような、美味しさがあった。
ジビエの特徴として「高たんぱく、低脂肪」と言われていることを、実感したのだった。

今回、ロッテリアが期間限定・販売店舗限定とはいえ、全国で展開できるようになったのは、ジビエに対してのイメージが変わってきている、ということなのかもしれない。
そして、ファーストフード店であるロッテリアがジビエバーガーを販売するようになったことが、全国で「獣害対策に悩む地域」にとっても、朗報かもしれない。

というのも、ジビエを販売するためには「農林水産省制定『国産ジビエ認証』制度基準をクリアした施設で処理をしなくてはならないからだ。
現在、「ジビエでまちおこし」を考えている地域があったとしても、この制度基準をクリアできる施設を造ることに二の足を踏んでいるのでは?という気がしているからだ。
施設を造るとなると、それなりの採算利益を考えなくてはならない。
しかも「野生肉」となる鹿や猪などは、年間を通して狩猟できるものではない。
狩猟シーズンは決まっており、毎年同じだけの狩猟数があるとは限らないからだ。
牧畜のような、安定的な生産が見込めないのに、施設を造ることは地域にとって大きなリスクでもあるのだ。

そう考えると、ロッテリアの「鹿肉バーガー」は「ジビエ」という野生肉を身近にしただけではなく、生産者側にとっても「ジビエ」を身近にしようとしているのかもしれない。