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ミュージシャン自身が、所有権を管理する時代が来るのだろうか?

2019-11-16 21:45:49 | ビジネス

既に一部の新聞などに、テイラースィフトが自身の曲が歌えない、というニュースが報じられている。
日経新聞:テイラーさん「自分の曲歌えず」所有権巡る対立で

海外だけではないと思うのだが、ミュージシャンが所属レコード会社を変わるということは、別に珍しいことではない。
人気が低迷しているミュージシャンが、腕利きプロデューサーがいるレコード会社へ移籍することは、普通にある話だ。
デヴィッド・ゲフィンのように名プロデューサーとして名をはせ、アサイラム・レコードというレコード会社をつくりながら、所属ミュージシャンの多くを引き抜くようなカタチでゲフィン・レコードというレコード会社を設立するなど、レコード会社そのものが、その時々で所属ミュージシャンとの関係を変えながら、時には自身が設立したレコード会社を大手のエンターテイメント企業に売却する、ということが行われていたりする。
そのようなことが当たり前だと思っていた米国の音楽ビジネスで、今回のテイラー・スィフトのようなことが起きている、ということには、いささか驚いている。
何故なら、レコード会社の移籍騒動などがあったミュージシャンのコンサートでも、このような自作の楽曲が歌えない、ということが無かったからだ (と言っても、私が足しげく洋楽のコンサートに出かけていたのは、1990年代はじめごろまでだが)。

今回のテイラー・スィフトの問題で思い浮かぶのは「著作権」という問題だ。
テイラー・スィフトの場合、自作の楽曲だという記憶があるので「著作権」そのものは彼女自身にあるはずだ。
にもかかわらず、歌うことができないとするのは「アルバムの所有権を持っている旧所属レコード会社とそのレコード会社を買収した企業が、演奏の拒否をしている」からだ。
著作権とか所有権などの「知的財産権」の問題は、日に日に複雑化しているために起きた「権利の主張」による問題、だという気はするのだが、演奏の拒否をしている側のほうが、大人げないような気がする。

確かに、レコード会社と言っても「レコードを売っている会社」ではなく、「所属しているミュージシャンの音楽を売っている会社」だと考えれば、所属しているミュージシャンの存在は、企業価値だけではなく重要な企業資産だと言える。
だからこその「意地悪」なのかもしれないが、このようなレコード会社だということがわかると、所属ミュージシャンは他のレコード会社に移籍してしまう可能性も大きい。
何より、今回の出来事で「ミュージシャン自身が、アルバムの所有権」を主張する契約を行うようになるかもしれない。
とすると、レコード会社は単に「ミュージシャンから提供された音源を配信したり、CD化して販売するだけ」の企業になってしまう可能性がある。
プロモーションなどは必要だが、テイラー・スィフトのような人気ミュージシャンになれば、自らプロデューサーをさがし、プロモーション用のMVを制作、youtubeなどで発信することも可能だろう。
そうなれば、レコード会社そのものの存在意義が問われるようになるのでは?という、気がする。