2020年度から始まる、大学入学共通テストで活用予定だった「英語の民間試験」について、突然見送りの発表があった。
中日新聞:英語民間試験見送り 24年度めどに新制度、中止も選択肢に
2020年度に大学受験をする予定だった受験生にとっては、いい迷惑!というのが本音だろう。
毎日新聞:「ふざけるな」「マジで振り回されている」突然の延長決定に受験生 英語民間試験(会員有料記事)
この問題をまず整理する必要があると思う。
「英語民間試験」が見送りになった原因は、現文部科学相である萩生田氏が「身の丈に合った受験をするように」と、発言したのが発端だった。
この発言を回収する為に、「英語民間試験」を見送ったということのようだ。
しかし、この問題の本質は別のところにあるのではないだろうか?
BusinessJournal:大学入試・英語民間試験が”マジであり得ない”理由・・・経済的&地理的格差が学歴に直結
このような問題が提議されると、都市部に住んでいる方からは「それは、そのような所にいるのだから仕方ないだろう」的な、指摘をされることが多い。
そのような指摘ができる人達は、地方にいる人達が被らなくてならない「格差」が分からない、と地方出身者である私は感じている。
都市部から離れれば離れるほど、大学への進学率は下がる、という事実があり、最低賃金の賃金格差ともリンクしている。
単なる偶然とは言えないほど、都市部と地方との格差は「学歴と賃金」の関連がある、と考える必要があるのが、現在の日本の姿だと考えている。
何故なら、このような格差が人口流動などにも影響を与え、地方経済の沈下の要因にもなっていると思われるからだ。
この「英語民間試験」についての解決法は、BusinessJournalでも指摘している通り「大学入試」の中に組み込むことだろう。
それが「統一試験」の原理原則だし、地域・経済格差を生まない「公平な試験」だからだ。
日経ビジネスの〔議論〕のインタビュー記事で出口治明氏が大学学長として、今の構造的「学ばない」ことで起きている日本企業(=日本経済)の停滞について話している(会員有料記事の為全文を読むことはできないが、大まかな内容は理解できると思う)。
日経ビジネス〔議論〕:出口治明「元凶は精神論のマネジメント。すぐ学び直せ」
出口さんは、社会人だからこそ学び続けることの重要性を話しているのだ。
今回の試験中止によって戸惑っている受験生には、「今までの勉強は無駄ではない」と伝えたい。
「英語民間試験」利用の目的は、「バランスの良い英語力」を測ることだったはずだ。
今は「大学受験だけ」が目的となっているが、本来であればこのような「バランスの良い使える英語」というのは、進学後や社会人になってから必要な語学力のはずだ。
語学取得は、受験が目的であっては「使えるもの」にはならない。
だからこそ「民間英語試験」が延期されたからと言って、「振り回された」などと考えてほしくはないのだ。