日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

忙しさと生産性の相関関係

2019-11-22 14:06:06 | 徒然

一昨日のエントリ通り、実家のある米子から大阪までの区間を高速バスを利用し、名古屋へ帰ってきた。
途中上月パーキングで、休憩となるのだが買い物そのものは、したことが無かった。
今回、車中でお腹が空いていたこともあり、おやつを買ったのだが、その時レジ対応をしてくれた青年を見て、フッと思ったことがあった。

今まで、レジ対応をしていた方は中高年のハキハキした女性だったのだが、今回はまだ30代と思しき青年だった。
その青年の動きが、ややゆっくりなのだ。
おつりの計算にしても、おつりの金額の確認やおつりを渡してくれる時など、「あれ?」と感じるほど、ゆっくりだったのだ。
あくまでも想像なのだが、この青年は「社会的生き辛さ=何らかの社会的ハンディ」を持っているのかな?という、気がしたのだ。
このレジ対応をしてくれた青年は、おつりを間違えることなく穏やかな笑顔で終始対応をしてくれた。
これまでのレジ対応をしてくれていた女性よりも、少し時間がかかるだけなのだ。
時間がかかると言っても、おそらく1分も違うわけではない。
そして、「私たちは、何をそんなに急いでいるのだろう?」と感じたのだ。

今の社会はスピード勝負のような価値観がある。
そのような社会の中では、この青年のようなゆっくりさは否定的にとらえられることになる。
その結果として、社会から弾き飛ばされる人たちが、増えているような気がするのだ。
確かに「時は金なり」と言う言葉がある通り、ぐずぐずしていてはチャンスを逃すことになる。

だが、その結果社会全体がギスギスしてはいないだろうか?
余裕がない為、自分と意見や考えが違う人を、受け入れられなくなってはいないだろうか?
口癖のように「忙しい」という言葉を使うことで、仕事に対する生産性ではない「仕事をしていますアピール」をしてはいないだろうか?
その「仕事をしていますアピール」が、社会的ハンディのある人を排除しているのでは?という、気がしたのだ。

しかし日本人の生産性は、OECD諸国の中でも決して高いわけではない。
日本生産性本部:労働生産性の国際比較(2017年)
製造業で15位、日本全体では20位と参加31各国の中でも中位からやや下、というのが日本の労働生産性なのだ。
であれば、何故「忙しいのか?」ということになる。

一つは、長時間労働を強いる労働環境ということになるだろう。
結果として、1時間当たりの労働賃金の安さということも、含まれているだろう。
日本の企業には、どこか「労働時間が長い=仕事をしている」という暗黙の了解のようなモノがある。
そのような指摘は、過去様々なところでされてきているが、それが改善されていないどころか改悪されているのでは?と、昨今のパワハラを要因とした自殺者のニュースを見ると感じるのだ。

本来であれば「効率よく仕事をする」ということは、企業にとっても働く側にとってもメリットがあるのに、何故できないのか?
しばらく前に読んだ、大阪大学大学院医学系研究科の教授をされている仲野徹さんの著書「(なるべく)病気をしない暮らし方」に、「生産性を上げるべし」という章があり、大阪大学で一番成果を上げている教授は、17:20に大学を出るバスに乗車している、ということが書かれていた。
実際、仲野さんは「生産性を上げるべく、ポモドーロ・テクニック」という時間管理法を導入し、毎日定時とはいかないまでも早々に仕事を切り上げ、成果を出している、と書かれている。
仕事にかける時間ではなく、仕事を効率よくすることに集中することで、生産性を上げ「忙しい」から解放される、ということなのだ。
当然、時間に余裕ができれば人に対する見方も変わってくるだろう。

今のようなギスギスした時間の過ごし方は、人の心も持てる能力も疲弊させるばかりで、プラスは無いのでは?と、上月パーキングの青年は、教えてくれたような気がしたのだ。