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多様なエネルギーが、つくる社会とは

2016-04-10 19:58:20 | ビジネス

毎日新聞のWEBサイトに、「下水汚泥から発生するバイオガスから水素生成、発電自動車燃料に国交省試み」 という見出しがあった。
記事そのものは、WEB会員限定のようだがこの「下水汚泥」を使ったバイオガスの利用というのは、随分前に確立した技術だと聞いたことがある。

確かに全国に広がる高速道路網に点在するSAやPAの下水汚泥を利用するのは、良いと思う。
何といっても「原価ほぼ0円」だ。
設備投資の費用を考えても、原材料費ほぼ0円というのは魅力的だと思う。
もちろんランニングコストなどの「維持費」は必要だと思うが、利用者側から見ても「エネルギー代」そのものが、ガソリンよりも安く済むかもしれない。
今現在はガソリン車やハイブリッド車よりも、随分高価価格設定となっている「水素自動車」だが、トヨタの「MIRAI」は、発売前の受注だけで予定台数を上回るほどの人気ぶりだった。
トヨタだけではなく、ホンダなども「水素自動車」の開発には、積極的だという印象がある。

もう一つのメリットは「水素自動車」だけを対象とはしていない、という点だろう。
「発電自動車燃料」ということは、日産や三菱の「EV車」も利用の対象となるのでは?
EV車の問題は、走行距離がガソリン車ほどではない、という点だった。
しかし、高速道路に点在するSAやPAを上手に利用するコトで、その問題の一部は解決する可能性がある。

もう一つ、この「下水汚泥」によるエネルギー利用というのは、地域を選ばないというメリットがあるのでは?と、考えている。
都市部のように人口が集中する地域でも、過疎化が進む地域でも「下水汚泥」そのものはある。
牧畜などが盛んな地域であれば、「下水汚泥」の対象は人ではなく家畜かもしれない。
水産加工などが盛んな地域であれば、その加工時に出る「下水汚泥」を利用することが可能になるかもしれない。

何より「エネルギーの多様化」が進めば、今月から始まった「電力自由化」をはじめとする「エネルギーの自由化」が進む可能性がある。
今の「電力自由化」は、百花繚乱のような参入ぶりだがそのエネルギー内容については、どこも似たり寄ったり。
利用者が「自然エネルギー割合の大きな電力会社を選ぼう」と思っても、選択肢などほとんどない。
あるのは「割引やポイント付加」くらいのものだろう。
違う見方をするなら「エネルギーの多様化」は、そのエネルギーを選ぶ生活者のライフスタイルと、大きく関係をしてくるようになる。

当然のことながら、提供をする側もまたこれまでのような「殿様商売」のような訳には行かない。
なぜなら、ほどんどの地域で「下水処理」そのものをやっているのは、自治体だからだ。
どちらも「殿様商売」になりそうな部分はあるが、自治体がエネルギービジネスを始めるというのは、大きな変化だろう。
以前から、「それぞれの地域にあったエネルギー政策」という指摘がされてきたが、それが本格的になるかもしれない。
それは、その地域に住む人とのライフスタイルと大きくかかわる、エネルギー政策だともいえるような気がする。