「保育園に落ちた!」という匿名のブログが、国会でも取り上げられ、改めて「保育園や保育士不足」という問題が、クローズアップされた。
一方、先日千葉県市川市では、認可予定であった私立の保育園が周辺住民の反対で、建設を断念した、というニュースが取り上げられていた。
讀賣新聞:住民「看板設置前に説明なく、唐突」・・・保育園断念
この市川市の場合、道幅が狭いなどの問題があったようだが、保育園などの建設で問題になるのは「周辺住民の静かな暮らし」という点という気がする。
「子どもたちの声が、うるさい」ということが、よく言われている点はご存じの方も多いと思う。
その「子供たちの声」だが、以前は普通に暮らしの中にあったような気がする。
その理由は、各世帯に「子どもがいた」からだ。
その「子ども」が成長し、親元から離れ別世帯を持つと、その家には「子どもの声」が無くなる。
時折、孫を連れてくれば「子どもの声」を聞くことになるが、そのような世帯ばかりではない。
言い換えれば「子どもの声が聞こえない地域」というのは、高齢者世帯が多い地域、あるいは単身者が多い地域、ということになるのではないだろうか?
ただ、単身者の多くは、昼間は仕事をしているので「保育園の子どもの声」というのは、気になるようなことはほとんどないだろう。
もちろん仕事によっては、夜勤などの関係で「昼間ゆっくり休みたい」という方も、いらっしゃるとは思うのだが、多くの場合、高齢者世帯なのでは?
それだけではなく、地域コミュニティーが希薄になりつつある高齢者世帯なのでは?という、気がするのだ。
そう考えると「保育所建設反対」を訴える人達の多くが高齢者である、という点も納得がいく。
もう少し違った視点で考えると、このような「保育園建設」で問題が起きやすい地域は、高齢者世帯が多いだけではなく、数年~10数年後「空き家問題」を抱える地域になりやすい可能性があるのでは、ないだろうか?
何も「過疎地」と、呼ばれるような地域だけの問題ではない。
築年数の古くなった都市部の公団団地などでも、見られる現象なのでは?
当然のことながら、買い物をするためのお店なども撤退し、生活に不便をきたすようになる可能性もあるだろう。
とすれば今から、積極的に「若い世帯」を受け入れるような取り組みをしていかなくては、一つの地域としてのまとまりが無くなっていく可能性があるような気がするのだ。
例えば「保育園と高齢者ケア施設を併設」するなどして、日ごろから子どもと高齢者が交流できるような取り組みがあれば、「子どもの声がうるさい」という苦情は、減っていくのではないだろうか?
何より「子どもたちが元気に遊ぶ地域」というのは、その地域全体の活気がある、ということだと思う。
かつてのように、複数世代の同居が当たり前だった頃は、家の中で自然に「世代交代」が行われてきた。
しかし今は地域全体の問題として、積極的に取り組まなくては「地域の世代交代」が行われにくい、ということだと思う。
「保育園建設問題」というのは、単なる「苦情で断念」というだけでは終わらない、問題が隠れているような気がする。