日経新聞のWEBサイトを見ていたら「病院の再入院乱用防止厚労省、ルール厳格化」という記事があった。
厚労省と言ってもおそらく、医療関係の分野での考えなのだと思う。
もし、労働関係の分野であれば「在宅医療のための働き方」という指針のようなものが出ても、おかしくないと思うからだ。
社会全体の高齢化に伴い、医療費が年間で約1兆円増え続けている、と言われている。
その医療費抑制のために、現在長期入院患者を減らし、在宅医療へと移行させる、と言うことが言われている。
そのこと自体「看取りのあり方」としては、当然の動きだろう。
実際、高齢者の多くは病院では無く、自宅での看取りを希望している。
問題なのは、それができる体制になっていない、と言うことだろう。
一つは、在宅医療と一言でいっても、看護師をはじめとする専門家の支援がなくてはできないこと。
それだけの体制を持った病院が、全国的に少ないのでは?
かつては、近くの町医者は「往診」があったが、今では「往診をしてくれるクリニック」はほとんど無い様に思う。
以前より増えつつあると思うのだが、「在宅医療支援病院」そのものは不足状態なのでは?
何より、家人が在宅医療を受ける状態になったとき、家族がそれを受け入れるだけの体制を作れない、と言う問題があるのではないだろうか?
「仕事を持ちながら、在宅医療をする」ためには、一時期的な「時短勤務」では乗り切ることができない。
特に、介護の中心となっている女性は、子育てが終わり職場に復帰しても、介護によって再び職場を去らざる得ない、と言うケースも多いだろう。
男性であっても、介護によって職場を去る人は多い。
職場を去る、と言うことによって起こる経済的な問題は、過去何度もクローズアップされているのに、問題解決の方向が見えてこない、と言う現実。
その受け皿として「再入院の繰り返し」があるのでは?と、考えると今回厚労省がルールの厳格化をしようとしても「在宅医療難民」を増やすだけ、と言うことになりかねない。
企業における介護の問題は、子育てと違い「(その様な状況になったとき)終わりが見えない」という点にある。
医療費という点では「ルールの厳格化」は必要だと思う。
と同時に、「在宅医療難民」を出さないために、企業と一緒に考えることも大切なのではないだろうか?