日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

前提を疑う

2014-03-24 21:19:15 | マーケティング

しばらく前、Yahooのトピックスに「楽天は世界で一番象牙や鯨肉を扱う企業」だと、イギリスの環境団体が告発(?)というニュースが取り上げられていた。

AFP:楽天は「世界最大の象牙・鯨肉市場」英NGO

このニュースを見たとき、「何故、楽天なのか?」と不思議に思った。
ご存じの様に、楽天は「ショッピングサイト」なだけであり、楽天が象牙や鯨肉を売っている訳ではない。
そもそも、楽天のようなショッピングサイトに出店している業者が、密輸象牙を堂々と売るだろうか?
象牙そのものは、20年以上も前にワシントン条約で輸入禁止となっている。
むしろ、今現在象牙製品をネットで販売している業者は、ワシントン条約締結以前に輸入した象牙を使っている、と考える方が自然だと思う。
その後2009年に、1度だけ日本と中国に対してのみ輸入が許されたことがあるが、その時輸入された象牙を扱う場合は、政府の取扱認定を受ける必要があるようだ。

そもそも象牙製品と言っても、日本の場合主な製品は「印鑑」だろう。
他に使われているとすれば、笄や帯留めといった和装の装飾品。
和装の装飾品そのものは、着物を着る女性が減っている(確かに、最近は着物ブームだがとても象牙の笄や帯留めを買う女性はほとんどいないだろう)。
その「印鑑」も実印などはともかく、職場で使うのであれば「シャチハタ印」が主流だろうし、安い認め印も多く出回っている。
印鑑そのものを使う場面も、減ってきているのではないだろうか?

もう一つの「鯨肉」だが、「捕鯨」ということに関してとても敏感に反応している、と言うことは感じるが「鯨が減少している」という理由は、本当に捕鯨なのだろうか?
と言うのも、「楽天の象牙」のニュースの数日前に「鯨の減少理由」についての記事を呼んだからだ。
BOOK STAND:捕鯨よりも環境汚染が問題?
確かに「絶滅危惧種」となっている鯨も数多くある。
反面、ミンククジラのように個体数が増え続けている鯨もある。
「鯨」と一括りで考えるのは、余り意味のないことだと言うことになる。
そして何よりも今「絶滅危惧種」となっているクジラは、捕鯨ではなく海洋汚染の影響が大きいようなのだ。

そう考えると、象牙にしても鯨肉の問題にしても、どこかズレている様に思える。
そもそも前提となっているのが「今販売されている象牙製品=密輸象牙の製品」であったり、「象牙製品=(かつての欧州の富裕層がリビングで飾った様な)豪華なインテリアや狩猟の成果としての飾り」という感覚を持って、楽天のショッピングサイトを見ているのでは?
捕鯨と環境汚染との関連にしても、「クジラの減少理由=捕鯨」という前提というか、思い込みの部分が強ければ強いほど、環境汚染という問題は見えなくなってしまう。

大切なコトは、一度「前提を疑い・現実客観的に調べる」ことなのでは?そこから、問題の本質が見えてくると思う。