日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

事業目的は何か?-「ゆうパック」遅配-

2010-07-04 07:52:29 | ビジネス
新聞各社だけではなく、テレビのニュースなどでも「ゆうパック遅配」というコトが取り上げられている。

ご存知の方も多いと思うのだが、この1日から「日本郵政・ゆうパック」と「日本通運・ペリカン便」が統合され「ゆうパック」となった。
テレビでも、フィギュアスケートの高橋大輔選手が登場し「ゆうパック維新」と言うテレビCMを、頻繁に流している。
この「遅配」で、高橋選手としては大迷惑なイメージダウンになりそうなほどの、「遅配」騒動となってしまっているのだ。

ここで、単純な疑問がわいてくる。
それは、小包や宅配量の増える「お中元時期に統合を何故したのか?」と言うことだ。 
一部報道では、両社の赤字を早く解消したいためだった、というコトも言われているようだが、例えば、この時期ではなく取扱量の減る(であろう)9月とか10月に統合したほうが良かったのではないだろうか?
何故なら、取扱量の急増と両社の配送事業の相互理解のためには、ある程度時間が必要だと想像できたのではないか?と、思うからだ。

宅配事業ではないが、10年ほど前当時の「東海銀行」と「三和銀行」が合併した時(=現「東京三菱UFJ銀行」の前の「UFJ銀行」発足時)、システムの不具合や行員の不慣れさなどで、大混乱が起きた。
それも、銀行取引の多い3月ではなく1月という、比較的取引量の少ない時の合併だった。
その後も銀行の合併の度に、同じ様なシステムの不具合などが起きている。
銀行側は、「それなりにシュミレーションと行い、トレーニングをしていた」と言っていたが、「UFJ銀行」のシステム不具合が完全に解消されたのは、合併後数ヶ月を有したような記憶がある。

業種が違うとはいえ、企業合併・統合にはそれなりの混乱が予想されるのに、何故、この取扱量が一番多いこの時期に強行したのか分らない。
いくら「収益改善を急いだ」と言っても、顧客となる通販企業・百貨店や大手スーパー、一般顧客へ与える影響が大きすぎる。
これでは、「事業目的を忘れた統合」と言わざる得ない。

「宅配・小包の配達をする目的は何か?」、「何故、お客様はそのサービスを利用するのか?」という、当たり前のコトを忘れ、自分たちの収益(赤字を一刻も早く解消させたい?)を優先させたたため、逆に多くの企業・一般顧客から信用を失うような結果を生んでしまった。

今回の「ゆうパック統合混乱」は、事業目的を忘れた果てに起きた、企業そのものの信頼を失いかねない、自己的発想のように思うのは私だけだろうか?