はんどろやノート

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終盤探検隊 part188 ≪亜空間最終戦争一番勝負≫ 第87譜

2020年12月17日 | しょうぎ
≪最終一番勝負 第87譜 指始図≫ 7五歩まで

指し手 ▲7七金



   [子猫にしてやる]

「あんたなんか、こうやって、子猫にしてやる!」

  (『鏡の国のアリス』 ルイス・キャロル著 矢川澄子訳 新潮文庫 より)



 もともと「子猫」だった赤の女王に対して、「子猫にしてやる!」とアリスが叫んだ。
 これでアリスの「鏡の国」の冒険は終わる。
 「鏡の国」へ入る前のアリスは、黒の子猫(キティ)に対して「(チェスの駒の)赤の女王のマネをして」と命じていたのだが、「鏡の国」の中で「赤の女王」に出会ってからは、それらのことをすっかり忘れてしまっている。
 だから、「子猫に戻す」ではなく、「子猫にしてやる」なのである。
 それでも「子猫」だったことは、こころの表層では忘れていても、こころの底ではわかっていたということであろう。そうでなければ「あんたなんか、子猫にしてやる」なんて発想はでてこない。
 「わかっているのに、わからないふりをして遊ぶ」という、子供のすきな高度な遊びである。




<第87譜 決着は泥の中で(五)>


≪最終一番勝負 第87譜 指始図≫ 7五歩まで

 「最終一番勝負」はこう進んだ。
 我々の相棒、ソフト「激指14」の評価値は +92 。
 我々は「きっと勝ちがある」と割と楽観的に思っていた。根拠はなかったが。

 さて、ここで受けなければいけないが、7七香では、7六歩、同香、7五歩、7七歩、7六歩、同歩、7五歩となって、そこでまた受けがなく窮してしまう。
 では、どうするのか。

7五歩図(指始図)
 考えられる候補手は、次の4つ。
  [A]6八歩
  [B]5九香
  [C]8八玉
  [D]7七金 = 実戦の指し手

 上から順に、それぞれ、どうなるかを追っていく。


変化6八歩図00
 [A]6八歩(図)
 これは、7六歩に、5九香と打ち、6四銀右、7一竜と進む(次の図)

変化6八歩図01
 この7一竜(図)はおそらく最善手である。
 そして、ここで後手に手の選択肢がある。次の4つが考えられる。
 〔ア〕7五銀、〔イ〕7五桂、〔ウ〕1四歩、〔エ〕9六歩

 調査では、〔ウ〕1四歩と〔エ〕9六歩は、先手良しになる(解説は省略)
 〔イ〕7五桂は、9七玉以下、「互角」(これも解説は省略)

 〔ア〕7五銀が、後手最強手である。

変化6八歩図02
 〔ア〕7五銀に対し、このままだと後手7四桂と打たれて先手が苦しくなる。
 ここは、7五同竜(図)と応じるのが、その前の7一竜の意味。以下7五同金、同馬で、“二枚替え”。
 とはいえ、後手の飛車の入手も大きい。4七飛と打つ。
 先手は、5七金(次の図)

変化6八歩図03
 4九飛成、6九金打、7七桂(次の図)

変化6八歩図04
 7七同銀、同歩成、同玉、6四銀打(次の図)

変化6八歩図05
 6六馬、2九竜。
 次に6五銀とされると先手苦しくなるので、3五桂で勝負する。
 以下、3四馬、4三歩、同銀、4六金(次の図)

変化6八歩図06
 1九竜、8八玉、7二香、7六歩、1六竜、2六金(次の図)

変化6八歩図07
 1九竜、2五銀、8九馬、同玉、3二銀、5三香成、同銀、6五角(次の図)

変化6八歩図08
 5四香、5五金、8七桂、8八銀、7九桂成、同金、5九飛(次の図)

変化6八歩図09
 5四金、同銀、3四桂、同歩、4四馬、3三金、5四馬(次の図)

変化6八歩図10
 5四同飛成、同角、7八歩、同玉、7七歩(次の図)

変化6八歩図11
 7七同玉(代えて8七玉は7九竜、同銀、6九角で寄ってしまう)、5九竜、4三銀、5四竜、同銀成、7五歩(次の図)

変化6八歩図12
 後手優勢。7五同歩には6五角。



変化5九香図00
 [B]5九香(図)
 7六馬、8八玉、6七歩成、5三香成(次の図)

変化5九香図01
 5三同歩、4二金、2四歩、6一竜、6五桂(次の図)

変化5九香図02
 8七金、6六馬、9八玉、9六歩、同金、9五香、9七歩(次の図)

変化5九香図03
 7八と、同金、9六香、同歩、9七歩、同玉、9五歩、同歩、9六歩、同玉、9四歩(次の図)

変化5九香図04
 後手優勢。



変化8八玉図00
 [C]8八玉(図)
 7六歩、6八金(後手7七桂に対して7九飛のスペースをつくった意味もある)、6四銀右、7一竜、9六歩、5六香、6五銀、5七金打(次の図)

変化8八玉図01
 5六銀、同金、6四香、8七金、9七歩成、同香、9六歩、同香、9五歩(次の図)

変化8八玉図02
 9五同香、同金、4二歩、同銀、5四歩、7七香(次の図) 

変化8八玉図03
 6六金、同香、同馬、7八香成、同金、5四馬、5九香、6五金(次の図)

変化8八玉図04
 後手優勢。



7五歩図(指始図)
  [A]6八歩 → 後手良し
  [B]5九香 → 後手良し
  [C]8八玉 → 後手良し
  [D]7七金 = 実戦の指し手

 まとめると、こういう結果である。
 つまり今のところ「先手良し」になる手順は見つかっていない。

 実戦は、[D]7七金

 





≪最終一番勝負 第87譜 指了図≫ 7七金まで

 ▲7七金 が、実戦で我々の選んだ着手。
 これは、7六歩に、6六金と6筋の歩を払うという意味である。


第88譜につづく
コメント
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