穴にコーフン！

　シゲにヒデそれから僕の３人で山のふもとに「穴」をみつけた。
　僕らは興奮した。その日はもう夕方だったので日曜日にゆっくりこの「穴」の謎を調査しよう、ということになった。
　それで家に帰り、母に「そういうわけだから日曜日は弁当を作ってくれ」と言った。母は了解し、弟も連れて行け、といった。するといつのまにか妹も行くことになった。さらに妹が「アコちゃんも誘いたい」といい、「それならシズロウくんとヨウちゃんにも声をかけたら」と母がいい、妹は「ミハルちゃんも」といい、弟が「ヒロシとタクヤも」と言い出した。
　そんな感じで「穴」調査はピクニックになった。

　穴をみつけたとき、僕らは「熊の穴では？」とおもったが、それをシゲから聞いた大人のだれかが「防空壕かもしれない」と言ったらしい。僕らはへえっとそのときは大人の知識に関心したが、いまおもうと、あれが防空壕のわけがない、狭すぎる。だいたいあんな田舎に爆弾落としていくわけない。爆弾がもったいないよ。大人ってオモイツキでものを言うよなー。
　しかしあの「穴」はなんだったのか。いまも謎だ。あれは明らかに人間の掘った横穴だが、目的がわからない。だれか変な大人が埋蔵金さがしでもしたんだろうか。