はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

鰻を獲りにきた男

2006年05月12日 | はなし
 子供時代に川がすぐ近くにあったというのは幸運なことだったな。
 ある日シゲと二人で川ベリであそんでいると、川の中で石を運んでなにかしているおじさんを発見。僕らは近づいて話をしてみた。そしたらおじさんは「鰻を獲るための仕掛けをつくっているのだ」という。僕とシゲは俄然興味がわいて手伝うことにした。この川で鰻がとれるなんて知らなかったぞ!こどもってのはワクワクできればいくらでも身体が動くのだ。
 仕掛けづくりが終わるとあとは待つだけ。といってもすぐに獲れるわけではない。おじさんは僕たちに礼を言って「日曜日の12時に駅においで。なにかご馳走してあげるよ」と言った。
 日曜日、僕とシゲは駅に行った。でもおじさんは現れなかった。鰻の仕掛けも何度かのぞいてみるも獲れる気配なし。
 だいたいあんな仕掛けで鰻がとれるかよ、と大人になって思うようになったのだが…、ところが数年前にテレビで鰻を獲っているひとの取材をしているところを見たが、その仕掛けはあのときのそれとよく似ていた。へえー、でたらめでもなかったんだな、と思いなおした。
 鰻の生態はいまだ謎だそうです。たしか海にも出るんだよね。人を助けたりもするようだし(笑)。 いいね、謎。僕らは謎を食っているわけだ。