はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

「う」はうなぎ様の「う」

2006年05月11日 | はなし
 20代のときに上京してはじめて友達になった男Uは19歳だった。渋谷のパブのバイトで知り合い、妙にひとなつこく話しかけてきた。そのバイトをやめてからも青森旅行に行くなど親しくつきあった。やさしい男で、筑波サーキットでバイクのレースをするのが趣味だった。
 Uは高校を中退していた。けんか、酒、タバコ、女、バイクと遊びまくっていたようだ。「あのころは俺、変だったの。」といっていた。(この「へんだったの」という言い方が東京弁ですな。) 僕とつきあっていた頃もときどき血がうずくのか渋谷にいってチーマーたちと遊んでいたりしたようだ。
 あるときUが紙を前にして悩んでいる。みたらそれは反省文なのだった。
 「やっぱり高校は出といたほうがいい」と思い直した彼は、夜間高校に入り直し19のそのとき高校2年生なのだった。酒もタバコも自由にやっていた彼はうっかり学校でタバコを吸ってしまって咎められ、その反省文を書かされたというわけ。あっ未成年だったな、と僕は笑った。
 またあるときUが言った。
「鰻ってうまいのかなあ」
「えっ」
「鰻、食ったことないんだよね」
「ええっ!?」
「うちのじいちゃんがたべちゃいけないって。鰻がうちの守り神だから。ひいおじいちゃんが戦争のとき鰻にたすけられたらしいの。」
「…。」
 どんなふうに助けてもらったんだ? 
コメント
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