中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

どこまでもまっすぐな運命線の人

2006年03月26日 | 雑記
 手相がどのくらい当たるのかはわからない。

 だいたい人は顔だけでもかなりの情報を発信しているし、着ているもの、話し方、話しの内容、ふるまいで、自分のおおかたをさらけだしてしまう。でも逆にそのあたりを繕えば、違った自分を演出できる。そのとき手相を見てみれば・・・

 仕事先でたまたま短い交流のあった女性の例。無口で目立たず、ちょっと何を考えているかわからないタイプ。たぶん学生時代は優等生できて、研究生活に入ったのだろうな、と思った。周りからも、学問に没頭していて、世間知らずの(ちょっと歳をくった)お嬢さん、と見なされていた。

 こちらからは興味を惹かれなかったのだけれど、数人でランチのとき友人の手相を見てあげていると、彼女が自分のも見てほしいと手をだした。

 女性では珍しく、手首から中指までどこまでもまっすぐな運命線で驚いた。こういう特徴の女性は、運が強いことは強いのだけれど、「仕事をしなければいけない」運を背負っている、ともいえるのだ。この人は見かけとずいぶん違うのかもしれないと、つい顔を見直してしまった。

 「ずっと働き続けてきたとでていますが」と婉曲に言うと、またもや意外なことに、彼女は正直にこう答えてくれた、「わたしは母ひとり娘ひとりで暮らしてきて、実は高校生のころからバイトしたり奨学金をもらったりして、今に至るまで専業主婦の母を養っているのです」。
 
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