中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

やさしき人の偏見

2006年03月23日 | 雑記
 「クラッシュ」で偏見について書いたところ反響が大きかったので、再び同じテーマで--

 わたしがこれまでに一番印象が強烈だった例は、15,6年前になるだろうか、テレビのマラソン中継だった。黒人選手を紹介するアナウンサー(男)が、こう言ったのだ、「この選手はOO(アフリカの国名)ではインテリということになっています」。

 聞きまちがえたかと思った。
 「では何かい、アフリカのインテリは世界基準と違う、と言いたいんかい?」と、突っ込みたくなるではないか。一流大学を出て、大手放送局に勤めるこのアナウンサーは、自らのエリート意識と人種偏見を無意識のうちに全国へたれながしてしまったのだ。

 それはさておき、友人が体験した泣き笑いしたくなる偏見は、これ。

 仕事帰りに古書店へふらりと立ち寄った、占い大好きの彼女。占星術だの卜占だのおもしろそうなのを3冊ほどみつくろい、カウンターへ持っていった。やさしそうな丸顔の老店主は、ていねいに本を包装しながら曰く、

 「だいじょうぶだよ、あんた。今にきっといいことがあるから」

 「w ... w h a t ??!! 」
 彼女は心の中で叫んだ由。もしかして憐れまれているの、わたし?
人生にくたびれきった中年女性が、我が身の来し方行く末を占おうとしている、とそんなふうに見えるわけ?

 仕事ばりばりで、恋人ともうまくゆき、乗りに乗っている彼女なのに・・・偏見、恐るべし。













コメント (2)
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