その昔、とあるお宿で朝食を食べていてふと思った。
「もし、ここに醤油がおいて無かったら」
幸い、食卓の上には醤油さしがあり、醤油はたっぷりある。
しかし、もし醤油を切らしていたら、この食事はどういうことになるのか。
この日の朝食のメニューは、納豆、カマボコ、海苔、わさび漬け、とろろ芋、ほうれんそうのお浸し、生卵、湯豆腐、しじみの味噌汁というものであった。
これらのものを食卓の上にズラリと並べて、「では、いただきます」というときになったとき、醤油さしに醤油が一滴も入っていないことになったら…
とたんにこの食事は成り立たないことになる。
食事の中でも特に朝食は、醤油によりかかったおかずが多い。
このおかずを、醤油なしで食べていくことを次々に想像してほしい。
醤油なしの納豆をかき回し、これをご飯の上にのせて食べるところを想像するしてほしい。
醤油なしの海苔を、ご飯に巻いて食べるところ。
醤油なしのカマボコを、ご飯と一緒にたべるところ。
醤油なしの生卵を、ご飯にかけて食べるところ。
醤油なしのとろろ芋を、ご飯に混ぜて食べるところ。
納豆もカマボコも、生卵もとろろ芋も一応みんなおかずとして偉そうな顔をしているが、自分一人ではどうにもならない存在であったことを思い知らされるのである。
一見、立派に自立しているように見えてはいるが、実は醤油におんぶにだっこの人生だったことを、つくづくと知ることになるのである。
次の質問に答えよ
「一回はフタを落としたことがある」
各家庭の醤油さしはいろんなタイプがあるでしょうが、ウチの場合、人差し指でフタを押えているので大丈夫かな。
まさに土瓶タイプでした。
出雲弁では「きびしょ」ともいいます。