経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

特許戦略に固執したらいけませんか?

2008-02-18 | 新聞・雑誌記事を読む
 東芝のHD-DVD撤退が大きなニュースになっていますが、先日の日経には‘特許戦略への固執が孤立を生み、結果的に敗北に結び付いた’といったことが書かれていました。将来の特許戦略の教科書には、「東芝HD-DVD特許戦略の失敗事例」とかいって掲載されることになるのかもしれません。
 ところで、その一方でちょっと興味深い現象があります。今日の株式市場では、東芝の株価は本日大幅上昇(前日比+5.74%)、その上昇率は企画争いで勝利したはずのソニー(前日比+1.03%)を大きく上回っています不採算事業からの早期撤退が好感され、さらに本日の日経でフラッシュメモリの新工場設立が報道され、成長事業への集中が上昇を後押ししたようです。次世代DVDプレイヤーも既に価格下落が始まっており、規格争いに勝利したとしても、それが収益に貢献するかどうかは不透明とのこと(どちらかというと懐疑的?)。そうしてみると、東芝の‘特許戦略に固執’というのも、規格争いに勝利することが最終的な目的ではないので、ある意味とても合理的な判断(徹底的に囲い込みにいって、それでうまくいかなければ旨みのない市場として早期撤退)であるような気がしてきます。オール(特許で囲い込んで高収益)orナッシング(特許で囲い込めない競争の激しい市場は早期撤退)ということで。