経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「5470億円」の黒字はどの程度凄いのか?

2007-02-24 | 新聞・雑誌記事を読む
 本日の日経1面に「特許黒字、最高の5470億円(06年)」とあります。この「5470億円」をどう捉えるべきなのか。凄い、知財立国の成果だ、知財は稼げる、という解釈をすればよいのでしょうか?

 同じく日経のマーケット面を見ると、昨日終値ベースの東証の株式時価総額は約600兆円です。PER20倍とすると、純利益の合計額が約30兆円。実効税率を40%とすると税引前利益は約50兆円という計算になります。これ以外に、ジャスダックの上場会社や非上場会社もあるわけですが、それらを除いて考えても「5470億円」という金額はその1%程度です。1%といえども利益を押し上げるのは大変なことではありますが、「5470億円」という金額がどの程度凄いのかは、こうした他の数値との関係で捉えることが必要であるように思います。

 記事の中でも触れられているように、この金額は海外生産の拡大による海外子会社からの特許料が押し上げている側面もあるようです。また、これは単純にライセンス料の収支をとったものなので、特許権の取得やライセンス交渉にかかった経費を控除した後の「黒字」ではありません。以上を考えると、「5470億円」という数字を強調することは、ちょっとセンセーショナルに見せようとする意図が感じられないでもありません。
 個人的な意見としては、「知財立国」の成果というものは、この「1%部分の利益が増えたか減ったか」ということではなく、「50兆円の税引前利益を押し上げる効果があったかどうか」という部分で計るべきものであると思います(尤も、どうやって計るかが難しいとことが難点ですが・・・)。