経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

脱ホームラン競争

2007-02-23 | 知財発想法
 打席に立つからにはホームランを打ちたい。ホームランを打つには、甘いコースに来た球を、ベストのスイングで捉えることが必要なので、そう簡単なことではない。
 特許を出すからには基本特許をとりたい。基本特許をとるには、市場性のある技術を対象に、特許取得のノウハウをフル活用することが必要なので、簡単ではないし時間を要することも多い。

 得点を上げるための方法は、ホームランを打つことだけではない。ヒットをつないでいけば得点になるし、効果的な送りバントや犠牲フライだって存在する。要は、欲しいときにこの1本が出るかどうかである。
 企業が利益を拡大するための方法は、基本特許で市場を独占することだけではない。特許を回避されたとしても、それまでに少しでもシェアを拡大できれば利益にはプラスになるし、そうした積み重ねのトータルが企業の収益になる。要は、欲しいときに特許をうまく使えるかどうかである。

 で、野球は何を競うゲームか。得点を競うゲームで、ホームラン競争ではない。Gのように、ホームランを狙うバッターばかり揃えても勝てるわけではない。要は、ヒットの積み重ね、チームバッティング、である。
 で、企業経営で問われるのは何か。収益の拡大であって、基本特許の数・特許ライセンス料の多寡・特許侵害訴訟の勝ち負けではない。要は、収益面で意味のある特許の積み重ね、特許戦略、である。

 最近の野球は、広い球場、飛びにくいボールで、ホームランが出にくくなった。バランスよいチームの構成、役割分担のしっかりしたラインナップが重要になり、DやTが強いわけである。
 最近の経営環境では、技術の高度化、特許の累積で、基本特許がとりにくくなった。バランスがよい特許ポートフォリオ、それぞれ意味のある特許群が重要になる。