経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

リスクの担い手

2007-02-04 | 知的財産と金融
 金曜日の日経金融に、新規上場企業として、「アサックス」という不動産担保融資に特化した金融機関が紹介されています。不動産担保に特化してノウハウを蓄積することで、銀行では融資が難しい融資先に対しても、原則無担保の商工ローンより安い金利での融資を可能にするというビジネスモデルで成長を続けているそうです。
 考えてみると、質屋さんも動産担保に特化することで迅速な融資を可能にしているのが特徴ですから、ビジネスモデルの基本的な仕組みは同じといってもよいでしょう。であれば、同じビジネスモデルに則って、知的財産担保に特化し、銀行では融資が困難なベンチャー企業への融資専門の金融機関というのが出てきてもよさそうです。ところが、知財担保に特化した取組みを進めている機関は、政府系で少々特殊なミッションを担っている政策投資銀行くらいで、民間レベルでの本格的な取組みについては聞いたことがありません。
 「知財ファイナンス」が本格化してきたといっても、その担い手として登場している機関の多くは、その評価やアレンジを謳っているものであるように思います。ファイナンスが成立するための大前提となるのは、リスクの担い手となる投資家であって、知財ファイナンスについては投資家セクターの盛り上がりがあまり感じられないことが、普及が進まない最大のネックなのではないでしょうか。評価やアレンジのノウハウがあるのであれば、本来なら自らが第一にリスクの担い手となり、アサックスのようなビジネスモデルが成り立ちえるように思います。知財ファイナンスの世界も、自らがリスクの担い手として手を上げる機関が次々と現れてきたときこそが、本格的な普及の第一歩になるといえるのではないでしょうか。