経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「4つのリターン」と「ディープナレッジ」

2007-05-13 | 書籍を読む
 「プロフェッショナル進化論」の専門家向けのキャリア戦略論が非常に面白かったので、その部分を深彫りした「知的プロフェッショナルへの戦略」を読んでみました(アッという間に読める本です)。知財人としてのキャリアを考えている方には、是非一読されることをお薦めします。

 本書のキーワードは、働くことによって得られる「4つのリターン」と、単なる専門知識を超えた「ディープナレッジ」でしょう。

 前者については、今読んでいる「マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー」でも、マービン・バウワーが語っていた専門職の心得として、ほぼ同じようなことが書かれています。顧客である企業に専門的なサービスを提供するプロフェッショナルが、自らを主体に据えた「ビジネスモデル」云々を中心に考えていては、顧客企業にプラスとなる「プロフェッショナルサービス」を提供することは至難の業です。これまでにない競争環境の変化から、我々も「これからの特許事務所のビジネスモデルは・・・」といった議論に向かってしまいがちですが、それがただ単に請求書をたくさん発行するための方法論では顧客企業のビジネスと対峙することになってしまい、顧客の収益に資する「プロフェッショナルサービス」たり得るわけがありません。当たり前のことですが、よく心しておかなければならない原則だと思います。

 後者について、「ディープナレッジ」は机の上での勉強ではなく、仕事での体験を通じてしか身につけることができない、と説明されています。この点については全く同感で、「知財人材」にとって最低限必要な知識というのは、弁理士試験の勉強でも知財検定でもいいですが、本当はそういった基礎知識で十分なのではないかと思います。そこから先の「知財プロフェッショナル」として活躍できるかどうかということは、必要な基礎知識を身につけた後に、どこのスクールで何を学んだかということではなく、どのような姿勢や心構えで仕事に臨み、経験したそれぞれの仕事から何を学び取ったか、それによってどれだけの「4つのリターン」を得てきたか、ということが問題になるのではないでしょうか(加えて、知財の分野に限らずいろいろな本を読むことも大切だと思いますが)。


知的プロフェッショナルへの戦略―知識社会で成功するビジネスマン11の心得

講談社

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