経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

情報とコンピュータ、知的財産と知的財産権

2006-05-16 | 知財発想法
 「知財が重要だ」という近年の風潮の中で、あたかも知的財産権を取得することが本質であるかの如き議論を目にすることがあります。
 しかしながら、このような議論では、企業経営における目的と手段が逆転してしまっているのではないでしょうか。

 例として、企業経営における情報とコンピュータの関係を考えてみると、イメージが湧きやすいと思います。経営に有効に活用し得るものは「情報」であって、「コンピュータ」を導入すること自体が目的というわけではありません。「経営に情報をどのように活かすか」という目的があって、コンピュータはその目的を達成するために有効なツールという位置付けになります。例えば、ある小売チェーンで在庫管理を効率化したい場合に、必要となるのは在庫に関する情報であって、その情報をコンピュータというツールを用いて、どのように効率的に収集するかを考えていくことになります。その昔には、コンピュータを導入してから何をするかを考える、といった時代もありましたが、今ではコンピュータが目的に応じて利用するツールであるということは、ビジネスパーソンにとっては当然のコンセンサスとなっているでしょう。
 知財についても同様で、企業経営において収益を生む源となるのは「知的財産」であって、「知的財産権」が事業を作り出すわけではありません。「知的財産を活かしてどのように事業を運営するか」という目的があって、知的財産権はその目的を達成するために、競合の参入障壁となるという意味で有効なツールという位置付けになるものです。
 「知的財産権」から発想するのではなく、「知的財産権」をツールとしてどのように利用するかを考える、というアプローチが、ビジネスパーソンが知財を考える場合の大前提になるものと言えるでしょう。


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